{"title":"COVID–19集中治療中に早期発見できずに緊急止血を要し,疼痛緩和目的に血腫除去を追加することで良好な転帰をとった腹直筋・腹膜前腔血腫(The rectus sheath and extraperitoneal hematoma that could not be detected early during critical care of a severe COVID–19 patient, and had a good outcome with additional hematoma removal for pain relief: a case report)","authors":"小西 沙季, 神鳥 研二, 安念 優, 菊池 聡, 邑田 悟, 竹葉 淳, 佐藤 格夫","doi":"10.1002/jja2.12848","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12848","url":null,"abstract":"要旨 新型コロナウイルス感染症(COVID–19)の血栓傾向に対して各国の診療ガイドラインでは抗凝固療法が推奨されている。一方で抗凝固療法は出血性合併症のリスクを伴い,時に致死的となる。COVID–19患者の人工呼吸器管理,抗凝固療法中に出血性ショックとなってから診断し緊急止血を要した両側下腹壁動脈損傷による腹直筋血腫および腹膜前腔血腫を経験した。また大きな血腫による疼痛の緩和目的に血腫除去術を行うことで離床範囲を拡大することができた。COVID–19の呼吸不全を呈する82歳の女性に対して人工呼吸器管理,腹臥位療法,抗凝固療法を行っていた。経過中に出血性ショックとなり緊急輸血を開始した。両側下腹壁動脈損傷,腹直筋・腹膜前腔血腫と診断し,緊急IVRによる止血を行った。止血後も血腫による疼痛が強いため血腫除去術を施行した。離床範囲は拡大し入院25日目に転院とした。COVID–19治療中は抗凝固療法に加え腹臥位療法や咳嗽などの腹圧上昇が下腹壁動脈損傷,腹直筋・腹膜前腔血腫のリスクとなる可能性がある。また鎮静・鎮痛,筋弛緩などにより血腫の診断が遅れ,出血性ショックに至り,緊急輸血や緊急止血術を要することがあり,出血性合併症の発症を念頭に身体所見などからその早期診断・早期介入に努める必要がある。また疼痛緩和による早期離床,リハビリテーション促進のために血腫除去術を考慮すべきである。","PeriodicalId":19447,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","volume":"80 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2023-11-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"135320828","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
{"title":"軽症の鈍的胸部外傷後に遅発性血胸を繰り返した横隔膜損傷の1例(Recurrent delayed hemothorax due to diaphragmatic injury after minor blunt chest trauma: a case report)","authors":"岩﨑 安博, 福島 純一, 有井 菜都乃, 北山 淳一, 重里 政信","doi":"10.1002/jja2.12853","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12853","url":null,"abstract":"要旨 症例は50歳台の男性。当院受診7日前に転倒し軽度の右背部痛が持続していた。当院受診前日に近医を受診し,胸部CTで右第8,9,10肋骨骨折と軽度の右血気胸を認め翌日当院紹介受診となった。しかし当院受診時に右血胸が増加し,強い呼吸苦を訴え酸素飽和度の低下も認めた。救急外来で胸腔ドレナージを実施し,呼吸状態は改善した。持続的出血は認めず,ドレーン排液も漿液性となり量も減少した。しかし入院5日目に再度右大量血胸によるショック状態を呈し緊急開胸止血術を行った。転位を伴う肋骨骨折に起因すると思われる右横隔膜裂創を認め,縫合止血と再発予防のために転位肋骨骨折端の処理を行った。術後血行動態は安定した。軽症胸部外傷でも緊急止血術を要する遅発性血胸は発症しうる。とくに下位の転位性肋骨骨折を伴う症例では注意深い経過観察が必要である。止血に関しては,出血源が特定できない場合や血行動態不安定な場合は迅速な外科的止血術が必要である。また再発予防のために転位性肋骨骨折端の処理も必要である。開胸止血術を行う際には,下位肋骨骨折があり出血源不明な症例では,転位性肋骨骨折近傍の肋間での開胸は有用な場合がある。","PeriodicalId":19447,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","volume":"68 3","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2023-11-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"135320480","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
{"title":"ARDSに対する腹臥位療法中に小腸憩室穿通を発症し死亡した1例(Perforation of small bowel diverticulum during prone position therapy for ARDS: a case report)","authors":"鈴木 剛, 上野 智史, 矢野 徹宏, 岩渕 雅洋, 小野寺 誠, 喜古 雄一郎, 伊関 憲","doi":"10.1002/jja2.12854","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12854","url":null,"abstract":"要旨 腹臥位療法はARDSに対して有効な治療法である。一方,腹臥位療法には圧挫傷など多くの合併症が報告されている。腹臥位療法中に小腸憩室穿通から敗血症性ショックに至り死亡した症例を経験したので報告する。81歳の男性,既往歴に回腸憩室炎に対し回盲部切除術が施行されている。COVID–19の発症2日目に中等症IIと診断された。発症7日目に酸素化の増悪を認め人工呼吸管理を開始した。その後も酸素化は改善せず発症15日目から腹臥位療法を導入した。腹臥位療法導入後から炎症反応の上昇を認めた。発症18日目にショック状態となり,まもなく死亡した。死亡時画像診断では空腸腸管膜内に膿瘍の形成を認めた。病理解剖で空腸腸管膜内に便汁の漏出を認め,空腸憩室が腸管膜へ穿通していた。腹臥位療法中に認める合併症は圧挫傷が最も多く,顔面や四肢骨盤に発生する一方で,腹腔内への圧損傷は考慮されにくい。小腸憩室が存在する場合には腹臥位療法中に腹腔内圧の上昇,もしくは直接的な圧迫により憩室の脆弱部分に負荷がかかり腸管損傷を引き起こす可能性を考慮する必要がある。しかし,小腸憩室は比較的稀な疾患であり腹臥位療法の導入前に認知が困難である。腹臥位療法中に状態の悪化を認めた場合には腹腔内,とくに腸管損傷を疑ってCT検査を行う必要がある。","PeriodicalId":19447,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","volume":"79 5","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2023-11-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"135320830","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
{"title":"救急医の頭部MRI,CT,胸部X線読影において見落としの多い時間帯と疾患についての検討~単施設後方視記述研究~(Time of day and the diseases for the most frequently missed radiographic readings by emergency physicians: a single–center retrospective descriptive study)","authors":"垣内 駿吾, 林 実, 谷崎 眞輔, 前田 重信","doi":"10.1002/jja2.12841","DOIUrl":"https://doi.org/10.1002/jja2.12841","url":null,"abstract":"要旨 【目的】 夜間勤務の救急医による頭部MRI,CT,胸部X線読影の見落としが好発する時間帯と疾患の検討をする。 【対象】 2010年12月30日から2022年9月30日の18:00から翌8:00に福井県立病院救急外来で施行し救急医が読影した頭部MRI,CT,胸部X線において,翌朝の放射線科医の読影結果により見落としが判明し緊急受診を患者に促した症例が発生した時間と疾患を検討した。 【結果】 撮影画像100,361件のうち,対象画像は67,845件であった。見落としが生じ緊急受診を促した症例は54件(0.08%)であった。23時台に見落されている件数が最も多く,12件(22%)であった。見落としの多い疾患では,虫垂炎が7例と最も多く,次いで孤発性上腸間膜動脈解離5例であった。性別は男性18件,女性36件と女性に多かった。年齢は80歳台(11件)で最も多く,次いで40歳台(10件)に多かった。画像種類別においてはCTが45件で最多であった。撮影部位別においては腹部骨盤28件で最多であった。 【結語】 救急医による頭部MRI,CT,胸部X線における見落としは深夜の交代間際の23時台に最も多く発生している。撮影部位では腹部CTが最も多く,疾患では虫垂炎,孤発性上腸間膜動脈解離が多い。夜間に撮影された腹部CTでは虫垂炎,孤発性上腸間膜動脈解離に注意して読影を行うと見落としが防げる可能性がある。","PeriodicalId":19447,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","volume":"37 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2023-10-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"134934941","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}