{"title":"对从火灾现场运来的患者血液中氰化物浓度的研究(Analysis of blood cyanide concentration in patients transported from afire比起)","authors":"海田 賢彦, 松田 剛明, 山口 芳裕","doi":"10.1002/jja2.12852","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"要旨 【目的】 シアンは火災で発生する主たる有毒ガスであるが,臨床現場においてはほとんど評価されていないのが現状であり,火災傷病者の血中シアン濃度に関して検討することを目的とした。 【方法】 2014年1月から2023年6月まで当院に搬送された火災傷病者のうち,血中シアン濃度を測定し得た患者を対象とし,その臨床データについて後方視的に検討した。 【結果】 対象44例中19例が心肺停止であり全例死亡していた。心肺停止例の血中シアン濃度の中央値は3.1µg/mL,中毒レベルが16例,致死レベルが8例あった。一方,CO–Hb濃度の中央値は59.1%で,致死レベルは15例あった。血中シアン濃度のみが致死レベルで,CO–Hb濃度は致死レベルではなかったのが2例あった。非心肺停止25例は全例気道熱傷を合併しており血中シアン濃度の中央値は0.28µg/mL,中毒レベルが9例あった。CO–Hb濃度の中央値は8.5%であり,ともに致死レベルを超えた症例はなかった。シアン中毒群と非シアン中毒群の検討では年齢,性別,総熱傷面積,CO–Hb濃度,乳酸値について有意な差は認めず,人工呼吸期間,ICU滞在期間についてはシアン中毒群のほうが有意に長期であった。 【結語】 火災現場から搬送された患者においては,シアン中毒の可能性も念頭におく必要がある。","PeriodicalId":19447,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","volume":"275 6","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2023-11-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"火災現場から搬送された患者における血中シアン濃度の検討(Analysis of blood cyanide concentration in patients transported from a fire scene)\",\"authors\":\"海田 賢彦, 松田 剛明, 山口 芳裕\",\"doi\":\"10.1002/jja2.12852\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"要旨 【目的】 シアンは火災で発生する主たる有毒ガスであるが,臨床現場においてはほとんど評価されていないのが現状であり,火災傷病者の血中シアン濃度に関して検討することを目的とした。 【方法】 2014年1月から2023年6月まで当院に搬送された火災傷病者のうち,血中シアン濃度を測定し得た患者を対象とし,その臨床データについて後方視的に検討した。 【結果】 対象44例中19例が心肺停止であり全例死亡していた。心肺停止例の血中シアン濃度の中央値は3.1µg/mL,中毒レベルが16例,致死レベルが8例あった。一方,CO–Hb濃度の中央値は59.1%で,致死レベルは15例あった。血中シアン濃度のみが致死レベルで,CO–Hb濃度は致死レベルではなかったのが2例あった。非心肺停止25例は全例気道熱傷を合併しており血中シアン濃度の中央値は0.28µg/mL,中毒レベルが9例あった。CO–Hb濃度の中央値は8.5%であり,ともに致死レベルを超えた症例はなかった。シアン中毒群と非シアン中毒群の検討では年齢,性別,総熱傷面積,CO–Hb濃度,乳酸値について有意な差は認めず,人工呼吸期間,ICU滞在期間についてはシアン中毒群のほうが有意に長期であった。 【結語】 火災現場から搬送された患者においては,シアン中毒の可能性も念頭におく必要がある。\",\"PeriodicalId\":19447,\"journal\":{\"name\":\"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi\",\"volume\":\"275 6\",\"pages\":\"0\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2023-11-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.1002/jja2.12852\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.1002/jja2.12852","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
引用次数: 0