{"title":"针对ARDS的腹卧位疗法中小肠憩室穿通发病死亡1例(Perforation of small bowel diverticulum during prone positiontherapy for ARDS: a情况报告)","authors":"鈴木 剛, 上野 智史, 矢野 徹宏, 岩渕 雅洋, 小野寺 誠, 喜古 雄一郎, 伊関 憲","doi":"10.1002/jja2.12854","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"要旨 腹臥位療法はARDSに対して有効な治療法である。一方,腹臥位療法には圧挫傷など多くの合併症が報告されている。腹臥位療法中に小腸憩室穿通から敗血症性ショックに至り死亡した症例を経験したので報告する。81歳の男性,既往歴に回腸憩室炎に対し回盲部切除術が施行されている。COVID–19の発症2日目に中等症IIと診断された。発症7日目に酸素化の増悪を認め人工呼吸管理を開始した。その後も酸素化は改善せず発症15日目から腹臥位療法を導入した。腹臥位療法導入後から炎症反応の上昇を認めた。発症18日目にショック状態となり,まもなく死亡した。死亡時画像診断では空腸腸管膜内に膿瘍の形成を認めた。病理解剖で空腸腸管膜内に便汁の漏出を認め,空腸憩室が腸管膜へ穿通していた。腹臥位療法中に認める合併症は圧挫傷が最も多く,顔面や四肢骨盤に発生する一方で,腹腔内への圧損傷は考慮されにくい。小腸憩室が存在する場合には腹臥位療法中に腹腔内圧の上昇,もしくは直接的な圧迫により憩室の脆弱部分に負荷がかかり腸管損傷を引き起こす可能性を考慮する必要がある。しかし,小腸憩室は比較的稀な疾患であり腹臥位療法の導入前に認知が困難である。腹臥位療法中に状態の悪化を認めた場合には腹腔内,とくに腸管損傷を疑ってCT検査を行う必要がある。","PeriodicalId":19447,"journal":{"name":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","volume":"79 5","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2023-11-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"ARDSに対する腹臥位療法中に小腸憩室穿通を発症し死亡した1例(Perforation of small bowel diverticulum during prone position therapy for ARDS: a case report)\",\"authors\":\"鈴木 剛, 上野 智史, 矢野 徹宏, 岩渕 雅洋, 小野寺 誠, 喜古 雄一郎, 伊関 憲\",\"doi\":\"10.1002/jja2.12854\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"要旨 腹臥位療法はARDSに対して有効な治療法である。一方,腹臥位療法には圧挫傷など多くの合併症が報告されている。腹臥位療法中に小腸憩室穿通から敗血症性ショックに至り死亡した症例を経験したので報告する。81歳の男性,既往歴に回腸憩室炎に対し回盲部切除術が施行されている。COVID–19の発症2日目に中等症IIと診断された。発症7日目に酸素化の増悪を認め人工呼吸管理を開始した。その後も酸素化は改善せず発症15日目から腹臥位療法を導入した。腹臥位療法導入後から炎症反応の上昇を認めた。発症18日目にショック状態となり,まもなく死亡した。死亡時画像診断では空腸腸管膜内に膿瘍の形成を認めた。病理解剖で空腸腸管膜内に便汁の漏出を認め,空腸憩室が腸管膜へ穿通していた。腹臥位療法中に認める合併症は圧挫傷が最も多く,顔面や四肢骨盤に発生する一方で,腹腔内への圧損傷は考慮されにくい。小腸憩室が存在する場合には腹臥位療法中に腹腔内圧の上昇,もしくは直接的な圧迫により憩室の脆弱部分に負荷がかかり腸管損傷を引き起こす可能性を考慮する必要がある。しかし,小腸憩室は比較的稀な疾患であり腹臥位療法の導入前に認知が困難である。腹臥位療法中に状態の悪化を認めた場合には腹腔内,とくに腸管損傷を疑ってCT検査を行う必要がある。\",\"PeriodicalId\":19447,\"journal\":{\"name\":\"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi\",\"volume\":\"79 5\",\"pages\":\"0\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2023-11-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.1002/jja2.12854\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.1002/jja2.12854","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
引用次数: 0