{"title":"消化管代謝から見た食餌グルタミン酸の栄養素としての役割","authors":"英寛 中村","doi":"10.11638/jssmn.57.3_74","DOIUrl":"https://doi.org/10.11638/jssmn.57.3_74","url":null,"abstract":"タンパク質を構成するアミノ酸は、体内で合成ができない不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)と体内で合成可能な可欠ア ミノ酸(非必須アミノ酸)に大きく分けられる。不可欠アミノ酸は体内で必要量の合成ができないため、外界からの摂 取が必須であり、実際に不可欠アミノ酸を一つでも除いた食餌を摂取すると、その血中濃度は顕著に低下し成長が抑制 される。そのため、人においても食餌から摂取すべき必要量が設定されており、摂取することが必須な栄養素であると いう認識が確立されている。では、一方の不可欠アミノ酸は外界からの摂取が「必須に非ず」の栄養素なのだろうか。 我々は、食餌や母乳中に最も多く含まれるアミノ酸の一つであるグルタミン酸に着目し、Caco-2 細胞を用いた消化管単 層上皮細胞モデル等の評価系を用い、グルタミン酸の消化管における代謝を定量的に解析した。その結果、食餌として 摂取したグルタミン酸は速やかに消化管に吸収されるが、門脈側に放出される割合は少なく、大部分の炭素骨格がエネ ルギー源として用いられることを定量的に明らかにした。また、消化管はアラニンやシトルリン、オルニチン、プロリ ンといったアミノ酸の産生臓器として重要であるが、食餌グルタミン酸窒素がそれらアミノ酸産生に対する窒素供給源 としても重要な役割を果たしていることを示した。これらの結果は、栄養素としてグルタミン酸を摂取する意義を示唆 するものである。また、過去の報告から、体内で産生され、血中濃度が最も高いアミノ酸の一つであるグルタミンの経 腸投与が、重症患者の予後に有益である可能性も知られている。本発表では、消化管代謝の観点からグルタミン酸とグ ルタミンを比較する形でも考察を深める予定である。","PeriodicalId":472267,"journal":{"name":"Geka to taisha, eiyō","volume":"22 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2023-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"135442914","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
引用次数: 0