{"title":"母趾爪甲下に生じた汗孔腫の1例","authors":"Rina Ito, Noriko Umegaki, Sumiko Ishizaki, Mieko Hata, Masaru Tanaka","doi":"10.3812/jocd.40.550","DOIUrl":"https://doi.org/10.3812/jocd.40.550","url":null,"abstract":"汗孔腫は中高年の下肢,掌蹠に好発する皮膚付属器良性腫瘍であるが,汗腺の少ない爪甲下に生じるのは比較的稀である.今回我々は爪甲下に生じた汗孔腫の1例を経験したので報告する.症例は60歳,男性.半年前より左母趾爪甲下の紅色結節を自覚した.その後,皮疹は緩徐に増大し,出血を伴うため当科に受診した.初診時,左母趾爪甲下に5 ㎜大の鮮紅色調の広基有茎性小結節を認めた.病変直上の爪甲を除去して観察したところ,ダーモスコピーでは白色の網目状構造とそれによって区画された紅色胞巣状構造があり,糸球体状血管やヘアピン様血管,花弁状血管などの血管所見がみられた.病理は表皮から連続する腫瘍胞巣が増殖し,小型の核で細胞質の少ないporoid cellよりなり,cuticular cellによって縁取られた管腔構造が散見された.自験例は爪甲下に汗孔腫が生じた稀な症例であったが,術前に病変部の爪甲を一部除去したことで汗孔腫に典型的なダーモスコピー所見を確認できた.爪甲下に生じた症例は国内外で自験例を含め9例の報告のみで,足趾に生じた7例すべてが母趾に生じたことから,機械的刺激が発症に寄与する可能性を考えた.そこで歩行の際に特に荷重負荷がかかり,機械的刺激の多い足底に注目し,当科で経験した足底の汗孔腫の発生部位と荷重部位との関連を検討した.その結果,土踏まずの症例はなく,慢性的な機械的刺激と最も荷重負荷のかかる部位である踵部に好発していたことから,汗孔腫の発生誘因の一つとして機械的刺激が推測された.","PeriodicalId":497948,"journal":{"name":"Nihon rinsho hifukaikai zasshi","volume":"61 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0,"publicationDate":"2023-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":null,"resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":"135954453","PeriodicalName":null,"FirstCategoryId":null,"ListUrlMain":null,"RegionNum":0,"RegionCategory":"","ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":"","EPubDate":null,"PubModel":null,"JCR":null,"JCRName":null,"Score":null,"Total":0}
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