Superficial cervical lymph node metastasis as the initial manifestation of occult papillary thyroid carcinoma: A case report

要 旨 甲状腺オカルト癌の多くはリンパ節転移により同定されるが,浅頸リンパ節への転移を契機に診断されるこ とは稀である。今回,浅頸リンパ節への単独転移により診断に至った甲状腺オカルト癌の 1 例を経験した。症 例は 51 歳男性,胸骨上縁の境界明瞭な腫瘤に対して摘出術を施行し,前頸筋群より浅層に存在する浅頸リン パ節への甲状腺乳頭癌の転移と診断した。甲状腺には原発巣を確認できず,他に中央区域,外側区域リンパ節 転移を認めなかったことから,浅頸リンパ節への単独転移を伴う甲状腺オカルト癌と診断した。本人希望で経 過観察中,術後 14 ヶ月経過時に中央区域リンパ節転移を認め,甲状腺全摘術,両側 D1 郭清を施行し,甲状 腺両葉に多発する微小腺内転移ならびに喉頭前,気管前,気管傍リンパ節転移を認めた。本例は特異な進展形 式と比較的速い進行を示したオカルト癌症例であり,今後の診断の一助となると考え文献的考察を加えて報告 する。