Y. Abe, T. Fujimoto, Mitsuyoshi Nakatani, M. Shigeta, Manabu Tanaka
{"title":"超窄间隙埋弧焊适宜焊接条件的研究","authors":"Y. Abe, T. Fujimoto, Mitsuyoshi Nakatani, M. Shigeta, Manabu Tanaka","doi":"10.2207/QJJWS.39.64","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"サブマージアーク溶接(Submerged arc welding: SAW)は その高溶着効率,高品質性から,圧力容器などの大型鋼構 造物の厚板,極厚板突合せ溶接に多く使われている.厚板 や極厚板に対する SAWでは,融合不良(Lack of fusion: LF) などの溶接欠陥防止のため開先角度を 30°程度まで広くする 必要がある.開先角度が広くなると開先断面積が大きくな り,積層完了までに多大な時間を要する. 開先角度を 1~3°とし,ルート幅を狭くした狭開先 SAW では,開先断面積が小さくなり,溶接時間を短縮できる. 狭開先 SAW技術はこれまでいくつか研究開発が行われてき た1-4.近年では,開先角度をほぼ 0°とし,極厚板を初層か ら最終層まで 1層 1パスで積層する極狭開先 SAWの研究も 進められている5-6.1層 1パス施工では 1パスで両側の開先 壁を溶融させる必要があるが,開先底のコーナー部はアー クプラズマで直接加熱しにくい,熱が拡散しやすい7などの 理由から溶融しにくく,融合不良が生じやすい(Fig.1 (a)). また,開先が狭くなると溶接後にスラグが自然にはく離せ ず,除去が困難となる1.特に,開先壁にアンダカット (Fig.1 (b))が生じた場合,スラグが固着し,十分に除去で きないとスラグ巻込みの原因となる.これらの溶接欠陥を 防止するには,両側の開先壁を溶融しつつ,アンダカット が生じない溶接部形状(Fig.1 (c))となる溶接条件を選定す る必要がある. 一方,近年ではデジタル波形制御が可能な大容量の溶接 電源が開発されており8-9,従来の可動鉄心形と比較して出 力の安定性や再現性が向上し,極性比率(特に棒マイナス の比率を EN比と定義する),周波数,位相差などの出力波 形をより精密に制御可能である.宮田らは溶接電流 600A, 電圧 33V,溶接速度 40cm/minの溶接条件に対し,EN比を 0.0 から 1.0まで変化させてビードオンプレート溶接を実施し, ワイヤ送給速度が±20%程度変化することを明らかにし た8.これは,EN比によりワイヤ送給速度すなわち溶着断 面積を制御できることを示している.このように,デジタ ル波形制御電源では EN比などのパラメータにより溶接部形 状の制御が可能となり,極狭開先 SAWにおいて溶接欠陥(融 合不良,アンダカット)の防止が期待できる. しかしながら,上述のように実施工における知見とノウ ハウが蓄積されつつある今も,依然として現象の詳細は不 明である.なぜなら,SAWは溶接部を覆うフラックスによっ て,アークプラズマの挙動,電極の溶融,溶滴移行,溶融 池形成,フラックスの溶融と蒸発,そしてそれに続くプラ ズマ周囲での多成分系の凝縮と凝固といった複雑な現象の 直接観察が困難となっており10-17,フラックス中にトンネル を設けてアーク空間に影響を与えつつも可視化を行ったと いう報告が数例あるのみである18-19.それに対して,数値シ ミュレーションによる現象解明も進められている.例えば, 計算格子を用いた手法によって熱エネルギーのバランスを 極狭開先サブマージアーク溶接における適正溶接条件の検討","PeriodicalId":39980,"journal":{"name":"Yosetsu Gakkai Ronbunshu/Quarterly Journal of the Japan Welding Society","volume":null,"pages":null},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2021-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"1","resultStr":"{\"title\":\"Study on Proper Welding Condition for Ultra-Narrow Gap Submerged Arc Welding\",\"authors\":\"Y. Abe, T. Fujimoto, Mitsuyoshi Nakatani, M. Shigeta, Manabu Tanaka\",\"doi\":\"10.2207/QJJWS.39.64\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"サブマージアーク溶接(Submerged arc welding: SAW)は その高溶着効率,高品質性から,圧力容器などの大型鋼構 造物の厚板,極厚板突合せ溶接に多く使われている.厚板 や極厚板に対する SAWでは,融合不良(Lack of fusion: LF) などの溶接欠陥防止のため開先角度を 30°程度まで広くする 必要がある.開先角度が広くなると開先断面積が大きくな り,積層完了までに多大な時間を要する. 開先角度を 1~3°とし,ルート幅を狭くした狭開先 SAW では,開先断面積が小さくなり,溶接時間を短縮できる. 狭開先 SAW技術はこれまでいくつか研究開発が行われてき た1-4.近年では,開先角度をほぼ 0°とし,極厚板を初層か ら最終層まで 1層 1パスで積層する極狭開先 SAWの研究も 進められている5-6.1層 1パス施工では 1パスで両側の開先 壁を溶融させる必要があるが,開先底のコーナー部はアー クプラズマで直接加熱しにくい,熱が拡散しやすい7などの 理由から溶融しにくく,融合不良が生じやすい(Fig.1 (a)). また,開先が狭くなると溶接後にスラグが自然にはく離せ ず,除去が困難となる1.特に,開先壁にアンダカット (Fig.1 (b))が生じた場合,スラグが固着し,十分に除去で きないとスラグ巻込みの原因となる.これらの溶接欠陥を 防止するには,両側の開先壁を溶融しつつ,アンダカット が生じない溶接部形状(Fig.1 (c))となる溶接条件を選定す る必要がある. 一方,近年ではデジタル波形制御が可能な大容量の溶接 電源が開発されており8-9,従来の可動鉄心形と比較して出 力の安定性や再現性が向上し,極性比率(特に棒マイナス の比率を EN比と定義する),周波数,位相差などの出力波 形をより精密に制御可能である.宮田らは溶接電流 600A, 電圧 33V,溶接速度 40cm/minの溶接条件に対し,EN比を 0.0 から 1.0まで変化させてビードオンプレート溶接を実施し, ワイヤ送給速度が±20%程度変化することを明らかにし た8.これは,EN比によりワイヤ送給速度すなわち溶着断 面積を制御できることを示している.このように,デジタ ル波形制御電源では EN比などのパラメータにより溶接部形 状の制御が可能となり,極狭開先 SAWにおいて溶接欠陥(融 合不良,アンダカット)の防止が期待できる. しかしながら,上述のように実施工における知見とノウ ハウが蓄積されつつある今も,依然として現象の詳細は不 明である.なぜなら,SAWは溶接部を覆うフラックスによっ て,アークプラズマの挙動,電極の溶融,溶滴移行,溶融 池形成,フラックスの溶融と蒸発,そしてそれに続くプラ ズマ周囲での多成分系の凝縮と凝固といった複雑な現象の 直接観察が困難となっており10-17,フラックス中にトンネル を設けてアーク空間に影響を与えつつも可視化を行ったと いう報告が数例あるのみである18-19.それに対して,数値シ ミュレーションによる現象解明も進められている.例えば, 計算格子を用いた手法によって熱エネルギーのバランスを 極狭開先サブマージアーク溶接における適正溶接条件の検討\",\"PeriodicalId\":39980,\"journal\":{\"name\":\"Yosetsu Gakkai Ronbunshu/Quarterly Journal of the Japan Welding Society\",\"volume\":null,\"pages\":null},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2021-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"1\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Yosetsu Gakkai Ronbunshu/Quarterly Journal of the Japan Welding Society\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.2207/QJJWS.39.64\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"Q3\",\"JCRName\":\"Materials Science\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Yosetsu Gakkai Ronbunshu/Quarterly Journal of the Japan Welding Society","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.2207/QJJWS.39.64","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"Q3","JCRName":"Materials Science","Score":null,"Total":0}
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Study on Proper Welding Condition for Ultra-Narrow Gap Submerged Arc Welding
サブマージアーク溶接(Submerged arc welding: SAW)は その高溶着効率,高品質性から,圧力容器などの大型鋼構 造物の厚板,極厚板突合せ溶接に多く使われている.厚板 や極厚板に対する SAWでは,融合不良(Lack of fusion: LF) などの溶接欠陥防止のため開先角度を 30°程度まで広くする 必要がある.開先角度が広くなると開先断面積が大きくな り,積層完了までに多大な時間を要する. 開先角度を 1~3°とし,ルート幅を狭くした狭開先 SAW では,開先断面積が小さくなり,溶接時間を短縮できる. 狭開先 SAW技術はこれまでいくつか研究開発が行われてき た1-4.近年では,開先角度をほぼ 0°とし,極厚板を初層か ら最終層まで 1層 1パスで積層する極狭開先 SAWの研究も 進められている5-6.1層 1パス施工では 1パスで両側の開先 壁を溶融させる必要があるが,開先底のコーナー部はアー クプラズマで直接加熱しにくい,熱が拡散しやすい7などの 理由から溶融しにくく,融合不良が生じやすい(Fig.1 (a)). また,開先が狭くなると溶接後にスラグが自然にはく離せ ず,除去が困難となる1.特に,開先壁にアンダカット (Fig.1 (b))が生じた場合,スラグが固着し,十分に除去で きないとスラグ巻込みの原因となる.これらの溶接欠陥を 防止するには,両側の開先壁を溶融しつつ,アンダカット が生じない溶接部形状(Fig.1 (c))となる溶接条件を選定す る必要がある. 一方,近年ではデジタル波形制御が可能な大容量の溶接 電源が開発されており8-9,従来の可動鉄心形と比較して出 力の安定性や再現性が向上し,極性比率(特に棒マイナス の比率を EN比と定義する),周波数,位相差などの出力波 形をより精密に制御可能である.宮田らは溶接電流 600A, 電圧 33V,溶接速度 40cm/minの溶接条件に対し,EN比を 0.0 から 1.0まで変化させてビードオンプレート溶接を実施し, ワイヤ送給速度が±20%程度変化することを明らかにし た8.これは,EN比によりワイヤ送給速度すなわち溶着断 面積を制御できることを示している.このように,デジタ ル波形制御電源では EN比などのパラメータにより溶接部形 状の制御が可能となり,極狭開先 SAWにおいて溶接欠陥(融 合不良,アンダカット)の防止が期待できる. しかしながら,上述のように実施工における知見とノウ ハウが蓄積されつつある今も,依然として現象の詳細は不 明である.なぜなら,SAWは溶接部を覆うフラックスによっ て,アークプラズマの挙動,電極の溶融,溶滴移行,溶融 池形成,フラックスの溶融と蒸発,そしてそれに続くプラ ズマ周囲での多成分系の凝縮と凝固といった複雑な現象の 直接観察が困難となっており10-17,フラックス中にトンネル を設けてアーク空間に影響を与えつつも可視化を行ったと いう報告が数例あるのみである18-19.それに対して,数値シ ミュレーションによる現象解明も進められている.例えば, 計算格子を用いた手法によって熱エネルギーのバランスを 極狭開先サブマージアーク溶接における適正溶接条件の検討