Takuya Togawa, Y. Hayashi, H. Kato, K. Shimizu
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Housing Supply Policy for Reducing Mismatch between Demand and Supply in a Aging Society
日本では戦後,高度経済成長や人口・世帯数増加に 合わせて,住宅需要が拡大する時代が続いた.政府はそ れに対応すべく,新規住宅の大量供給を進めてきた.し かし現在は,経済安定期に入り人口も減少に転じるなど, 状況は一変した.住宅ストックが大量に存在しながら住 宅需要の拡大は鈍るため,空き家数の増加が進んでおり, 今後さらに顕著になると予測される.その一方で,核家 族化の進展など世帯属性の変化が,住宅の需要とストッ クとの質的なミスマッチを増大させることによって,総 延床面積だけ見れば既存ストックで十分な供給がなされ ているにも関わらず,新規供給も行われる必要があると いう状況に陥ることが懸念される. 空き家は,住宅需給が円滑に行われるためにはある 程度必要である.しかし,適正水準をはるかに超えた空 き家の存在は,景観や治安を悪化させ,当該地域の衰退 を加速させる恐れがある.さらに,居住地域の希薄化に 伴って,インフラサービスの効率性が低下することが考 えられ,財政面からも好ましくない. 住宅はライフタイムが長期にわたるとともに,頻繁 な建替えは経済面からも環境面からも望めないことから, 現在の住宅供給政策の方向性はその後数十年にわたって 都市・地域の空間構造を規定することになる.したがっ て,今後の空き家の過剰発生を抑制するためには,将来 世代の需給動向を把握し,それに見合った住宅ストック 形成へと誘導していくことが必要である. 図-1は愛知県の世帯数の実績値,および国立社会 保障・人口問題研究所による2010年以降の将来予測値 * キーワーズ:住宅立地,地域計画,人口分布 ** 学生員,修(情報科学),名古屋大学大学院 環境学研究 科 都市環境学専攻(〒464-8603 名古屋市千種区不老町, TEL 052-789-3828,FAX 052-789-1454, E-Mail: togawa@urban.env.nagoya-u.ac.jp) *** フェロー,工博,名古屋大学大学院教授 環境学研究科 都市環境学専攻 **** 正員,博(工),名古屋大学大学院准教授 環境学研究科 都市環境学専攻 ***** 非会員,修(工),静岡県浜松市役所 0 50000