A. Masuda
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Recent Situation and Future Prospects of Photovoltaics
2008年秋以降のリーマンショックに基づく世界的な経 済不況や,スペインでのフィードインタリフ制度(固定価 格買取制度)の大幅縮小にも関わらず,太陽電池生産量は 停滞することなく増加し,2010年の世界生産量は17GW に達した.この値はピークエネルギーで原子力発電所約 17基分に相当する.First Solar社が生産するテルル化カ ドミウム太陽電池が,低コストを武器に世界を席巻してい る状況であるが,現在でも生産量の8割以上は結晶シリコ ン系太陽電池である.2~3年前までは,結晶シリコン系 太陽電池の原料となるポリシリコンの供給不足が深刻な問 題となっていたが,2008年秋以降の世界的な半導体不況 やポリシリコン生産体制の拡充などにより,現時点では原 料問題は緩和し落ち着きを取り戻している. 太陽光発電の最大の課題は発電コストが高価なことであ る.独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)が策定したロードマップPV2030+に従い,ま ずは家庭用電力並の23円/kWhまで発電コストを下げる ことでグリッドパリティを実現し,さらには2030年には 事業用電力並の7円/kWhまで下げるには,不断の研究開 発が必要である.もちろん,将来のコストダウンに対して は,色素増感系太陽電池や有機薄膜系太陽電池の市場導入 に期待するところも大きいが,現在上市されている太陽電 池における発電コストの低減は喫緊の課題である. 太陽光発電のコストは,変換効率,製造コスト,寿命の 3つの因子により決定される.少しでも変換効率を上げる ことは発電コストの低減に重要ではあるが,結晶シリコン 系太陽電池の最高効率は理論効率にかなり近づきつつあ る.また,例えば変換効率を上げるために,製造コストも 上がる技術を使えば,結果的に発電コストは上がる可能性 もある.効率と価格のいずれも高い太陽電池や,効率と価 格のいずれも低い太陽電池など,目的や設置形態等に応じ て棲み分けることも考えられるが,常に忘れてはならない 観点は発電コストである.製造コストの低減には,大面積 化や高速形成等のスループットの向上が求められる.一方 で,長寿命化すなわち信頼性の向上は,発電コストの低減 に直結する技術であり,簡単に言えば,寿命が2倍になれ ば,その太陽電池モジュールが生涯のうちに生み出す電力 は2倍になるので,発電コストは1/2になる. 結晶シリコン系,薄膜シリコン系,化合物薄膜系,色素