M. Tuda
{"title":"土壤环境下细菌基因组的表达","authors":"M. Tuda","doi":"10.3118/JJSE.6.59","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"様々な自然生態系から多種多様な生物現象を示す 微生物株が数多く分離され、先人たちは実験室で純 粋培養したこれら微生物をいろいろな角度から検討 することで、個々の生物機能の分子メカニズム、そ して、システムとしての細胞や同一株集団における 当該生物機能の発現様式の詳細を明らかにしてきた。 その一方で、物理的、化学的並びに生物学的に複雑 な環境要因の大規模な変動に曝される複合生物系の 自然生態系で、研究対象としてきた環境微生物が実 験室で純粋培養したときと同じような様式で生物機 能を発揮しているのかという、シンプルだが最も重 要な問題は手がつけられないでいた。この類の包括 的な研究は、微生物の持つ生物機能を人間が自然環 境で利用するバイオレメディエーションなどをはじ めとする応用分野において、とりわけ重要である。 そして、生物機能を直接支配する個々の特定遺伝子 の生態系での量的変動や発現などの記載が行われて きた結果、生態系での遺伝子発現は実験室系の単独 培養時の発現とは異なっていると提唱されるように なった。ただ、この提唱には曖昧なところがたいへ ん多く、この原因として、How とか Why という観 点での研究を展開するための手法が不備であったこ とがあげられる。一方、動植物病原細菌を扱う研究 者は 1990 年代より、感染モデル生物を「培養装置」 と見立て、この環境で菌の生存・増殖に必要な遺伝 子や特異的に発現する遺伝子をゲノムワイドに探 索・解析することで、病原細菌の「培養装置」での 「真の」生きざまを明らかにし、病原性発揮に直接 的並びに間接的に必要な遺伝子群の総合的理解を深 めてきた(1, 2)。このような方向性を持った研究は、 微生物ゲノムの全塩基配列決定が容易になるにつれ、 さらに進展している。他方、環境細菌においては、 土壌などの自然環境を「培養装置」と見立て、本環 境で生存・増殖に必要な遺伝子や特異的に発現する 遺伝子を探索・解析する研究がなかったが、この数 年の間に自然環境での微生物の特定遺伝子やゲノム 全体の発現を解析する手法が急速に確立されてきた (3)。本稿では、土壌環境で実際に機能している遺伝 子をどのように検索・解析するかについて、我々の 最近の研究例(4)を簡単に紹介する。","PeriodicalId":204480,"journal":{"name":"Journal of Japanese Society for Extremophiles","volume":"12 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"1900-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Expression of Bacterial Genome under Soil Environment\",\"authors\":\"M. Tuda\",\"doi\":\"10.3118/JJSE.6.59\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"様々な自然生態系から多種多様な生物現象を示す 微生物株が数多く分離され、先人たちは実験室で純 粋培養したこれら微生物をいろいろな角度から検討 することで、個々の生物機能の分子メカニズム、そ して、システムとしての細胞や同一株集団における 当該生物機能の発現様式の詳細を明らかにしてきた。 その一方で、物理的、化学的並びに生物学的に複雑 な環境要因の大規模な変動に曝される複合生物系の 自然生態系で、研究対象としてきた環境微生物が実 験室で純粋培養したときと同じような様式で生物機 能を発揮しているのかという、シンプルだが最も重 要な問題は手がつけられないでいた。この類の包括 的な研究は、微生物の持つ生物機能を人間が自然環 境で利用するバイオレメディエーションなどをはじ めとする応用分野において、とりわけ重要である。 そして、生物機能を直接支配する個々の特定遺伝子 の生態系での量的変動や発現などの記載が行われて きた結果、生態系での遺伝子発現は実験室系の単独 培養時の発現とは異なっていると提唱されるように なった。ただ、この提唱には曖昧なところがたいへ ん多く、この原因として、How とか Why という観 点での研究を展開するための手法が不備であったこ とがあげられる。一方、動植物病原細菌を扱う研究 者は 1990 年代より、感染モデル生物を「培養装置」 と見立て、この環境で菌の生存・増殖に必要な遺伝 子や特異的に発現する遺伝子をゲノムワイドに探 索・解析することで、病原細菌の「培養装置」での 「真の」生きざまを明らかにし、病原性発揮に直接 的並びに間接的に必要な遺伝子群の総合的理解を深 めてきた(1, 2)。このような方向性を持った研究は、 微生物ゲノムの全塩基配列決定が容易になるにつれ、 さらに進展している。他方、環境細菌においては、 土壌などの自然環境を「培養装置」と見立て、本環 境で生存・増殖に必要な遺伝子や特異的に発現する 遺伝子を探索・解析する研究がなかったが、この数 年の間に自然環境での微生物の特定遺伝子やゲノム 全体の発現を解析する手法が急速に確立されてきた (3)。本稿では、土壌環境で実際に機能している遺伝 子をどのように検索・解析するかについて、我々の 最近の研究例(4)を簡単に紹介する。\",\"PeriodicalId\":204480,\"journal\":{\"name\":\"Journal of Japanese Society for Extremophiles\",\"volume\":\"12 1\",\"pages\":\"0\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"1900-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Journal of Japanese Society for Extremophiles\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.3118/JJSE.6.59\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Journal of Japanese Society for Extremophiles","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.3118/JJSE.6.59","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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