Rethinking Psychological Research Methods From The Seven Deadly Sins of Psychology

工藤与志文 2019 年 4 月に,クリス・チェインバース著『心理学 7つの大罪』の翻訳がみすず書房より刊行された (Chambers, 2017 大塚訳 2019)。同書であげられている「7 つの大罪」とは以下のものである。 第 1の罪 心理学はバイアスの影響を免れていない。 第 2の罪 心理学は分析に密かな柔軟性を含ませて いる。 第 3の罪 心理学は自らを欺いている。 第 4の罪 心理学はデータを私物化している。 第 5の罪 心理学は不正行為を防止できていない。 第 6の罪 心理学はオープン・サイエンスに抵抗し ている。 第 7の罪 心理学はでたらめな数字で評価を行って いる。 さらに上記を受け,最終章として「救済」という名 の章が置かれている。以上の「告発」において,科学 的方法の標準である「仮説演繹モデル」からの逸脱と して,次のような問題点が指摘されている。 ・直接的追試の欠如→偽の発見の排除を妨げ,エビ デンスの基盤を弱める。 ・低い検定力→真の発見を逃す可能性を高める。 ・p値ハッキング→有意差が出るまでデータを収集 する。望ましいデータだけ報告する。 学会企画チュートリアル・セミナー