S. Miwa, Y. Ohtake
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引用次数: 2
Chemical Changes in Cross-linked Silicone Rubber by Ozone-water Treatments
飲料水の浄化,医療用器具の殺菌等を目的として,水中 においてオゾン処理を行う事例が増加している.オゾンは 水中に溶解すると自己分解反応を起こし,その過程でオゾ ンより高い酸化力を有するヒドロキシルラジカル(・OH) 等の活性酸素種を生成する.特に高い標準酸化還元電 位(2.81 V)を有する・OHは,C=C結合のない飽和炭化 水素系化合物に対しても速やかに反応する.この強い 酸化力のため,オゾンの溶解した水,いわゆるオゾン水中 でパッキン等のゴム部品は速やかに劣化する事象があり, 我々は既にエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM),フ ッ素ゴム(FKM)の劣化現象とその反応機構について報 告している. EPDM,FKM以外に耐オゾン性を有するゴム材料とし てシリコーンゴムがよく知られている.シリコーンゴムは, 主鎖のSi-O結合の平均結合エンタルピー(⊿H=466 kJ mol)に基づく高い化学安定性を有することから,過 酷な環境下で多く使用され,熱や酸素,放射線等の多様な 劣化因子に対する評価が実施されている.オゾンに 関しては,オゾン単独に対する劣化評価は少なく,紫外線 照射やコロナ放電と同時に発生するオゾンを併せた複合処 理後のシリコーンゴム表面がX線光電子分光法,フーリ エ変換赤外分光(FT-IR)法により評価されており, シリコーンゴム表面は,ポリマー主鎖の変化に関連した特 異的な構造変化を示すことが知られている.したがって, シリコーンゴムはオゾン水中においても,他の汎用ゴム材 料と異なる劣化挙動を示す可能性がある. ホースやパッキン等に使用されるシリコーンゴムとし て,ミラブル型シリコーンゴムコンパウンドが多種類にわ たり市販されている.コンパウンドは主にジメチルシロキ サン(-Si (CH3)2O-)構造をモノマー単位とするポリジメ チルシロキサン(PDMS)等のポリマー,物理的特性を強 化するためのシリカ,シリカの分散性向上のためのウェッ ター,硬度調整のための可塑剤等が配合されたものである. また,ミラブル型シリコーンゴムの架橋には,有機過酸化 物を用いる方法が広く用いられている.本研究では市販品 のシリコーンゴムを有機過酸化物で架橋した試料をオゾン 水中で浸せき処理し,その劣化現象と化学構造変化の関係 性を検討した.