Enzyme-Mediated Asymmetric Transformation of Organometallic Compounds of Metallocene Group.

酵素 の不斉合成触媒 としての有用性が広 く認識 され, さ まざ まな化合物 が酵素 変換 の対象 となっている,近 年 では,チ ッ素や イ オ ウを含む複素環式化合物や 水素 フ ッ索置換体,炭素 ケ イ素置換体,有 機リ ン,有 機セ レ ン化合物な ど ヘ テ ロ原子化 合物 の 反応 例が増 加 して い る(1)し か し,こ れ らの元素 も100種 以上 を数え る全元 素の ごく一部にす ぎない.大 多数を占め る金属元素 につ いてみれば,そ れ らを含む化合物の酵 素的不 斉変換 の研 究は非常 に少な い. 有機金属化合物や有機 キ レー ト錯体は,元 素の種類の 多 さと原子価 の大 きさがあ いまって きわめて多様な構造 を持 ち,フ ェロセニルポスフ ィン ロジウム錯体 のような 合成触媒や,抗 腫瘍性 ア ミン白金錯体 のよ うな生理活性 物質 な ど高機能 性化合物 を多故 含んでいる、通常 の有機 化合 物 の場合 と岡様 に,こ れ らの機能発現やそ の研究の ためにキ ラリテ ィが しぼ しば要 求され,光 学活性な有機 金属 ・錯体 を得 る優れ た方法 の開発 が待望 され ている. したがって,酵 素反応 の特徴 である立体選択性 をこの方 面 でも活用 でき るな ら,バ イオテ クノロ ジーによる物質 生産 の新 領域が開かれ よ う. 本総説 は,有 機金属化合物 のなか でも特徴的な一群で あ るメタ ロセ ン型有機金属化合物 の酵素的不斉変換 につ いて筆 者 らの研究 を中 心にま とめたものであ る.