{"title":"電子ビームの生成とその応用技術;電子ビームの生成とその応用技術;Electron Beam Production and Its Application Technology","authors":"Junzo Ishikawa","doi":"10.3131/JVSJ2.60.35","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"電子は全ての物質の構成要素であり無尽蔵に存在し,かつ 質量が最も小さな荷電粒子である.そのため電子ビームは容 易に発生させることができ,また電界や磁界を利用してそれ を自由に操ることができる.従来真空中への電子の発生法は 熱電子放出現象を利用したものがほとんどであったが,最 近,新しい電子の発生法としてミクロンサイズの電界放出微 小電子源を多数集積して電子ビームを発生しそれを応用する 新しい分野ができ,真空ナノエレクトロニクス分野と呼ばれ ている. 電子ビームと高周波との相互作用と電子ビームの弾道性を 利用すると,半導体素子では発生が難しい GHz オーダーの 超高周波で kW~MW 級の大電力電子管(速度変調管,進 行波管,マグネトロン,ジャイロトロン)が実現できる.特 にマグネトロンは電子レンジ用高周波電源として我々の暮ら しに大いに役立っている. 高エネルギー電子ビームを固体に照射すると,多くは固体 原子とほとんど相互作用せず通過するが,一部は固体原子の 原子核と衝突して運動方向を大きく変え,また,同じ質量の 固体原子中の電子と衝突してエネルギー交換する.これらの 衝突により,固体物質との間に熱エネルギーの伝達や種々の 物理的,化学的現象を生じる.固体に高エネルギー密度の熱 エネルギーが伝達されると,固体物質は溶融や蒸発が起きる ので,従来からそれを利用した種々の応用が行われている. 電子のエネルギーの一部は X 線の発生や電子の励起に費や される.固体原子中の電子の励起により,高分子材料の炭素 結合の鎖を切ったり結合したりする現象や,微生物の DNA を破壊する現象が生じる. 電子ビームは真空槽内で利用されるばかりでなく,薄いチ タン箔を通して真空外の大気中に取り出して種々の材料に電 子ビーム照射を行う応用が最近増えてきている. 本稿では,新しい電子ビームの生成法と,電子ビームを固 体材料に照射した場合に生じる現象を説明し,それ利用した 最近の応用技術について述べる.","PeriodicalId":17344,"journal":{"name":"Journal of The Vacuum Society of Japan","volume":"4 1","pages":"35-39"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2017-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Journal of The Vacuum Society of Japan","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.3131/JVSJ2.60.35","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}