{"title":"Some Aspects of the Variation of Particulate Phosphorus in a Eutrophic Coastal Environment","authors":"O. Matsuda, Takuo Endo, H. Koyama","doi":"10.15027/41243","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"前報で瀬戸内海備後灘におけるリンの存在様式とその季節変動を,海水中のリンを懸濁態リン(particulate phosphorus,PP),溶存態無機リン(DIP),溶存態有機リン(DOP)の3態に分別定量する方法により明らかにし,PPとchlorophyll αの相関について考察を加えた。本研究は前報に報告したPPについて,その内容と変動要因を,同時に測定した懸濁態炭素(particulate carbon,PC),懸濁態窒素(particulate nitrogen,PN),全懸濁物乾重量(seston weight,SW),chlorophyll α(chl.α) および透明度の値を用いて解析したものである。\n\n1. SWは,暖季には値が大きく変動も大きいが,低温期には値が小さい場合が多かった。地点別では,沖合のSt.BG-1に比べ,沿岸の浅所の観測点St.2で値が大きく特に海底に接近した5m層では大きい値が観測された(Fig.1,Table 3)。\n2. 透明度(Tr,m)と0m層におけるSW(mg/l)との関係は,極めて特殊な3例を除き,ほぼ双曲線的で分布範囲は(Tr)・(SW)=9~20であった(Fig 2)。\n3. PCがPNと非常に高い相関を示したこと,回帰式から得られたPC/PN 比が約7.0であったことから(Fig.3),今回測定したPC,PNはともに主として有機懸濁物成分であったと考えられた。\n4. PC/SW比は,懸濁物の有機性の強弱(懸濁物中に有機物が占める割合の大小)の指標として考えることができる。この比の平均値から判断すると,懸濁物の有機性は暖季の沖合点St.BG-1で最も強く,低温期(鉛直循環期)のSt.2で最も弱かった(Table 3)。この比の変動は植物プランクトンによるPCの生成と,河川水の流入や底質の再懸濁に伴う無機懸濁粒子の増加とによって,ほぼ説明できた。\n5. 懸濁物のリン含有率は,無機的性質の強い懸濁物では一般に低く,一方,有機性の強い懸濁物ではリン含有率の高い例が相当数あった(Fig.5)。最も有機性の強い懸濁物は赤潮時やSt.BG-1の0m層で観測され,その際,リン含有率は0.32~0.45%に達した。最小値はSt.BG-1の底層で観測され0.06%であった。\n6. PCのchl.αに対する回帰およびPC/chl.α比の値から,St.2の懸濁有機物は主として植物プランクトンであり,一方St.BG-1にはデトリタス状の懸濁有機物が多かったと考えられた。\n7. 有機懸濁物量(Org)を2・PCと見積り,従って無機懸濁物量(Inorg) をSW-2・PCと計算して,PPのOrg,Inorgに対する重回帰を調べると,一般にPPの増減はOrgのそれに強く依存していた(Table 5)。PPがInorgと有意の回帰を示したのはSt.BG-1の20m層においてのみであった。\n8. 前項の関係をさらに理解するため,懸濁態炭素(PC)を計算によって植物プランクトン態炭素(chl.α量の30または60倍)と非植物プランクトン態炭素に二分し,両者に対するPPの重回帰を季節・深度別に解析したところ,St.2においては暖季の底層を除いて,またSt.BG-1では暖季の0,10m層において,PPの変動は植物プランクトン態炭素に強く依存しており,非植物プランクトン態炭素とは明瞭な関係になかった(Table 6)。\n9. PPと他の懸濁物成分との共存状態を把握するため,この研究で取扱った懸濁物をその分析測定値にもとづいて,赤潮型,植物プランクトン型,デトリタス型,無機懸濁物型の4種類に分類し,各類型毎に出現状況およびPPの関係する成分比を整理した(Table 7,8; Fig.6)。","PeriodicalId":367778,"journal":{"name":"Journal of the Faculty of Fisheries and Animal Husbandry,Hiroshima University","volume":"131 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"1976-07-20","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"2","resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Journal of the Faculty of Fisheries and Animal Husbandry,Hiroshima University","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.15027/41243","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}