S. Fukui, Kiwako S. Araki
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{"title":"无性系植物的生殖方式(无性系vs种子)和空间遗传结构:无性系生活史对环境异质性的适应","authors":"S. Fukui, Kiwako S. Araki","doi":"10.18960/SEITAI.67.2_147","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"要旨:種子植物にはクローン成長で親ラメットの近隣に娘ラメットを生産することで、遺伝的に同一な株の集合が個体 となるクローナル植物がある。多くの陸上植物は固着性であり、一度定着したラメットはその場所から移動できないた め、クローン成長によるクローンサイズの拡大に伴い、同一クローン内のラメットでも時間空間的な環境変動を経験す る。このようなクローン成長に対し、種子繁殖は遠方への分散で環境変動のリスクを回避することができる。繁殖戦略 の違いは分散戦略の違いと、遺伝組成の相違の観点から議論されてきた。成育地での撹乱は個体の死亡に大きく影響す るが、個体の成育環境への適合性を前提として撹乱前後の成育環境の変化に注目した分散戦略の進化はこれまで考えら れてはこなかった。本稿では、成育地への撹乱はそこにいる生物個体の死亡に直接影響するというよりも、成育地の土 壌水分や光強度といった性質の変化を通して間接的に影響するものとして、成育環境の時空間変動を表現した空間明示 型の個体ベースモデルによってシミュレーションを行った。時空間的に変動する成育環境において、クローン成長のみ の繁殖は不適であった。しかし、少ない機会で種子繁殖による遺伝的多様性を保ちつつ、旺盛にクローン成長を行う戦 略がこのような環境で有効性を発揮することが示された。また、自然界でクローン成長を行っている植物は、このよう な時空間的な環境の違いに応じた繁殖をおこなっているかをクローナル植物の野外データを用いて検証した。野外個体 群内の個体の位置と遺伝子型を調べ、ペア相関関数によって空間的遺伝構造を種間で比較した。さらに、シミュレーシ ョンにおいても同様のデータの取り扱いが可能であるため、自然界で見られる空間的遺伝構造を再現するようさまざま な変動環境下でシミュレーションを行った。その結果、スズランの野外個体群のデータは、成育環境との適合性を考慮 したうえで、インパクトの小さい環境変動が高頻度で起きているシミュレーションの空間的遺伝構造パターンが類似し、 このような環境変動が個体群構造に影響していることが示唆された。 キーワード:空間的遺伝構造・繁殖様式・ニッチ","PeriodicalId":35907,"journal":{"name":"Japanese Journal of Ecology","volume":"1 1","pages":"147-159"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2017-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Reproductive ways (Clonal vs seed) and spatial genetic structure in clonal plants: Adaptation to environmental heterogeneity in sessile life histories\",\"authors\":\"S. Fukui, Kiwako S. Araki\",\"doi\":\"10.18960/SEITAI.67.2_147\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"要旨:種子植物にはクローン成長で親ラメットの近隣に娘ラメットを生産することで、遺伝的に同一な株の集合が個体 となるクローナル植物がある。多くの陸上植物は固着性であり、一度定着したラメットはその場所から移動できないた め、クローン成長によるクローンサイズの拡大に伴い、同一クローン内のラメットでも時間空間的な環境変動を経験す る。このようなクローン成長に対し、種子繁殖は遠方への分散で環境変動のリスクを回避することができる。繁殖戦略 の違いは分散戦略の違いと、遺伝組成の相違の観点から議論されてきた。成育地での撹乱は個体の死亡に大きく影響す るが、個体の成育環境への適合性を前提として撹乱前後の成育環境の変化に注目した分散戦略の進化はこれまで考えら れてはこなかった。本稿では、成育地への撹乱はそこにいる生物個体の死亡に直接影響するというよりも、成育地の土 壌水分や光強度といった性質の変化を通して間接的に影響するものとして、成育環境の時空間変動を表現した空間明示 型の個体ベースモデルによってシミュレーションを行った。時空間的に変動する成育環境において、クローン成長のみ の繁殖は不適であった。しかし、少ない機会で種子繁殖による遺伝的多様性を保ちつつ、旺盛にクローン成長を行う戦 略がこのような環境で有効性を発揮することが示された。また、自然界でクローン成長を行っている植物は、このよう な時空間的な環境の違いに応じた繁殖をおこなっているかをクローナル植物の野外データを用いて検証した。野外個体 群内の個体の位置と遺伝子型を調べ、ペア相関関数によって空間的遺伝構造を種間で比較した。さらに、シミュレーシ ョンにおいても同様のデータの取り扱いが可能であるため、自然界で見られる空間的遺伝構造を再現するようさまざま な変動環境下でシミュレーションを行った。その結果、スズランの野外個体群のデータは、成育環境との適合性を考慮 したうえで、インパクトの小さい環境変動が高頻度で起きているシミュレーションの空間的遺伝構造パターンが類似し、 このような環境変動が個体群構造に影響していることが示唆された。 キーワード:空間的遺伝構造・繁殖様式・ニッチ\",\"PeriodicalId\":35907,\"journal\":{\"name\":\"Japanese Journal of Ecology\",\"volume\":\"1 1\",\"pages\":\"147-159\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2017-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Japanese Journal of Ecology\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.18960/SEITAI.67.2_147\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"Q4\",\"JCRName\":\"Environmental Science\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Japanese Journal of Ecology","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.18960/SEITAI.67.2_147","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"Q4","JCRName":"Environmental Science","Score":null,"Total":0}
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