T. Kinoshita
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Development of the Molding Material Using Urushi Sap and Thinned Wood Powder
「漆器」は,英語で「japan」と表記される日本を代表 する工芸品であり,「漆」は塗料として,20世紀前半ま で器類だけではなく家具・建築物,織物用の型紙,鉄道 車両や自転車まで用途も広がったが,石油を原料とする 合成樹脂塗料が開発されると,その利用の中心は漆器と 神仏具となっていった。また,バブル崩壊後の漆器業 界は,国民の生活様式の変化,素地や表面塗装に合成樹 脂を用いた「合成漆器」の供給,安価な輸入品の台頭, 消費者ニーズに適応した商品開発の遅れなどにより生産 額,企業数,従業員数いずれも減少が続いている。 ただし近年は,地球環境問題の高まりにより,ものづ くりの製造プロセスや塗料などの材料は,環境配慮型へ と転換を迫られている。また,日本の伝統工芸に対し て,国民のニーズが生活の量的充足から質的充足へと変 化,都市化や生活の洋風化が進む中で地域独自の文化を 見直す風潮,「和」の暮らしの知恵が見直されるととも に我が国の歴史的基盤としての「ものづくり」に対する 再評価,欧米においての「和」のブームによる和風の生 活様式に対する関心の高まり,といったプラスの状況変 化も生まれている。 この機運を活用し,漆関連産業には,天然で持続可能 な環境配慮形材料である漆をもっと主張し,特徴ある新 商品の開発が望まれている。 そこで本稿では,現代の生活様式にマッチした「漆 器」を実現するために素地に着目し,従来の伝統的漆器 に用いられていた「漆」と「木」という天然原料のみを 用いて,漆器素地を製造できる成形材料を,企業との共 同研究により開発,実用化したので報告する。