Ikumi Monma, K. Iyori, R. Fukushima, K. Nishifuji
{"title":"犬皮肤微丝虫病推定","authors":"Ikumi Monma, K. Iyori, R. Fukushima, K. Nishifuji","doi":"10.2736/JJVD.22.206","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"* 連絡先:西藤公司(東京農工大学) 〒 183-8509 東京都府中市幸町 3-5-8 TEL/FAX 042-367-5777 E-mail: kojimail@cc.tuat.ac.jp 犬の皮膚ミクロフィラリア症は犬糸状虫などの仔虫が 皮膚に迷入することで生じる寄生虫性皮膚疾患である 。 本症は外飼いの犬に発症しうるものの,近年では犬糸状 虫症に対する予防薬が広く普及したことから,本邦にお ける発症頻度は低くなっている。今回,病理組織学的検 査により皮膚組織中に線虫類の仔虫を認め,また肺動脈 における犬糸状虫寄生や末梢血中にミクロフィラリアが 認められたことから、犬糸状虫症に伴う皮膚ミクロフィ ラリア症を疑った犬の症例に遭遇したため,その概要を 報告する。 症例は未去勢雄の雑種犬で,保護犬のため年齢不詳で あった。保護時より全身に重度のかゆみや落屑,脱毛を 認めたとのことで,東京農工大学農学部附属動物医療セ ンターを紹介受診した。初診時,本症例では全身に脱毛, 鱗屑および痂皮が認められ,特に顔面,鼻梁,耳輪,腰 背部,膁部および四肢端において顕著であった(Fig. 1)。 身体検査では,可視粘膜の蒼白化および腹囲膨満が認め られ,また毛細血管再充填速度の延長が認められた。完 全血球計算では軽度の貧血(PCV: 33%, RBC: 518 × 10 / μL, Hb: 11.5 g/dL)が認められ,血液塗抹所見では標本中 にミクロフィラリアが認められた。超音波断層撮影では 肺動脈における線虫の寄生,ならびにうっ血を伴う肝腫 大および腹水の貯留が認められた。のみ取り櫛検査およ び皮膚掻爬物鏡検を行ったが,外部寄生虫や真菌は皮膚 掻爬物中に認められなかった。 皮膚疾患の確定診断を目的とし,局所麻酔下において 背部の皮膚 2 ヵ所からパンチ生検を実施した。皮膚病理 組織学的検査の結果,真皮の 1 ヵ所に限局したマクロフ ァージ,リンパ球および好酸球の浸潤を認め,中心には ミクロフィラリアの虫体が 1 匹認められた(Fig. 2)。上 記の結果より,本症例については皮膚ミクロフィラリア 症の可能性が考慮された。ミクロフィラリアの駆虫を目 的としてミルベマイシン・オキシム(ミルベマイシン A 錠,ノバルティス・アニマルヘルス,東京)0.53 mg/kg, 月 1 回内服投与による治療を開始したところ,治療開始","PeriodicalId":22603,"journal":{"name":"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology","volume":"30 1","pages":"205-206"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2016-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Putative Cutaneous Microfilariasis in a Dog\",\"authors\":\"Ikumi Monma, K. Iyori, R. Fukushima, K. Nishifuji\",\"doi\":\"10.2736/JJVD.22.206\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"* 連絡先:西藤公司(東京農工大学) 〒 183-8509 東京都府中市幸町 3-5-8 TEL/FAX 042-367-5777 E-mail: kojimail@cc.tuat.ac.jp 犬の皮膚ミクロフィラリア症は犬糸状虫などの仔虫が 皮膚に迷入することで生じる寄生虫性皮膚疾患である 。 本症は外飼いの犬に発症しうるものの,近年では犬糸状 虫症に対する予防薬が広く普及したことから,本邦にお ける発症頻度は低くなっている。今回,病理組織学的検 査により皮膚組織中に線虫類の仔虫を認め,また肺動脈 における犬糸状虫寄生や末梢血中にミクロフィラリアが 認められたことから、犬糸状虫症に伴う皮膚ミクロフィ ラリア症を疑った犬の症例に遭遇したため,その概要を 報告する。 症例は未去勢雄の雑種犬で,保護犬のため年齢不詳で あった。保護時より全身に重度のかゆみや落屑,脱毛を 認めたとのことで,東京農工大学農学部附属動物医療セ ンターを紹介受診した。初診時,本症例では全身に脱毛, 鱗屑および痂皮が認められ,特に顔面,鼻梁,耳輪,腰 背部,膁部および四肢端において顕著であった(Fig. 1)。 身体検査では,可視粘膜の蒼白化および腹囲膨満が認め られ,また毛細血管再充填速度の延長が認められた。完 全血球計算では軽度の貧血(PCV: 33%, RBC: 518 × 10 / μL, Hb: 11.5 g/dL)が認められ,血液塗抹所見では標本中 にミクロフィラリアが認められた。超音波断層撮影では 肺動脈における線虫の寄生,ならびにうっ血を伴う肝腫 大および腹水の貯留が認められた。のみ取り櫛検査およ び皮膚掻爬物鏡検を行ったが,外部寄生虫や真菌は皮膚 掻爬物中に認められなかった。 皮膚疾患の確定診断を目的とし,局所麻酔下において 背部の皮膚 2 ヵ所からパンチ生検を実施した。皮膚病理 組織学的検査の結果,真皮の 1 ヵ所に限局したマクロフ ァージ,リンパ球および好酸球の浸潤を認め,中心には ミクロフィラリアの虫体が 1 匹認められた(Fig. 2)。上 記の結果より,本症例については皮膚ミクロフィラリア 症の可能性が考慮された。ミクロフィラリアの駆虫を目 的としてミルベマイシン・オキシム(ミルベマイシン A 錠,ノバルティス・アニマルヘルス,東京)0.53 mg/kg, 月 1 回内服投与による治療を開始したところ,治療開始\",\"PeriodicalId\":22603,\"journal\":{\"name\":\"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology\",\"volume\":\"30 1\",\"pages\":\"205-206\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2016-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.2736/JJVD.22.206\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.2736/JJVD.22.206","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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Putative Cutaneous Microfilariasis in a Dog
* 連絡先:西藤公司(東京農工大学) 〒 183-8509 東京都府中市幸町 3-5-8 TEL/FAX 042-367-5777 E-mail: kojimail@cc.tuat.ac.jp 犬の皮膚ミクロフィラリア症は犬糸状虫などの仔虫が 皮膚に迷入することで生じる寄生虫性皮膚疾患である 。 本症は外飼いの犬に発症しうるものの,近年では犬糸状 虫症に対する予防薬が広く普及したことから,本邦にお ける発症頻度は低くなっている。今回,病理組織学的検 査により皮膚組織中に線虫類の仔虫を認め,また肺動脈 における犬糸状虫寄生や末梢血中にミクロフィラリアが 認められたことから、犬糸状虫症に伴う皮膚ミクロフィ ラリア症を疑った犬の症例に遭遇したため,その概要を 報告する。 症例は未去勢雄の雑種犬で,保護犬のため年齢不詳で あった。保護時より全身に重度のかゆみや落屑,脱毛を 認めたとのことで,東京農工大学農学部附属動物医療セ ンターを紹介受診した。初診時,本症例では全身に脱毛, 鱗屑および痂皮が認められ,特に顔面,鼻梁,耳輪,腰 背部,膁部および四肢端において顕著であった(Fig. 1)。 身体検査では,可視粘膜の蒼白化および腹囲膨満が認め られ,また毛細血管再充填速度の延長が認められた。完 全血球計算では軽度の貧血(PCV: 33%, RBC: 518 × 10 / μL, Hb: 11.5 g/dL)が認められ,血液塗抹所見では標本中 にミクロフィラリアが認められた。超音波断層撮影では 肺動脈における線虫の寄生,ならびにうっ血を伴う肝腫 大および腹水の貯留が認められた。のみ取り櫛検査およ び皮膚掻爬物鏡検を行ったが,外部寄生虫や真菌は皮膚 掻爬物中に認められなかった。 皮膚疾患の確定診断を目的とし,局所麻酔下において 背部の皮膚 2 ヵ所からパンチ生検を実施した。皮膚病理 組織学的検査の結果,真皮の 1 ヵ所に限局したマクロフ ァージ,リンパ球および好酸球の浸潤を認め,中心には ミクロフィラリアの虫体が 1 匹認められた(Fig. 2)。上 記の結果より,本症例については皮膚ミクロフィラリア 症の可能性が考慮された。ミクロフィラリアの駆虫を目 的としてミルベマイシン・オキシム(ミルベマイシン A 錠,ノバルティス・アニマルヘルス,東京)0.53 mg/kg, 月 1 回内服投与による治療を開始したところ,治療開始