内脏脂肪综合征和胰岛素抵抗

Tadashi Nakamura, T. Funahashi, Y. Matsuzawa
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摘要

近年来由于饮食生活方式的改变,我国以冠状动脉疾病为首的动脉硬化性疾病正在增加。这种以过度营养状态为基础的动脉硬化性疾病的高发病态,其特征是糖耐量异常、高脂血症、高血压等多种危险因素同时簇簇存在,提出了各种各样的概念,如Table 1所示。其中,Reaven在1988年提出的“Syndrome X”主要针对非肥胖者。作为肥胖对动脉硬化的一种病态,第二年Kaplan提出了“死亡四重奏(The deadly quaaret)”。不论是否肥胖,都可以推测胰岛素抵抗的存在,从同样的概念将胰岛素抵抗作为这些概念的核心因素来重视的思考方法,1991年DeFronzo等人将其称为“胰岛素抵抗综合症(Syndrome of insulin resistance)”。不仅是糖尿病研究者,在循环器官的领域也开始关注胰岛素抵抗这个词。但是,在这些病态中被认可的胰岛素抵抗的发病机制的本质是什么呢?另外,在这些概念中,由于胰岛素抵抗性而产生的高胰岛素血症被重视,那到底是正确的吗?关于是否能用胰岛素抵抗性来说明大量的危险因子,目前还没有明确的想法。在肥胖的脂肪分布和并发症的研究中,作者们的研究着眼点不是皮下脂肪的分布,而是内脏的脂肪堆积。脂肪堆积在腹腔内(主要是肠系膜)的“内脏脂肪型肥胖(Visceral fat obesity)”与胰岛素抵抗性密切相关,引发各种危险因素。因此,内脏脂肪型肥胖是与上述各种概念共同的病态。而且,最近,研究表明,内脏脂肪的囤积不仅与肥胖者有关,与正常体重者的糖耐量异常等各种危险因素,甚至与动脉硬化性疾病的发病也有密切关系。提出了“内脏脂肪症候群(Visceral fat syndrome)”的概念,这是一种与动脉硬化的形成有关的病态。本症候群在Risk factors clustering成立机制的上游放置内脏脂肪堆积,存在包括胰岛素抵抗性在内的各种因子,设想了最终导致动脉硬化发病的机制。本文将介绍马奇普尔风险因素综合征中胰岛素抵抗的地位以及内脏脂肪堆积的意义。
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Visceral fat syndrome and insulin resistance
近年の食生活やライフスタイルの変化により, わが国に おいても冠動脈疾患をはじめとする動脈硬化性疾患が増加 しており, 大きな問題 となっている. この過栄養状態を基 盤 とし動脈硬化性疾患を高率に発症する病態は, 耐糖能異 常や高脂血症, 高血圧などの多数の危険因子が同時に集簇 して存在することが特徴であり, Table 1に示すような種々 の概念が提唱 されてい る.そ の代表 として1988年 に Reavenが 提唱した 「シンドロームX (Syndrome X)」 は主 として非肥満者を対象 としたものであり, 肥満が動脈硬化 に寄与する病態としては,翌 年Kaplanの 提唱 した「死の四 重奏(The deadly quaaret)」があげられる1,2). これら概念の 根底には, 肥満の有無にかかわらず,い ずれもインスリン 抵抗性の存在を推察 してお り, 同様の概念 としてインスリ ン抵抗性をこれら概念の中心的な因子 として重要視する考 え方から, 1991年 にDeFronzoら が 「インス リン抵抗性症 候群(Syndrome of insulin resistance)」なる呼称を用いるに 至った3). このことにより, 糖尿病研究者だけでなく, 循環 器の分野で もインス リン抵抗性 ということばが注目され, 関心が高まるようになった. しかし, これら病態に認めら れるインスリン抵抗性の発症機序の本態は何か, また, こ れら概念ではインスリン抵抗性により生じる高インスリン 血症が重要視されているが,は た してそれは正 しいのか, さらに, 集簇する多数の危険因子をインス リン抵抗性のみ で説明しうるか否かに関して, いまだ明確な考え方は示さ れていない. , 肥満における脂肪分布 と合併症の研究において, 上半身肥満 といった皮下脂肪の分布ではな く, 内臓の脂肪 蓄積に着目した著者らの検討により, 腹腔内(主 に腸間膜) に脂肪が蓄積する 「内臓脂肪型肥満(Visceral fat obesity)」 が密接にインス リン抵抗性 と関連して種々の危険因子を発 症 し動脈硬化につながることが明らかとなっている45). し たがって, 内臓脂肪型肥満は前述した種々の概念 と共通す る病態である. さらに, 最近になって, この内臓脂肪の蓄 積が肥満者だけでな く, 正常体重者においても耐糖能異常 をはじめ種々の危険因子, ひいては動脈硬化性疾患の発症 と強 く関係することを明らかにし, 普遍的に動脈硬化の成 立に関与する病態として 「内臓脂肪症候群(Visceral fat syndrome)」 なる概念 を提唱 している6).本症候群 はRisk factors clusteringの成立機構 の上流に内臓脂肪蓄積を置き, インスリン抵抗性を含めた種々の因子が存在 し, 最終的に 動脈硬化 を発症するメカニズムを想定 している. 本稿で は,マ ルチプル リスクファクター症候群におけるインス リ ン抵抗性の位置づけ, および内臓脂肪蓄積の意義につき述 べる.
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