M. Nishimura, Y. Iwasaki, M. Arai
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Evaluation of Deformation Behavior in Amorphous Metals by Atomic Elastic Stiffness Coefficients
1 緒 言 1990年頃から,−0.1K/sといった低い冷却速度でも結 晶化しないガラス形成能の高い合金組成が発見され,1) 「バルク金属ガラス」として注目されている.バルク金属 ガラスの寸法は大きいもので数 cmにも達するため,こ れまで主に機能性材料としての用途に使用されてきたア モルファス金属の構造材料としての応用も期待されてい る.一方で,アモルファス金属では,塑性変形が局所的 に集中するせん断帯の発生によりぜい性的な破壊が生じ ることが知られているが,その詳細なメカニズムについ ては不明な部分も多いために,せん断帯の発生機構や形 成過程などの理解が求められている.アモルファス構造 に基づいた塑性変形の素過程として,STZ (Shear transformation zone) モデル 2)や自由体積理論 3)などが提案さ れているものの,塑性変形にいたるためのクライテリオ ンやせん断帯形成との関係については明確ではない.ま た,アモルファス金属においては,領域ごとに局所構造 が大きく異なるために,構造ごとに塑性変形にいたるた めの臨界応力や臨界ひずみも異なるものと考えられ,塑 性変形の開始や発展に関して平均化された議論は可能で あっても,個々の構造の違いを反映した議論は容易では ない. 著者らのグループでは,アモルファス金属の塑性変形 メカニズムを理解するために,分子動力学法による種々 の変形シミュレーションを実施し,各原子位置における エネルギーの 2次導関数に相当する原子弾性剛性係数 B ij の正値性によって,各原子の安定性を評価する局所格子 不安定性解析 4)による検討を試みてきた.5), 6)B ijの値は局 所の力学状態を反映しており,たとえ局所構造やポテン シャル関数が異なっていても,det B ijが正か負かという 同一の判断基準による議論ができるので,塑性変形メカ ニズムの統一的な理解が期待できる.本研究では,アモ ルファス金属に対して押し込みシミュレーションを行い, アモルファス内部にて生じる塑性変形領域について原子 ひずみにより評価するとともに,原子弾性剛性係数 B ijの 正値性の変化を評価することで,せん断帯などの形成過 程などについて議論した. 2 原子弾性剛性係数 外力下で釣り合い状態にある 2つの状態 xとXでの応 力差 Δσij = σij (X) − σij (x)と x → Xのひずみ Δεklとは, 次の弾性剛性係数 Bijklで関係付けられる.