A. Matsumoto, T. Inoue
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Detailed Analysis of Sub-Rouse Mode Observed in Polymerized Ionic Liquids with Dynamic Birefringence Measurements
高分子物質のひずみ誘起の複屈折と応力には,応力光学 則 (stress-optical rule, SOR)として知られるように,密接な関 係がある.応力の起源が複数存在する場合,複屈折と粘弾 性を同時測定する流動光学的手法を適用することで,粘弾 性スペクトルを応力の発生機構に応じて成分スペクトルへ と分離することができる.こうした分離を利用すれば,高 分子ダイナミクスについて詳細に検討することができる. 高分子化イオン液体は,イオン液体を高分子化すること により得られ,繰り返し単位に正の電荷と負の電荷を持つ. 中村らは Poly(1-butyl-3-vinylimidazolium)ベースの高分子化イ オン液体 (PC4VIA, A: anion)を用いて,対アニオンのサイズ が線形粘弾性挙動へ与える影響を検討し,対アニオンのイ オンサイズが大きくなるほど,ガラス‐ゴム転移領域にお いて緩和スペクトルが広がることを報告した. 我々は,この 緩和スペクトルの広がりの原因を明らかにするため,顕著 な広がりを示す bis(trifluoromethane sulfonylimide)(TFSI )を対 アニオンとする PC4VITFSIについて,流動光学的手法によ る検討を行った.その結果,この緩和スペクトルの広がりは, sub-Rouseモードと呼ばれる,高分子主鎖骨格に沿った繰り 返し単位の連成的なねじれ運動に由来することを示した. バ ルク状態の繰り返し単位の運動は,連結性に由来する分子 内の協同運動性と隣接する他高分子鎖の繰り返し単位間に 生じる分子間の協同性に影響を受けるが,sub-Rouseモード は分子間相互作用よりも連結性による分子内協同性が支配 的な場合に観測されると考えられている. PC4VITFSIにおい ては,解離しやすくイオンサイズの大きな TFSIイオンが溶 媒のように作用し,分子間協同性が弱くなり,分子内相互 作用が支配的になるため,sub-Rouseモードが観測されると 考えられる. 高分子化イオン液体の対イオンの解離のしやすさは,ア ニオンの化学構造に依存する.イオンサイズが大きく,電 荷が非局在化したイオンほど解離定数は大きくなると考え ることができ,TFSI においてはこの効果が sub-Rouseモー ドが生じる原因となったものと考えられる.このように考 えると,nonafluorobutane sulfonate(NfO)のような,イオンサ イズは TFSI と同程度であっても,負電荷がイオンの末端に 位置しているイオンでは解離定数が小さくなり,sub-Rouse モードに由来する緩和スペクトルの顕著な広がりは観測さ れないと予想される.しかしながら,負電荷がイオンの末端 に存在する場合,非解離構造におけるアニオンはイミダゾ Detailed Analysis of Sub-Rouse Mode Observed in Polymerized Ionic Liquids with Dynamic Birefringence Measurements