Y. Ozaki
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Advances in Molecular Spectroscopy in Condensed Phase and Quantum Chemistry
1. はじめに 分子分光学は 19世紀の終わりに誕生し,20世紀に大き く発展した。20世紀中の進歩の非常に大きな部分は,最後 の 30年ばかりの間に起こったと考えてよい。とくに重要な のは,レーザーが広く普及した 70年代の進歩である。筆者 が関係したラマン分光学を見てみると,共鳴ラマン,表面 増強ラマン散乱(SERS),顕微ラマン,非線形ラマン,時 間分解ラマン,ラマン光学活性など今日,非常に注目され ている様々なラマン分光法のほとんどが 70年代に誕生し た 。ラマンに限らず紫外可視,けい光分光の顕微分光法 や時間分解分光法も同じである。レーザーだけのおかげで はないが,レーザーの発展が果たした役割は果てしなく大 きい。80年代には FT-IRが広く普及し,顕微赤外,時間分 解赤外などが大きく進展した 。90年代に入ると,まず 近赤外分光法が成長し ,さらにその後半になるとテラ ヘルツ分光法(terahertz time-domain spectroscopy; THz-TDS) が登場した 。凝集相に関して言えば,20世紀の最後に なって紫外域(145 nm)から遠赤外/テラヘルツ領域(3.3 cm-1; 0.1 THz)までシームレスに繋がったのである 。 90年代に入るまでは,レーザーや分光器,検出器など ハードの進歩が大方分光学の進歩を引っ張ってきたわけで あるが,90年代に入るとソフトの進歩も分光学を支えるよ うになった。とくに量子化学の発展が目覚ましい 。振動 分光学,電子分光学など分子分光学のどの分野においても 量子化学は中心的な役割を果たしている。ケモメトリック スも分光学にかなり寄与した。ケモメトリックスは,最初 は主に分析化学的応用に用いられたが,最近では物理化学 的な研究にも盛んに用いられている。21世紀に入り,約 10 年前に筆者らは ATR法を遠紫外域に導入することにより, 凝集相の分子分光学を 145 nm(8.5 eV)まで拡張した 。 21世紀に入りようやく凝集相の分子分光学が,遠紫外から 遠赤外/テラヘルツまで拡がったのである。 量子化学の分子分光学への応用においてとくに重要な出 来事は,1964年のK. Kohnらによる密度汎関数法(Density