Saku Sonoda, T. Ohmuro, J. Kamiie, K. Shirota
{"title":"犬蜱叮咬引起的结节性嗜淋巴细胞性皮炎","authors":"Saku Sonoda, T. Ohmuro, J. Kamiie, K. Shirota","doi":"10.2736/JJVD.24.19","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"* 連絡先:代田欣二(麻布大学) 〒 252-5201 神奈川県相模原市中央区 1-17-71 TEL/FAX 042-769-2093 E-mail: shirota@azabu-u.ac.jp マダニやクモなどの節足動物の刺咬は犬・猫に 皮膚障害を引き起こすが,そのエビデンスを捉え ることはしばしば難しいため報告は少なく,実際 の発生頻度は判っていない 。犬の節足動物刺咬 症の中で最も知られているのはマダニ刺咬症であ る。これはマダニが皮膚に吸着しているのが発見 されやすいため,刺咬の事実が確認されやすいか らである 1, 。日常の病理組織検査では皮膚表層の 組織傷害や炎症反応によって節足動物の刺咬を想 像することがあるが,確定は難しい。しかしながら, 節足動物の刺咬が明らかな病変を精査し,症例を 重ねる事によってその特徴を捉えることが出来れ ば,刺咬が未確認の症例であっても病理組織検査 により診断が可能となろう。 今回,稟告によってマダニの刺咬が明らかであっ た犬の皮膚病変の組織学的検査を実施する機会を 得た。その結果,病変部にダニの口器と思われる 構造物の残存とそれを中心とした特徴的な炎症反 応を認め,ダニ刺咬による結節性リンパ球好酸球 性皮膚炎 nodular lymphoeosinopholoc dermatitisと確 定診断した。 症例は 9歳,メスの柴犬で,2017年 8月,表面 が潰瘍化した右上眼瞼の小結節(径 3~ 4 mm)の ため来院した(Fig. 1)。飼い主によると,同年 6 月に同部にマダニが付着いているのを発見し除去 したが,その約 1ヶ月後に同部に径 2~ 3 mm結 節が出来ているのに気づいたとの事であった。な お,初診時のアレルギー検査ではヤケヒョウダニ, コナヒョウダニ,ノミ,蚊,及びゴキブリに対す る特異的 IgEは検出されなかった。マダニ刺咬後 2ヶ月を経過していたが同部に一致して結節状病 変が形成されており,針生検で炎症性病変と診断 したが,口器部が残っていることを懸念し病変部 を切除した。切除組織は 10%ホルマリンで固定し てパラフィン切片を作製し,ヘマトキシリン・エ オジン(HE)染色標本として検査に供した。 組織学的に病変中心部の真皮にマダニの口器と 思われる構造物が存在しており,その周囲には好 酸球や時に組織球を混じる高度のリンパ球及び形 質細胞の浸潤が結節状に認められた(Fig. 2)。一 方,口器様構造物は真皮の太い膠原線維内に埋没 するように存在し,その周囲の結合組織は水腫性","PeriodicalId":22603,"journal":{"name":"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology","volume":"185 1","pages":"19-21"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2018-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Nodular Lymphoeosinophilic Dermatitis due to Tick Bite in a Dog\",\"authors\":\"Saku Sonoda, T. Ohmuro, J. Kamiie, K. Shirota\",\"doi\":\"10.2736/JJVD.24.19\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"* 連絡先:代田欣二(麻布大学) 〒 252-5201 神奈川県相模原市中央区 1-17-71 TEL/FAX 042-769-2093 E-mail: shirota@azabu-u.ac.jp マダニやクモなどの節足動物の刺咬は犬・猫に 皮膚障害を引き起こすが,そのエビデンスを捉え ることはしばしば難しいため報告は少なく,実際 の発生頻度は判っていない 。犬の節足動物刺咬 症の中で最も知られているのはマダニ刺咬症であ る。これはマダニが皮膚に吸着しているのが発見 されやすいため,刺咬の事実が確認されやすいか らである 1, 。日常の病理組織検査では皮膚表層の 組織傷害や炎症反応によって節足動物の刺咬を想 像することがあるが,確定は難しい。しかしながら, 節足動物の刺咬が明らかな病変を精査し,症例を 重ねる事によってその特徴を捉えることが出来れ ば,刺咬が未確認の症例であっても病理組織検査 により診断が可能となろう。 今回,稟告によってマダニの刺咬が明らかであっ た犬の皮膚病変の組織学的検査を実施する機会を 得た。その結果,病変部にダニの口器と思われる 構造物の残存とそれを中心とした特徴的な炎症反 応を認め,ダニ刺咬による結節性リンパ球好酸球 性皮膚炎 nodular lymphoeosinopholoc dermatitisと確 定診断した。 症例は 9歳,メスの柴犬で,2017年 8月,表面 が潰瘍化した右上眼瞼の小結節(径 3~ 4 mm)の ため来院した(Fig. 1)。飼い主によると,同年 6 月に同部にマダニが付着いているのを発見し除去 したが,その約 1ヶ月後に同部に径 2~ 3 mm結 節が出来ているのに気づいたとの事であった。な お,初診時のアレルギー検査ではヤケヒョウダニ, コナヒョウダニ,ノミ,蚊,及びゴキブリに対す る特異的 IgEは検出されなかった。マダニ刺咬後 2ヶ月を経過していたが同部に一致して結節状病 変が形成されており,針生検で炎症性病変と診断 したが,口器部が残っていることを懸念し病変部 を切除した。切除組織は 10%ホルマリンで固定し てパラフィン切片を作製し,ヘマトキシリン・エ オジン(HE)染色標本として検査に供した。 組織学的に病変中心部の真皮にマダニの口器と 思われる構造物が存在しており,その周囲には好 酸球や時に組織球を混じる高度のリンパ球及び形 質細胞の浸潤が結節状に認められた(Fig. 2)。一 方,口器様構造物は真皮の太い膠原線維内に埋没 するように存在し,その周囲の結合組織は水腫性\",\"PeriodicalId\":22603,\"journal\":{\"name\":\"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology\",\"volume\":\"185 1\",\"pages\":\"19-21\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2018-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.2736/JJVD.24.19\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"The Japanese Journal of Veterinary Dermatology","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.2736/JJVD.24.19","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
引用次数: 0
Nodular Lymphoeosinophilic Dermatitis due to Tick Bite in a Dog
* 連絡先:代田欣二(麻布大学) 〒 252-5201 神奈川県相模原市中央区 1-17-71 TEL/FAX 042-769-2093 E-mail: shirota@azabu-u.ac.jp マダニやクモなどの節足動物の刺咬は犬・猫に 皮膚障害を引き起こすが,そのエビデンスを捉え ることはしばしば難しいため報告は少なく,実際 の発生頻度は判っていない 。犬の節足動物刺咬 症の中で最も知られているのはマダニ刺咬症であ る。これはマダニが皮膚に吸着しているのが発見 されやすいため,刺咬の事実が確認されやすいか らである 1, 。日常の病理組織検査では皮膚表層の 組織傷害や炎症反応によって節足動物の刺咬を想 像することがあるが,確定は難しい。しかしながら, 節足動物の刺咬が明らかな病変を精査し,症例を 重ねる事によってその特徴を捉えることが出来れ ば,刺咬が未確認の症例であっても病理組織検査 により診断が可能となろう。 今回,稟告によってマダニの刺咬が明らかであっ た犬の皮膚病変の組織学的検査を実施する機会を 得た。その結果,病変部にダニの口器と思われる 構造物の残存とそれを中心とした特徴的な炎症反 応を認め,ダニ刺咬による結節性リンパ球好酸球 性皮膚炎 nodular lymphoeosinopholoc dermatitisと確 定診断した。 症例は 9歳,メスの柴犬で,2017年 8月,表面 が潰瘍化した右上眼瞼の小結節(径 3~ 4 mm)の ため来院した(Fig. 1)。飼い主によると,同年 6 月に同部にマダニが付着いているのを発見し除去 したが,その約 1ヶ月後に同部に径 2~ 3 mm結 節が出来ているのに気づいたとの事であった。な お,初診時のアレルギー検査ではヤケヒョウダニ, コナヒョウダニ,ノミ,蚊,及びゴキブリに対す る特異的 IgEは検出されなかった。マダニ刺咬後 2ヶ月を経過していたが同部に一致して結節状病 変が形成されており,針生検で炎症性病変と診断 したが,口器部が残っていることを懸念し病変部 を切除した。切除組織は 10%ホルマリンで固定し てパラフィン切片を作製し,ヘマトキシリン・エ オジン(HE)染色標本として検査に供した。 組織学的に病変中心部の真皮にマダニの口器と 思われる構造物が存在しており,その周囲には好 酸球や時に組織球を混じる高度のリンパ球及び形 質細胞の浸潤が結節状に認められた(Fig. 2)。一 方,口器様構造物は真皮の太い膠原線維内に埋没 するように存在し,その周囲の結合組織は水腫性