Toshiyuki Toen, S. Hashimoto
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Electrophoretic Analysis of Alkaline Phosphatase in Rat Incisor Pulps
ラット切歯歯髄組織中のアルカリ性ホスファターゼ (ALP) 活性は, マウスおよびハムスターと同程度であり, ウサギ, ウシ, ブタに比べて約10倍高かった。ラット歯髄組織から抽出したALPを, 0.1% Nonidet P-40を用いたポリアクリルアミドゲル電気泳動 (native-PAGE) あるいはラウリル硫酸ナトリウムを用いた非還元のポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE) にかけると, 酵素はnative-PAGEのゲル中ではALP-N1とALP-N2に, SDS-PAGEのゲル中では130kと155kの2つに分かれた。ALP-N1とN2は, 2次元電気泳動上で130と155kにそれぞれ一致した。粗抽出ALPを単に37℃で加温するだけで, ALP-N1 (130k) はALP-N2 (155k) に変化した。このALPの変化はALP結合性タンパク質によるのではなく, ALPの抽出分画中のグリコシルホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼD (GPI-PLD) によって特異的に生じることが明らかになった。精製したALP-N1は, ALP-N2と同様の等電点 (4.3) と, ALP-N2抗体に対し同程度の結合親和性を有していた。これに対して, 脂肪酸 (C14-C18) はALP-N1中にのみガスクロマトグラフィで検出され, ALP-N2およびホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼCで処理したALP-N1中には脂肪酸は認められなかった。ALP-N1に結合したSDS量は, 脂肪酸のないALP-N2に比べて有意に多かった。これらの結果は, SDS-PAGEの泳動ゲル中をALP-N1 (130k) がALP-N2 (155k) より速く移動することを示唆している。本研究は, ラット歯髄組織のALPは分子量77kのホモダイマーであり, ALPを抽出するとき血液由来のGPI-PLDにより脂肪酸を有するものと消失したものの2種類の酵素分子が生じることを明らかにした。