N. Maruyama, Osamu Hirao, Y. Ishiyama, Shigekazu Tanaka, A. Matsumoto, K. Yamashita, S. Nishimura
{"title":"挥发性麻醉剂治疗急性哮喘合并takotsubo型心肌病1例","authors":"N. Maruyama, Osamu Hirao, Y. Ishiyama, Shigekazu Tanaka, A. Matsumoto, K. Yamashita, S. Nishimura","doi":"10.3918/JSICM.28_475","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"患者は70歳代の女性。気管支喘息にて近医に通院 し,治療薬としてモンテルカストナトリウム10 mgを 定期内服,ツロブテロール経皮吸収型テープ2 mgを 定期貼付,プロカテロール塩酸塩水和物10μgを頓用 で使用していた。なお,吸入ステロイド薬は副作用で ある嗄声を認め,苦痛の訴えが強いため中止していた。 感冒を契機に喘息症状が悪化し,当センターを受診し た。喘鳴と呼吸困難を認め,また,室内気でSpO2 87%であったことから,喘息中〜大発作相当との判断 で入院となった。また,入院時の心電図にて前胸部誘 導 のST上 昇 を 認 め,心 エ コ ー で は 左 室 駆 出 率 (ejection fraction, EF)は30%程度と低下し,基部は 過収縮で心尖部の壁運動低下を認めた。第2病日に冠 動脈造影を施行したところ,有意狭窄はなく,たこつ ぼ型心筋症の合併と診断された。 入院後,一般病棟でプレドニゾロンコハク酸エステ ルナトリウム40 mgの点滴静注とプロカテロール塩酸 塩水和物の吸入にて加療を開始するも,改善が認めら れなかった。また,たこつぼ型心筋症による心不全の 合併を認めた。第3病日より意識障害を認め,動脈血 ガス分析値で,pH 7.1,PaCO2 100 mmHgであり,非 侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation,NPPV)を開始した。ステロイド薬をベタメタ ゾンリン酸エステルナトリウム4 mg・12時間ごとの 点滴静注に変更し継続するも呼吸状態の改善を得られ ず,第4病日にICU入室とし,挿管・人工呼吸管理を 開始した。人工呼吸管理開始時からプロポフォール3 mg/kg/hrとデクスメデトミジン塩酸塩 0.6μg/kg/ hrを使用し鎮静したが,バッキングや体位変換で容易 に喘息発作が起こり換気困難となるため,第5病日か らセボフルラン吸入療法を2%で使用開始するととも に,硫酸マグネシウムの静注を行った。なお,セボフ ルラン吸入療法では麻酔器〔Daisy Whispa(アイ・エ ム・アイ)〕を使用して吸入濃度で設定し,室内に放出 されないように排気した。また,うっ血性心不全を合 併したたこつぼ型心筋症に対して利尿薬投与にて対応 したところ,第6病日にはEF 47%程度となり,心尖 部領域の動きも改善傾向にあることから,同日よりス テロイド静注薬に加えて長期管理目的にサルメテロー ルキシナホ酸塩/フルチカゾンプロピオン酸エステル たこつぼ型心筋症を合併した気管支喘息重積発作に対して 揮発性麻酔薬を使用した症例","PeriodicalId":22583,"journal":{"name":"The Japanese Society of Intensive Care Medicine","volume":"1 1","pages":"475-476"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2021-09-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"A case of status asthmaticus with takotsubo cardiomyopathy treated by volatile anesthetic agent\",\"authors\":\"N. Maruyama, Osamu Hirao, Y. Ishiyama, Shigekazu Tanaka, A. Matsumoto, K. Yamashita, S. Nishimura\",\"doi\":\"10.3918/JSICM.28_475\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"患者は70歳代の女性。気管支喘息にて近医に通院 し,治療薬としてモンテルカストナトリウム10 mgを 定期内服,ツロブテロール経皮吸収型テープ2 mgを 定期貼付,プロカテロール塩酸塩水和物10μgを頓用 で使用していた。なお,吸入ステロイド薬は副作用で ある嗄声を認め,苦痛の訴えが強いため中止していた。 感冒を契機に喘息症状が悪化し,当センターを受診し た。喘鳴と呼吸困難を認め,また,室内気でSpO2 87%であったことから,喘息中〜大発作相当との判断 で入院となった。また,入院時の心電図にて前胸部誘 導 のST上 昇 を 認 め,心 エ コ ー で は 左 室 駆 出 率 (ejection fraction, EF)は30%程度と低下し,基部は 過収縮で心尖部の壁運動低下を認めた。第2病日に冠 動脈造影を施行したところ,有意狭窄はなく,たこつ ぼ型心筋症の合併と診断された。 入院後,一般病棟でプレドニゾロンコハク酸エステ ルナトリウム40 mgの点滴静注とプロカテロール塩酸 塩水和物の吸入にて加療を開始するも,改善が認めら れなかった。また,たこつぼ型心筋症による心不全の 合併を認めた。第3病日より意識障害を認め,動脈血 ガス分析値で,pH 7.1,PaCO2 100 mmHgであり,非 侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation,NPPV)を開始した。ステロイド薬をベタメタ ゾンリン酸エステルナトリウム4 mg・12時間ごとの 点滴静注に変更し継続するも呼吸状態の改善を得られ ず,第4病日にICU入室とし,挿管・人工呼吸管理を 開始した。人工呼吸管理開始時からプロポフォール3 mg/kg/hrとデクスメデトミジン塩酸塩 0.6μg/kg/ hrを使用し鎮静したが,バッキングや体位変換で容易 に喘息発作が起こり換気困難となるため,第5病日か らセボフルラン吸入療法を2%で使用開始するととも に,硫酸マグネシウムの静注を行った。なお,セボフ ルラン吸入療法では麻酔器〔Daisy Whispa(アイ・エ ム・アイ)〕を使用して吸入濃度で設定し,室内に放出 されないように排気した。また,うっ血性心不全を合 併したたこつぼ型心筋症に対して利尿薬投与にて対応 したところ,第6病日にはEF 47%程度となり,心尖 部領域の動きも改善傾向にあることから,同日よりス テロイド静注薬に加えて長期管理目的にサルメテロー ルキシナホ酸塩/フルチカゾンプロピオン酸エステル たこつぼ型心筋症を合併した気管支喘息重積発作に対して 揮発性麻酔薬を使用した症例\",\"PeriodicalId\":22583,\"journal\":{\"name\":\"The Japanese Society of Intensive Care Medicine\",\"volume\":\"1 1\",\"pages\":\"475-476\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2021-09-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"The Japanese Society of Intensive Care Medicine\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.3918/JSICM.28_475\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"The Japanese Society of Intensive Care Medicine","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.3918/JSICM.28_475","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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A case of status asthmaticus with takotsubo cardiomyopathy treated by volatile anesthetic agent
患者は70歳代の女性。気管支喘息にて近医に通院 し,治療薬としてモンテルカストナトリウム10 mgを 定期内服,ツロブテロール経皮吸収型テープ2 mgを 定期貼付,プロカテロール塩酸塩水和物10μgを頓用 で使用していた。なお,吸入ステロイド薬は副作用で ある嗄声を認め,苦痛の訴えが強いため中止していた。 感冒を契機に喘息症状が悪化し,当センターを受診し た。喘鳴と呼吸困難を認め,また,室内気でSpO2 87%であったことから,喘息中〜大発作相当との判断 で入院となった。また,入院時の心電図にて前胸部誘 導 のST上 昇 を 認 め,心 エ コ ー で は 左 室 駆 出 率 (ejection fraction, EF)は30%程度と低下し,基部は 過収縮で心尖部の壁運動低下を認めた。第2病日に冠 動脈造影を施行したところ,有意狭窄はなく,たこつ ぼ型心筋症の合併と診断された。 入院後,一般病棟でプレドニゾロンコハク酸エステ ルナトリウム40 mgの点滴静注とプロカテロール塩酸 塩水和物の吸入にて加療を開始するも,改善が認めら れなかった。また,たこつぼ型心筋症による心不全の 合併を認めた。第3病日より意識障害を認め,動脈血 ガス分析値で,pH 7.1,PaCO2 100 mmHgであり,非 侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation,NPPV)を開始した。ステロイド薬をベタメタ ゾンリン酸エステルナトリウム4 mg・12時間ごとの 点滴静注に変更し継続するも呼吸状態の改善を得られ ず,第4病日にICU入室とし,挿管・人工呼吸管理を 開始した。人工呼吸管理開始時からプロポフォール3 mg/kg/hrとデクスメデトミジン塩酸塩 0.6μg/kg/ hrを使用し鎮静したが,バッキングや体位変換で容易 に喘息発作が起こり換気困難となるため,第5病日か らセボフルラン吸入療法を2%で使用開始するととも に,硫酸マグネシウムの静注を行った。なお,セボフ ルラン吸入療法では麻酔器〔Daisy Whispa(アイ・エ ム・アイ)〕を使用して吸入濃度で設定し,室内に放出 されないように排気した。また,うっ血性心不全を合 併したたこつぼ型心筋症に対して利尿薬投与にて対応 したところ,第6病日にはEF 47%程度となり,心尖 部領域の動きも改善傾向にあることから,同日よりス テロイド静注薬に加えて長期管理目的にサルメテロー ルキシナホ酸塩/フルチカゾンプロピオン酸エステル たこつぼ型心筋症を合併した気管支喘息重積発作に対して 揮発性麻酔薬を使用した症例