{"title":"基于固态电化学的分子团簇功能特性研究","authors":"Hirofumi Yoshikawa","doi":"10.3175/MOLSCI.7.A0061","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"【序】 近年、環境問題やエネルギー問題などから、高性能なエネルギーデバイスの開発が必要不 可欠となっている。とりわけ固体電気化学反応は、電子(ホール)およびイオンが主役を演じるデ バイスの根幹を成す動作原理であり、蓄電池をはじめとする電池全般(太陽電池、燃料電池など) はもちろんのこと、有機 EL や FET デバイス、さらにはガスセンサーなどにも応用されている。 一方で、本研究で用いる分子クラスター(複数の金属イオンと有機配位子からなる多核金属錯体 分子)は、従来、その触媒としての利用や、極低温で1分子が磁石のように振る舞う単分子磁石 的挙動がよく知られてきた物質群である。ここ数年、我々は、このような分子クラスターが分子 内の複数の金属イオンに由来した多電子の可逆 な酸化還元反応を溶液内で示すことに着目し、分 子クラスターの固体電気化学反応を基盤とした 新しい機能の開拓に取り組んできた。本講演では、 その代表的な機能である、分子クラスターを正極 活物質とする二次電池(分子クラスター電池)の 開発(図 1)について述べるとともに、その場観 測法を利用した分子クラスターの蓄電機能の解 明およびナノ複合化を利用した高性能化の事例 を紹介する。また、これらの知見をもとに、ごく 最近展開している固体電気化学が拓く新奇磁気 特性についても触れる。 【分子クラスター電池の開発】 図 1 に示すように、分子ク ラスター電池では、分子クラスターの多電子の酸化還元反 応に由来した高い蓄電容量だけでなく、分子の速い酸化還 元や対イオンの正極活物質への自由なアクセスに基づい た高速充電も期待される。我々は、Mn12 クラスター (Mn12O12(CH3COO)16(H2O)4、図 1 左)やポリオキソメタレー ト([PMo12O40]、PMo12、図 1 左)などの様々な分子クラス ターを正極活物質としたリチウム電池を作製し、定電流充 放電試験を行ってきた。その結果、図2のように、PMo12 電池の場合、1 サイクル目の放電容量は、従来のリチウム イオン電池(約 148 Ah/kg)よりも高い約 260 Ah/kg を示し、 10 サイクル目においても約 200 Ah/kg と 1 サイクル目の 8 割程度の容量を保持していた。このよ うに、分子クラスターが二次電池の正極活物質として機能すること(分子クラスターの蓄電機能) を明らかにした。 【その場観測法を利用した蓄電機能の解明】 このような分子クラスター電池の高容量の要因を検 討するため、電池充放電中の正極材料について in operando X 線吸収微細構造(XAFS)分析を行う システムを独自に立ち上げ、これを用いて電池反応(固体電気化学反応)における分子クラスタ ーの挙動解明を試みた。図 3は、PMo12電池の in operando Mo K-edge X線吸収端近傍構造(XANES) スペクトルの結果であり、これより放電に伴い吸収端エネルギーが低エネルギー側にシフトする ことが分かった。この吸収端エネルギーよりMo価数を算出したところ、放電過程においてPMo12 図 1、分子クラスター電池の模式図","PeriodicalId":19105,"journal":{"name":"Molecular Science","volume":"182 1","pages":""},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2013-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Functional Properties of Molecular Clusters Based on Solid-state Electrochemistry\",\"authors\":\"Hirofumi Yoshikawa\",\"doi\":\"10.3175/MOLSCI.7.A0061\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"【序】 近年、環境問題やエネルギー問題などから、高性能なエネルギーデバイスの開発が必要不 可欠となっている。とりわけ固体電気化学反応は、電子(ホール)およびイオンが主役を演じるデ バイスの根幹を成す動作原理であり、蓄電池をはじめとする電池全般(太陽電池、燃料電池など) はもちろんのこと、有機 EL や FET デバイス、さらにはガスセンサーなどにも応用されている。 一方で、本研究で用いる分子クラスター(複数の金属イオンと有機配位子からなる多核金属錯体 分子)は、従来、その触媒としての利用や、極低温で1分子が磁石のように振る舞う単分子磁石 的挙動がよく知られてきた物質群である。ここ数年、我々は、このような分子クラスターが分子 内の複数の金属イオンに由来した多電子の可逆 な酸化還元反応を溶液内で示すことに着目し、分 子クラスターの固体電気化学反応を基盤とした 新しい機能の開拓に取り組んできた。本講演では、 その代表的な機能である、分子クラスターを正極 活物質とする二次電池(分子クラスター電池)の 開発(図 1)について述べるとともに、その場観 測法を利用した分子クラスターの蓄電機能の解 明およびナノ複合化を利用した高性能化の事例 を紹介する。また、これらの知見をもとに、ごく 最近展開している固体電気化学が拓く新奇磁気 特性についても触れる。 【分子クラスター電池の開発】 図 1 に示すように、分子ク ラスター電池では、分子クラスターの多電子の酸化還元反 応に由来した高い蓄電容量だけでなく、分子の速い酸化還 元や対イオンの正極活物質への自由なアクセスに基づい た高速充電も期待される。我々は、Mn12 クラスター (Mn12O12(CH3COO)16(H2O)4、図 1 左)やポリオキソメタレー ト([PMo12O40]、PMo12、図 1 左)などの様々な分子クラス ターを正極活物質としたリチウム電池を作製し、定電流充 放電試験を行ってきた。その結果、図2のように、PMo12 電池の場合、1 サイクル目の放電容量は、従来のリチウム イオン電池(約 148 Ah/kg)よりも高い約 260 Ah/kg を示し、 10 サイクル目においても約 200 Ah/kg と 1 サイクル目の 8 割程度の容量を保持していた。このよ うに、分子クラスターが二次電池の正極活物質として機能すること(分子クラスターの蓄電機能) を明らかにした。 【その場観測法を利用した蓄電機能の解明】 このような分子クラスター電池の高容量の要因を検 討するため、電池充放電中の正極材料について in operando X 線吸収微細構造(XAFS)分析を行う システムを独自に立ち上げ、これを用いて電池反応(固体電気化学反応)における分子クラスタ ーの挙動解明を試みた。図 3は、PMo12電池の in operando Mo K-edge X線吸収端近傍構造(XANES) スペクトルの結果であり、これより放電に伴い吸収端エネルギーが低エネルギー側にシフトする ことが分かった。この吸収端エネルギーよりMo価数を算出したところ、放電過程においてPMo12 図 1、分子クラスター電池の模式図\",\"PeriodicalId\":19105,\"journal\":{\"name\":\"Molecular Science\",\"volume\":\"182 1\",\"pages\":\"\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2013-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Molecular Science\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.3175/MOLSCI.7.A0061\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Molecular Science","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.3175/MOLSCI.7.A0061","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
引用次数: 0