Toshinari Takahashi, Y. Masuda, Kazutoshi Yoshida, M. Mizuno
{"title":"木本乳酸菌发酵米酒的研制","authors":"Toshinari Takahashi, Y. Masuda, Kazutoshi Yoshida, M. Mizuno","doi":"10.6013/jbrewsocjapan.109.705","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"近年,高齢化社会の進展,生活習慣病の予防や美容に 対する意識の高まりを背景に健康食品市場は拡大を続け ている.健康食品の素材としてはアミノ酸やコラーゲン などさまざまな成分が知られているが,最近,乳酸菌の 注目度が高く,機能性食品市場で順調な伸びを示してい る.乳酸菌の機能性といえば,真っ先に思いつくのがヨー グルトに代表されるプロバイオティクス効果である.プ ロバイオティクスとは,「腸内フローラバランスを改善 することにより宿主に有益に働く生菌添加物」と定義さ れている が,最近では生菌という考え方にとらわれな い「宿主の健康維持に有益に働く微生物」という広い定 義のプロバイオティクスが用いられることも多くなって きた .他方,光岡知足先生は「直接あるいは腸内フロー ラを介して,免疫賦活,コレステロール低下作用,血圧 降下作用,整腸作用,抗腫瘍効果,抗血栓・造血作用な どの生体調節,生体防御,疾病予防・回復,老化制御等 に働く食品成分」というバイオジェニックスという考え 方を提唱している .乳酸菌体や乳酸菌生産物質はこの バイオジェニックスの代表格である.この学説がプロバ イオティクスと明らかに異なる点は,バイオジェニック スとしての乳酸菌は必ずしも生菌である必要がないとい う点である.死滅菌体においても生体調節機能があれば, 乳酸菌を生きたまま摂取する必要がない,言い換えれば, 乳酸菌で発酵させた食品を殺菌しても効果が期待でき, 流通面での障壁が低くなることから,乳酸菌を用いた発 酵食品の多様化につながると考えられる. このように乳酸菌を利用した食品が注目を集めている が,昔から日本人と乳酸菌のつながりは深く,日本酒, 味噌,醤油,漬物など伝統的な発酵食品の製造において, 乳酸菌は重要な役割を果たしてきた.日本酒と乳酸菌の つながりといえば,乳酸菌が生産する乳酸酸性環境下で アルコール発酵を担う酵母を純粋培養する工程「生酛」 があげられる.生酛では,蒸米,米麹,水を半切桶に仕 込んだ翌日,物量を櫂棒ですり潰す作業(山卸作業)を 行う.この工程は生酛独特の工程であり,山廃酛とは, この山卸し作業を廃止した酛のことである.山卸し作業 が終了すると,半切桶の物量を一つのタンクに集め,3 ~4日間,6~7°Cの低温に保つことにより野生酵母な どの汚染微生物の活動を抑える.この期間が打瀬である. 打瀬期間にはまず硝酸還元菌が生育し,硝酸を還元して 亜硝酸を生成する.一方,低温増殖性の乳酸菌も活動を 開始する.まず,球菌であるLeuconostoc mesenteroides が生育を始め,その後,桿菌であるLactobacillus sakei が増殖することにより優占菌の遷移が起こることが知ら 2015年度 生物工学技術賞 受賞 生酛乳酸菌のバイオジェニックス効果に着目した 米乳酸発酵飲料の開発","PeriodicalId":38799,"journal":{"name":"Seibutsu-kogaku Kaishi","volume":"19 1","pages":"63-69"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2016-02-25","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"2","resultStr":"{\"title\":\"Development of fermented rice drink using lactic acid bacteria isolated from kimoto\",\"authors\":\"Toshinari Takahashi, Y. Masuda, Kazutoshi Yoshida, M. Mizuno\",\"doi\":\"10.6013/jbrewsocjapan.109.705\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"近年,高齢化社会の進展,生活習慣病の予防や美容に 対する意識の高まりを背景に健康食品市場は拡大を続け ている.健康食品の素材としてはアミノ酸やコラーゲン などさまざまな成分が知られているが,最近,乳酸菌の 注目度が高く,機能性食品市場で順調な伸びを示してい る.乳酸菌の機能性といえば,真っ先に思いつくのがヨー グルトに代表されるプロバイオティクス効果である.プ ロバイオティクスとは,「腸内フローラバランスを改善 することにより宿主に有益に働く生菌添加物」と定義さ れている が,最近では生菌という考え方にとらわれな い「宿主の健康維持に有益に働く微生物」という広い定 義のプロバイオティクスが用いられることも多くなって きた .他方,光岡知足先生は「直接あるいは腸内フロー ラを介して,免疫賦活,コレステロール低下作用,血圧 降下作用,整腸作用,抗腫瘍効果,抗血栓・造血作用な どの生体調節,生体防御,疾病予防・回復,老化制御等 に働く食品成分」というバイオジェニックスという考え 方を提唱している .乳酸菌体や乳酸菌生産物質はこの バイオジェニックスの代表格である.この学説がプロバ イオティクスと明らかに異なる点は,バイオジェニック スとしての乳酸菌は必ずしも生菌である必要がないとい う点である.死滅菌体においても生体調節機能があれば, 乳酸菌を生きたまま摂取する必要がない,言い換えれば, 乳酸菌で発酵させた食品を殺菌しても効果が期待でき, 流通面での障壁が低くなることから,乳酸菌を用いた発 酵食品の多様化につながると考えられる. このように乳酸菌を利用した食品が注目を集めている が,昔から日本人と乳酸菌のつながりは深く,日本酒, 味噌,醤油,漬物など伝統的な発酵食品の製造において, 乳酸菌は重要な役割を果たしてきた.日本酒と乳酸菌の つながりといえば,乳酸菌が生産する乳酸酸性環境下で アルコール発酵を担う酵母を純粋培養する工程「生酛」 があげられる.生酛では,蒸米,米麹,水を半切桶に仕 込んだ翌日,物量を櫂棒ですり潰す作業(山卸作業)を 行う.この工程は生酛独特の工程であり,山廃酛とは, この山卸し作業を廃止した酛のことである.山卸し作業 が終了すると,半切桶の物量を一つのタンクに集め,3 ~4日間,6~7°Cの低温に保つことにより野生酵母な どの汚染微生物の活動を抑える.この期間が打瀬である. 打瀬期間にはまず硝酸還元菌が生育し,硝酸を還元して 亜硝酸を生成する.一方,低温増殖性の乳酸菌も活動を 開始する.まず,球菌であるLeuconostoc mesenteroides が生育を始め,その後,桿菌であるLactobacillus sakei が増殖することにより優占菌の遷移が起こることが知ら 2015年度 生物工学技術賞 受賞 生酛乳酸菌のバイオジェニックス効果に着目した 米乳酸発酵飲料の開発\",\"PeriodicalId\":38799,\"journal\":{\"name\":\"Seibutsu-kogaku Kaishi\",\"volume\":\"19 1\",\"pages\":\"63-69\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2016-02-25\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"2\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Seibutsu-kogaku Kaishi\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan.109.705\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"Q4\",\"JCRName\":\"Agricultural and Biological Sciences\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Seibutsu-kogaku Kaishi","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan.109.705","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"Q4","JCRName":"Agricultural and Biological Sciences","Score":null,"Total":0}
引用次数: 2
Development of fermented rice drink using lactic acid bacteria isolated from kimoto
近年,高齢化社会の進展,生活習慣病の予防や美容に 対する意識の高まりを背景に健康食品市場は拡大を続け ている.健康食品の素材としてはアミノ酸やコラーゲン などさまざまな成分が知られているが,最近,乳酸菌の 注目度が高く,機能性食品市場で順調な伸びを示してい る.乳酸菌の機能性といえば,真っ先に思いつくのがヨー グルトに代表されるプロバイオティクス効果である.プ ロバイオティクスとは,「腸内フローラバランスを改善 することにより宿主に有益に働く生菌添加物」と定義さ れている が,最近では生菌という考え方にとらわれな い「宿主の健康維持に有益に働く微生物」という広い定 義のプロバイオティクスが用いられることも多くなって きた .他方,光岡知足先生は「直接あるいは腸内フロー ラを介して,免疫賦活,コレステロール低下作用,血圧 降下作用,整腸作用,抗腫瘍効果,抗血栓・造血作用な どの生体調節,生体防御,疾病予防・回復,老化制御等 に働く食品成分」というバイオジェニックスという考え 方を提唱している .乳酸菌体や乳酸菌生産物質はこの バイオジェニックスの代表格である.この学説がプロバ イオティクスと明らかに異なる点は,バイオジェニック スとしての乳酸菌は必ずしも生菌である必要がないとい う点である.死滅菌体においても生体調節機能があれば, 乳酸菌を生きたまま摂取する必要がない,言い換えれば, 乳酸菌で発酵させた食品を殺菌しても効果が期待でき, 流通面での障壁が低くなることから,乳酸菌を用いた発 酵食品の多様化につながると考えられる. このように乳酸菌を利用した食品が注目を集めている が,昔から日本人と乳酸菌のつながりは深く,日本酒, 味噌,醤油,漬物など伝統的な発酵食品の製造において, 乳酸菌は重要な役割を果たしてきた.日本酒と乳酸菌の つながりといえば,乳酸菌が生産する乳酸酸性環境下で アルコール発酵を担う酵母を純粋培養する工程「生酛」 があげられる.生酛では,蒸米,米麹,水を半切桶に仕 込んだ翌日,物量を櫂棒ですり潰す作業(山卸作業)を 行う.この工程は生酛独特の工程であり,山廃酛とは, この山卸し作業を廃止した酛のことである.山卸し作業 が終了すると,半切桶の物量を一つのタンクに集め,3 ~4日間,6~7°Cの低温に保つことにより野生酵母な どの汚染微生物の活動を抑える.この期間が打瀬である. 打瀬期間にはまず硝酸還元菌が生育し,硝酸を還元して 亜硝酸を生成する.一方,低温増殖性の乳酸菌も活動を 開始する.まず,球菌であるLeuconostoc mesenteroides が生育を始め,その後,桿菌であるLactobacillus sakei が増殖することにより優占菌の遷移が起こることが知ら 2015年度 生物工学技術賞 受賞 生酛乳酸菌のバイオジェニックス効果に着目した 米乳酸発酵飲料の開発