T. Tsuji, S. Chono
{"title":"同心圆柱间液晶翻滚剪切流的数值模拟","authors":"T. Tsuji, S. Chono","doi":"10.1678/RHEOLOGY.40.239","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"ネマティック液晶は,単純せん断流動中の液晶分子の配 向挙動により,アライニング液晶とタンブリング液晶に大別 される.前者では,流動中の分子の平均配向方向(ディレ クタ)が流れ方向に対して Leslie角と呼ばれる微小な角度を 保った状態で静止し,後者ではディレクタが回転し続ける. ネマティック液晶の流動解析に広く用いられている LeslieEricksen理論(L-E理論)において両挙動は,理論式中の 6個の粘性係数の一つであるα3の符号で決定される.すな わち,α3が負ならばアライニング挙動,α3が正ならばタン ブリング挙動を示す. 従来,ネマティック液晶のアライニング挙動はもとより, タンブリング挙動についても L-E理論を用いた理論的研究 が行われてきた.Carlssonおよび Burghardtら 6) はディレク タがせん断平面内に留まるという仮定(面内仮定)の下で, 平行平板間タンブリング液晶流動の数値解析を行った.せん 断の印加により,ディレクタはせん断平面内で回転するが, 平板面におけるアンカリング(固定配向)の縛りによって 有限の回転角度で定常に至る.この定常ディレクタ分布は, せん断速度に対して不連続となり,ディレクタの最大配向 角がせん断速度に対して階段状に増加することが明らかに されている.Hanら はディレクタの面内仮定を用いないで 平行平板間タンブリング液晶流動の数値解析を行い,せん 断面内におけるディレクタの配向角が大きくなるとディレ クタがせん断面外へと逃れる挙動を示すことを明らかにす るとともに,せん断速度に依存して 2種類の面外挙動が存 在することを見出している. 一方,液晶は流動異方性,誘電異方性,光学異方性といっ た性質を持った機能性流体であり,近年,これらの特性を 活かした新たな液晶アプリケーションの探索が行われてい る.今後,液晶応用の更なる拡大のためには平行平板間流 れだけでなく,様々な流れ場における液晶流動挙動に関す るデータの蓄積が重要である.本研究では,タンブリング 液晶の同心二重円筒間せん断流れの数値解析を行い,せん 断速度の大きさと流路の曲率がディレクタ挙動に及ぼす影 響について調べる.","PeriodicalId":17434,"journal":{"name":"Journal of the Society of Rheology, Japan","volume":"9 1","pages":"239-244"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2013-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Numerical Simulations of Shear Flows of a Tumbling Liquid Crystal between Concentric Cylinders\",\"authors\":\"T. Tsuji, S. Chono\",\"doi\":\"10.1678/RHEOLOGY.40.239\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"ネマティック液晶は,単純せん断流動中の液晶分子の配 向挙動により,アライニング液晶とタンブリング液晶に大別 される.前者では,流動中の分子の平均配向方向(ディレ クタ)が流れ方向に対して Leslie角と呼ばれる微小な角度を 保った状態で静止し,後者ではディレクタが回転し続ける. ネマティック液晶の流動解析に広く用いられている LeslieEricksen理論(L-E理論)において両挙動は,理論式中の 6個の粘性係数の一つであるα3の符号で決定される.すな わち,α3が負ならばアライニング挙動,α3が正ならばタン ブリング挙動を示す. 従来,ネマティック液晶のアライニング挙動はもとより, タンブリング挙動についても L-E理論を用いた理論的研究 が行われてきた.Carlssonおよび Burghardtら 6) はディレク タがせん断平面内に留まるという仮定(面内仮定)の下で, 平行平板間タンブリング液晶流動の数値解析を行った.せん 断の印加により,ディレクタはせん断平面内で回転するが, 平板面におけるアンカリング(固定配向)の縛りによって 有限の回転角度で定常に至る.この定常ディレクタ分布は, せん断速度に対して不連続となり,ディレクタの最大配向 角がせん断速度に対して階段状に増加することが明らかに されている.Hanら はディレクタの面内仮定を用いないで 平行平板間タンブリング液晶流動の数値解析を行い,せん 断面内におけるディレクタの配向角が大きくなるとディレ クタがせん断面外へと逃れる挙動を示すことを明らかにす るとともに,せん断速度に依存して 2種類の面外挙動が存 在することを見出している. 一方,液晶は流動異方性,誘電異方性,光学異方性といっ た性質を持った機能性流体であり,近年,これらの特性を 活かした新たな液晶アプリケーションの探索が行われてい る.今後,液晶応用の更なる拡大のためには平行平板間流 れだけでなく,様々な流れ場における液晶流動挙動に関す るデータの蓄積が重要である.本研究では,タンブリング 液晶の同心二重円筒間せん断流れの数値解析を行い,せん 断速度の大きさと流路の曲率がディレクタ挙動に及ぼす影 響について調べる.\",\"PeriodicalId\":17434,\"journal\":{\"name\":\"Journal of the Society of Rheology, Japan\",\"volume\":\"9 1\",\"pages\":\"239-244\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2013-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Journal of the Society of Rheology, Japan\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.1678/RHEOLOGY.40.239\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Journal of the Society of Rheology, Japan","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.1678/RHEOLOGY.40.239","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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Numerical Simulations of Shear Flows of a Tumbling Liquid Crystal between Concentric Cylinders
ネマティック液晶は,単純せん断流動中の液晶分子の配 向挙動により,アライニング液晶とタンブリング液晶に大別 される.前者では,流動中の分子の平均配向方向(ディレ クタ)が流れ方向に対して Leslie角と呼ばれる微小な角度を 保った状態で静止し,後者ではディレクタが回転し続ける. ネマティック液晶の流動解析に広く用いられている LeslieEricksen理論(L-E理論)において両挙動は,理論式中の 6個の粘性係数の一つであるα3の符号で決定される.すな わち,α3が負ならばアライニング挙動,α3が正ならばタン ブリング挙動を示す. 従来,ネマティック液晶のアライニング挙動はもとより, タンブリング挙動についても L-E理論を用いた理論的研究 が行われてきた.Carlssonおよび Burghardtら 6) はディレク タがせん断平面内に留まるという仮定(面内仮定)の下で, 平行平板間タンブリング液晶流動の数値解析を行った.せん 断の印加により,ディレクタはせん断平面内で回転するが, 平板面におけるアンカリング(固定配向)の縛りによって 有限の回転角度で定常に至る.この定常ディレクタ分布は, せん断速度に対して不連続となり,ディレクタの最大配向 角がせん断速度に対して階段状に増加することが明らかに されている.Hanら はディレクタの面内仮定を用いないで 平行平板間タンブリング液晶流動の数値解析を行い,せん 断面内におけるディレクタの配向角が大きくなるとディレ クタがせん断面外へと逃れる挙動を示すことを明らかにす るとともに,せん断速度に依存して 2種類の面外挙動が存 在することを見出している. 一方,液晶は流動異方性,誘電異方性,光学異方性といっ た性質を持った機能性流体であり,近年,これらの特性を 活かした新たな液晶アプリケーションの探索が行われてい る.今後,液晶応用の更なる拡大のためには平行平板間流 れだけでなく,様々な流れ場における液晶流動挙動に関す るデータの蓄積が重要である.本研究では,タンブリング 液晶の同心二重円筒間せん断流れの数値解析を行い,せん 断速度の大きさと流路の曲率がディレクタ挙動に及ぼす影 響について調べる.