K. Ariga
{"title":"界面超分子化学:起源与未来","authors":"K. Ariga","doi":"10.4019/BJSCC.67.30","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"基本的に、界面科学と超分子化学は密接な間柄にある。 超分子化学の一つの主要産物である分子集合体の表面で は様々な界面現象が起こり、逆に界面環境のような制限 空間では異方性のある集合体などが様々な超分子構造を 産み出す。最近では、そこに配位化学も加わって、配位 結合を介した超分子集合体を界面で形成することによっ て、二次元性のナノ空間や規則ナノ構造を作成する手法 が報告されてくるようになった。例えば、Talham らは、 気-水界面における両親媒性のペンタシアノフェレート 錯体の単分子膜に下水相からニッケルイオンを配位させ ることによって、シアノ基でブリッジされた鉄とニッケ ルの格子状の錯体形成を二次元的に展開している 。北 川らは、カルボキシル基を四つ持つポルフィリン分子と 銅イオンとの間の配位結合を介して、気-水界面上に配 位高分子構造を作成し、さらにそれを Layer-by-Layer 構 造に積み上げられることを示した 。最近、西原らは、 三官能性のジピリンリガンドと亜鉛イオンとの間の柵体 系性錯体形成によるナノシート構造の作成を報告してい る 。これらの例は、分子間相互作用や錯体形成という 分子レベルの超分子化学や錯体化学を界面という異方性 のある場で展開することによって構造制御された物体を 得るという、ボトムアップ型の機能物質作製の典型例と いえる。 このように、超分子化学と界面科学の融合は、機能性 ナノ構造体を開発する上で大きな益があると考えられて いる。実は、そのようなファッショナブルで先端的な展 開ばかりではなく、界面における超分子化学は、生物現 象の根本的な理解や有機分子の機能探求における考え方 の見直しなど、基礎科学に深く根ざした面が、特に重要 なのである。本稿では、我々や関連の研究者達がなして きた「界面の超分子化学」をその始まりから将来展望ま でを簡単に解説したい 。","PeriodicalId":72479,"journal":{"name":"Bulletin of Japan Society of Coordination Chemistry","volume":"67 1","pages":"30-40"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2016-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"https://sci-hub-pdf.com/10.4019/BJSCC.67.30","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Supramolecular Chemistry at Interfaces: Origin and Future\",\"authors\":\"K. Ariga\",\"doi\":\"10.4019/BJSCC.67.30\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"基本的に、界面科学と超分子化学は密接な間柄にある。 超分子化学の一つの主要産物である分子集合体の表面で は様々な界面現象が起こり、逆に界面環境のような制限 空間では異方性のある集合体などが様々な超分子構造を 産み出す。最近では、そこに配位化学も加わって、配位 結合を介した超分子集合体を界面で形成することによっ て、二次元性のナノ空間や規則ナノ構造を作成する手法 が報告されてくるようになった。例えば、Talham らは、 気-水界面における両親媒性のペンタシアノフェレート 錯体の単分子膜に下水相からニッケルイオンを配位させ ることによって、シアノ基でブリッジされた鉄とニッケ ルの格子状の錯体形成を二次元的に展開している 。北 川らは、カルボキシル基を四つ持つポルフィリン分子と 銅イオンとの間の配位結合を介して、気-水界面上に配 位高分子構造を作成し、さらにそれを Layer-by-Layer 構 造に積み上げられることを示した 。最近、西原らは、 三官能性のジピリンリガンドと亜鉛イオンとの間の柵体 系性錯体形成によるナノシート構造の作成を報告してい る 。これらの例は、分子間相互作用や錯体形成という 分子レベルの超分子化学や錯体化学を界面という異方性 のある場で展開することによって構造制御された物体を 得るという、ボトムアップ型の機能物質作製の典型例と いえる。 このように、超分子化学と界面科学の融合は、機能性 ナノ構造体を開発する上で大きな益があると考えられて いる。実は、そのようなファッショナブルで先端的な展 開ばかりではなく、界面における超分子化学は、生物現 象の根本的な理解や有機分子の機能探求における考え方 の見直しなど、基礎科学に深く根ざした面が、特に重要 なのである。本稿では、我々や関連の研究者達がなして きた「界面の超分子化学」をその始まりから将来展望ま でを簡単に解説したい 。\",\"PeriodicalId\":72479,\"journal\":{\"name\":\"Bulletin of Japan Society of Coordination Chemistry\",\"volume\":\"67 1\",\"pages\":\"30-40\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2016-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"https://sci-hub-pdf.com/10.4019/BJSCC.67.30\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Bulletin of Japan Society of Coordination Chemistry\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.4019/BJSCC.67.30\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Bulletin of Japan Society of Coordination Chemistry","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.4019/BJSCC.67.30","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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