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Development of Photofunctions of Open-shell Molecules Based on Coordination Chemistry
ラジカルは不対電子を有する開殻電子系分子であり, 通常の閉殻分子とは異なる性質を示す。一般に,ラジカ ルは化学反応中に過渡的に生成する高反応性化学種(= 不安定化学種)として知られ,この高反応性を巧みに利 用した有機合成反応がこれまでに数多く開発されてきた 。一方で,室温や大気下においても安定に存在できる ラジカル,いわゆる安定ラジカルにも注目が集まってい る。安定ラジカルでは,電子的,熱力学的,速度論的手 法に基づき,その化学反応性が適切に抑制されている点 に特徴がある。 安定ラジカルは不対電子に基づき様々な物理物性を示 す。ラジカルの電気伝導性や磁性に着目した精力的な研 究は,金属的伝導性を示す電荷移動錯体 (TTF)(TCNQ) (TTF = テトラチアフルバレン,TCNQ = 7,7,8,8-テトラ シアノキノジメタン )や,極低温で磁石になるニトロ ニルニトロキシド の開発等を通して,物質科学・物性 科学の発展に大きく寄与してきた。一方で,ラジカルの 発光特性については研究例が極めて少ない。これまでに, 電子状態や励起状態ダイナミクスの解明といった物理化 学的な視点から,マトリックス中で過渡的に生成する不 安定ラジカルの発光物性が報告されてきたが ,物質 科学の観点から安定ラジカルの発光特性に着目した研究 は L. Juliáら や C. Lambertら による報告等に限られ ていた。その主な理由は,(1) 一般にラジカルは発光を 示さず,むしろ消光剤として機能する,(2) 光照射によ り分解する,という二点に帰結する。そこで筆者は,高 い光安定性と発光特性を兼ね備えた安定ラジカルを開発 し,未開拓となっている二重項(あるいは多重項)に基 づく発光機能を追究することで,新しい物質科学,光物 性科学を開拓することを目指して研究を進めている。