海平面理论变化及其与地震的关系

Keiichi Kodai
{"title":"海平面理论变化及其与地震的关系","authors":"Keiichi Kodai","doi":"10.5917/jagh1959.18.71","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"From latest foreighn reports concerning water-level fluctuations we learnt about the relations of physical parameters to phreatic level changes, and about the seismic relation also in comparison with hydroghraph data recoroed by a conventional recorder. The resuls is suggested that the level in a water well open to an artesian apuifer won't responods either to the changes of earth tide or to precursory phenomena of earthquake, because many of the apuifers in Japan have, in general, larger specific strage. 1.は じめに 筆者はかって,臨 海平野部における井水位変動の全国的なデータについて,形 態的お よび地域的な 関係を検討 し把握 した ことがあるが,地 下水 と関係する物理的変数間の理論的関係について深 く立ち 入 らないきらいがあった◎ 今回,水 位研究に関する諸外国の優れた幾つかの文献をもとに,被 圧面水位変化の理論的に解 って いる事項を整理し,こ のうちの基本的な部分について触れる他,地 震の伝播およびサイクルの理論 と 既存データとの比較をしなが ら,地 震 と井水位変動 との関係について も検討する◎ 2.一 般的井水位変動について 被圧面水位は,自 由面水位 とは異な り,そ の変動は,も し抗井の施工状態が完全ならば降水一河川 水,湖 沼水,融 雪水,灌 溜用水等による直接的な浸透ならびに蒸発の量 とは無関係で,も し関係あ り とするな らば,間 接的な滴養源水 としてである◎ したが って被圧面水位のおもな変動は,気 圧,海 洋 潮汐,地 殻潮汐,揚 水,問 接的滴養の5つ の現象に影響される◎(注)し かしなが ら,完 全な被圧面 状態の井戸ばか りが実際上あるわけではないので,こ の点留意する必要がある◎ 被圧面水位は,被 圧面地下水の水頭圧力を表わす ことはい うまで もないが,被 圧面状態にあるとい うことは,理 論的にみて,同 時に弾性的にあるとい うことであ り,こ れには地層 と流体2の つが関係 す る.弾 性係数(β)は,透 水係数(の に正比例する他,地 層の弾性係数や透水係数 と関係の深い ところ の被圧面水位下の有効間隙率(n)と も正比例する.そ して,圧 力伝達係数(k)と 流体密度(γ)の 相乗ま *地 質調査所 ((昭 和51年7月10日 受理) たは地層密度などに反比例する.(β=k/kγ). 揚水 他方,水 位変動は,こ の透水係数と帯水層厚(M)の 相乗(透 水量係数)に 関係すること は よく知 られている◎すなわち,帯 水層中の水位降下(s)は,井 戸か らの揚水量(Ω)に 正比例し 透水量係数に反比例する(svΩ/kM). 気圧 気圧の増大で水位が低下することもよく知 られている現象である◎Tacob(1940)は,気 圧効率(B)と 貯留係数(S)の 間の関係式(B=γgn/EwS,但 し,Ewは 流体容量モジュール)を 示した 他に,B=dp/dp.(但 し,PBは1~0の 間で変化す る気圧,そ してdpは 帯水層中の流体圧力変化) の関係を示 した. 海洋潮汐 内陸の水位は,海 洋潮汐変動に起因す る重力変化を,先 に説明した圧力伝達のかたち で影響を うけて変動することもよく知 られた現象である. 地殼潮汐 水位変化に影響を与える潮汐には,先 の海洋潮汐の他に,地 殻潮汐がある.弾 性状態 にある帯水層は,先 に説明したTacobの 両式か らDewiestが 導出した気圧変化による膨脹式(4B =BdPB〔(1-n)/EM十n/Ew)但 し,EMは 帯水層マ トリックスの容量モジュPtル)を みてわかるよ うに,気 圧変化によって膨脹する他に,地 殻潮汐によっても膨脹する◎すなわち,Robinsonら(19 71)は,先 のTacobの 両式の関係か ら,水 位変化(-dh)と 地殻潮汐による帯水層の膨脹(a,)と の 間には,比 貯留量と共に,△t=一 一Ss.dhの 関係があることを示 した. 海岸から離れた内陸で,し か も地質構造的にみても,海 水 とは全 く遮断されていて無関係な帯水層 り り の の の の の の の の の の の の の の水位は,そ の変動の振巾がす こぶる小 さく,そ して位相差も異なるのだが,海 洋潮汐 と類似 した一 日2回 の上下動を反復する場合がある◎ わが国では,こ のような実例や,こ れに関係した報告例はまだないのであるが,外 国では,古 くは 1880年 にKlonneが チエ コスロバキヤのot鉱 山中の水位変動か らこれを指摘 してお り,以 来10数 編 に亘るこれに関係した報告が夫々の研究者によりなされている◎ 先の文章中,下 線を付 した部分,す なわち,水 位変動の振 巾がすこぶる小さい とい うのは,貯 留性 の小さかったか裂水中の水位でさえもである.地 下水 と最も関係の深い ところの臨海平野部中の貯留 性が比較的に大きい均質有孔性帯水層を貫入する掘抜井戸の水位変動では,こ れ と反対の性質をもつ 裂か水の水位変動に比べて,先 の式(4戸 一Ss.dh)か らみてもわ かるように,振 巾が小さくなるこ とが予想されるが,実 際上,数 分の一程度の縮小率になるといわれていて,検 出不能に近いものとな る◎ おな,Love(1911)は,潮 汐ポテソシャルに関係する地殻潮汐による膨脹式を導びき,こ れにTakeuchi(1950)中 の数値をあてはめることにより,よ く一致する計算が可能であると説いている◎ 3.地 震による井水位変動について ある種の地震波が井水位を変動させることはよく知 られている.地 震波は帯水層に対 して垂直的な 動きと膨脹作用 とを与え,こ のどち らかで水位を変動させるが,膨 脹応答の方が垂直的動きの応答よ りも大 きい といわれている.一 般に,地 震に より井水位が応答する度合は,井 戸次元(径.水 位高. ス クリーソ長など),透 水量係数,貯 留係数,帯 水層の間隙率に より決定される他,地 震波の振巾. 周期や形によって決定されるといわれている◎ 地震の主要波には,P波,S波,ラ ブ波,そ して レイ レイ波の4つ がある.EatonとTakasaki(1 959)は,普 通深度の地震によ り発生する水位変動は,レ イ レイ波により生 じるとしている.後 に. Cooperら(1965)も また,レ レイイ波が他の地震波よ りも井水位変動に大きな影響を与えることを 理論的に証明している他,他 の地震波は,地 層伝播の途中に断層などがあると,こ れ らによりレイ レ イ波に変ることもあ りうるとしている◎ 本来,地 震研究に用いる水位記録計 としては,時 間軸および水位高 とも,拡 大 目盛のものを用いる 必要があるが,普 通 目盛iの水位計を用いた場合,P波 やS波 の振動は,時 間軸方向への太い線中に圧 縮されてしまうので,水 位記録は井水位の最大変動だけを示 し,こ れだけが一致す ることになる. 図一1-a~bは,水 井戸用の普通 目盛の水位計で記録した ところの過去における地震記録データで ある◎ 図一1-aの 説明一 昭和39年6月16日13時2分 に発生した有名な新潟地震は,仙 台地方でも新潟地 方にお とらない震度5の 強震を記録したが,仙 台市内のこの水位グラフは,地 震時6.5cmの 急激な上 昇があ り,そ の後す ぐには平常に戻らないで,約2日 間を経て順次回復 している. 図一1-bの 説明一 一上記 と同じ新潟地震は,茨 城県鹿島地方でも震度2を 記録した◎ この地震によ る水位の最大変動は,振 巾約16Cmの 上下動であった◎その他に,地 震の前後にやや特異な変動犠認 め られる◎ 図一1-cの 説明一 昭和41年4月3日13時43分 に発生 した地震は,小 名浜市内で震度4を 記録 し た◎水位の変動性状は,第1--a図 を小規模にした感 じで相似 している◎ 図1.-dの 説明一 昭和41年12月27日10時22分 セこ発生した地震は,福 島県いわ き市内で震度3を 記 録 したが,地 震により急上昇した水位は,緩 慢な単振動的減衰曲線を呈するようである◎ 地震は,地 震内部に序 々に貯え られてい くス トレスの爆発を意味する.し たがって,地 震が発生す る前までのス トレス生成過程で,岩 石中の亀裂の存在 と空隙中への地下水流入,そ して これにより起 るダイラタンシ(一 種の膨脹的作用)は,関 係する種々の物理的性質を変化させ る.近 年,地 震予知 に関係する多くの研究者の努力は,実 にこの物理的性質の変化を前兆現象としてとらえようとす るに 他ならない. Scholzら(1973)は,こ れまで実際に世界各地で発生した地震の前兆現象 と,各 種のダイラタソ シモデルによる室内研究をもとにして,基 礎的な解明をしている◎以下は,こ れからの一部引用を主 体 とし,こ れに上掲の記録データ(図..-1a~d)を 比べなが ら議論す る. 地震発生深度が比較的深 くないところの地震の前兆現象には次のようなものが考えられていて,実 際にも観測されている.岩 層の傾斜や隆起,地 域的微小地震の発生頻度とその衝撃度比,地 震波速度 比(Vp/Vs)の 変化,電 気抵抗比,磁 気的変化,流 体圧変化,そ してラドソの放射強度変化. このように,物 理的性質を変化させるダイ ラタソシ機構は,時 間的および期間的にみて,数 時間~ 日の短期的なもの と,月 ~年の長期的なものとの2つ に大別できる.長 期的なものの億とんどは,地 ダイラタンシモデルか ら予想 される水流量(ま たはラ ドン放射)変 化の 地震サイクル摸式図.Sch◎lzち(1973)に よる. 震波速度比の変化であ り,他 はおそらく短期的範疇に入るものと思われるが,こ の うち.地 下水に関 係あるものは,流 体圧変化 とラ ドン放射強度変化であ り,特 に流体圧変化は井水位蒙動 と深い関係が あるので注 目したい◎ ダイラタγシモデルの研究から,地 震サイクルにおける現象変化の過程は,爵 間的関数として次の ような各段階に区分できる◎ 第1段 階一 ゆ っくりした地殻構造上の弾性的伸びの畜積による入 トレス増大過程. 第 ∫∫段階一 過剰ス トレスによるダイラタソシ活動の急増過程◎ 第 亟段階一一 ダイラタンシで発生した岩石亀裂帯水層中への水の流入◎ (第IV段 階 一 ダイラタソシモデル実験からはわか らなかったが,大 地震の直前によく観測された 非常に迅速な岩層移動による別の短期的変動も場合により生 じる.) 第V段 階 一 地震発生 とその直後における急激なス トレス低下◎ 第VI段 階一 余震 とその衝撃間の再調整期間である. 図一2は,彼 らがダイラタンシモデルから予想した各種の物理的性質別の地震サイ クルの模式図の うち,流 体圧変化に関係するものだけを抜 き出して示 したものであ り,こ の図中の第 姐段階における 水流率は,点 線で示 したように変化する.な お,ラ ドン放射の場合は,水 流にだけ関係するのではな くて,亀 裂生成により新しく創成された空隙の表面積に関係す るとしている. 図一1の 水井戸の各水位変動の うち,地 震前の変動に注 目すると,図 一1aとcは,前 日からなだ らかな小さい低下傾向を示す.ま た,図 一1-bで は,地 震前の約1時 間20分 前に,約1.5cmの 急激 な低下 とその後の地震時までの急激な戻 りを示 しているが,こ れと同じ地震(新 潟地震)に おいて, 図一1-bの 茨城県鹿島地点井 よりも震源に近いところの図一1-aの 仙台市 内井ならびに,本 稿で は図示を省いたが,秋 田市内井などでも,地 震 とその後の変動は夫々認められたが前兆現象は認め ら れなかった. これ ら図一1-a~-cを 図一一2の ダイラタソシモデルか ら予想す る水流量変化の地震サイクル模 式図 と比べた場合,過 剰ス トレスか ら生 じるダイラタソシ活動の急増段階(第 顕段階)で 起 りうるで あろうところの水位上昇がいずれも見出されないが,図 一1-a~-cの 地震前の水位変動と,図 の ダイラタンシモデルの前兆現象の模式図が全 く異質な ものともいえないで,類 似性を残 している. しか し,図 一1--bは 別 として,実 際上,図 一1-aと 一cに おける地震前の水位のなだ らかで小 さな低下量,あ るいわそれ よりも数倍も大きな上下動がおもに気圧変動や揚水影響により常に存在 し ているし,気 圧変動は計算で取 り除 くことができるが,距 離的に異なる多 くの個所でお こなっている 揚水による短期的影響を計箕 して取 り除 くことは実際上不可能であるので,短 期的意味での誤差範囲 の域を出ていない◎ 以上,地 震前の水位変動が地震の前兆現象 と関係あ りやなしやの議論は,Scholzら が,そ の調査 結果から,前 兆変動の度合は震央からの距離の増大で次第に減少 し,約100km以 上離れると,観 測 できないようであるとい うことか らす ると,図 一 1の 例は,い ずれもこの距離以上に遠い地点にある ものなので,無 意味なものであるかもしれない◎ しかし,前 節で述べたように,貯 留性の小さかった裂か水の動 きを とらえた水位変動 と比べて,比 較的に貯留性の高い帯水層にだけ孔明するところの大多数の水井戸か らは,地 殻潮汐による変動を検 幽しに くいのと同様な意味で,た とえ震源から近い距離にある水井戸であるにせ よ,好 結果を生む可 能性は小さいものと思われる. 文 献 1) Eaton, J. and Takasaki, K. J., 1959, Seismological interpretation of earthquake-induced• water-level fluctuations in wells. Bull. Seismo. Soc. America. Vol. 49, No. 3, pp. 227-245. 2) Bredehoeft, j. D. , 1967, Response of well-aquifer systems to esrth tides. Jour, of Geophy. Res. , Vol. 72, PP. 3075-3085. 3) Robinson, E. S. , and Bell, R. T. , 1971, Tide in conbined well-aquifer systems. Jour, of Geophy. Res. , Vol. 76, No. 8. 4) Scholz, C. 1-1. , and others, 1973, Earthquake prediction : A physical basis. SCIENCE, Vol. 181, No. 4102. 5) Marine, I. W. , 1975, Water level fluctuations, due to earth tide in a well pumping from slightly fractured crystalline rock. Water Resources Research, Vol. 11, No. 1.","PeriodicalId":422881,"journal":{"name":"THE JOURNAL OF THE JAPANESE ASSOCIATION OF GROUNDWATER HYDROLOGY","volume":"8 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"1900-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Theoretical Changes of Phreatic Level, and their Relation on Earthquake\",\"authors\":\"Keiichi Kodai\",\"doi\":\"10.5917/jagh1959.18.71\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"From latest foreighn reports concerning water-level fluctuations we learnt about the relations of physical parameters to phreatic level changes, and about the seismic relation also in comparison with hydroghraph data recoroed by a conventional recorder. 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Cooperら(1965)も また,レ レイイ波が他の地震波よ りも井水位変動に大きな影響を与えることを 理論的に証明している他,他 の地震波は,地 層伝播の途中に断層などがあると,こ れ らによりレイ レ イ波に変ることもあ りうるとしている◎ 本来,地 震研究に用いる水位記録計 としては,時 間軸および水位高 とも,拡 大 目盛のものを用いる 必要があるが,普 通 目盛iの水位計を用いた場合,P波 やS波 の振動は,時 間軸方向への太い線中に圧 縮されてしまうので,水 位記録は井水位の最大変動だけを示 し,こ れだけが一致す ることになる. 図一1-a~bは,水 井戸用の普通 目盛の水位計で記録した ところの過去における地震記録データで ある◎ 図一1-aの 説明一 昭和39年6月16日13時2分 に発生した有名な新潟地震は,仙 台地方でも新潟地 方にお とらない震度5の 強震を記録したが,仙 台市内のこの水位グラフは,地 震時6.5cmの 急激な上 昇があ り,そ の後す ぐには平常に戻らないで,約2日 間を経て順次回復 している. 図一1-bの 説明一 一上記 と同じ新潟地震は,茨 城県鹿島地方でも震度2を 記録した◎ この地震によ る水位の最大変動は,振 巾約16Cmの 上下動であった◎その他に,地 震の前後にやや特異な変動犠認 め られる◎ 図一1-cの 説明一 昭和41年4月3日13時43分 に発生 した地震は,小 名浜市内で震度4を 記録 し た◎水位の変動性状は,第1--a図 を小規模にした感 じで相似 している◎ 図1.-dの 説明一 昭和41年12月27日10時22分 セこ発生した地震は,福 島県いわ き市内で震度3を 記 録 したが,地 震により急上昇した水位は,緩 慢な単振動的減衰曲線を呈するようである◎ 地震は,地 震内部に序 々に貯え られてい くス トレスの爆発を意味する.し たがって,地 震が発生す る前までのス トレス生成過程で,岩 石中の亀裂の存在 と空隙中への地下水流入,そ して これにより起 るダイラタンシ(一 種の膨脹的作用)は,関 係する種々の物理的性質を変化させ る.近 年,地 震予知 に関係する多くの研究者の努力は,実 にこの物理的性質の変化を前兆現象としてとらえようとす るに 他ならない. Scholzら(1973)は,こ れまで実際に世界各地で発生した地震の前兆現象 と,各 種のダイラタソ シモデルによる室内研究をもとにして,基 礎的な解明をしている◎以下は,こ れからの一部引用を主 体 とし,こ れに上掲の記録データ(図..-1a~d)を 比べなが ら議論す る. 地震発生深度が比較的深 くないところの地震の前兆現象には次のようなものが考えられていて,実 際にも観測されている.岩 層の傾斜や隆起,地 域的微小地震の発生頻度とその衝撃度比,地 震波速度 比(Vp/Vs)の 変化,電 気抵抗比,磁 気的変化,流 体圧変化,そ してラドソの放射強度変化. このように,物 理的性質を変化させるダイ ラタソシ機構は,時 間的および期間的にみて,数 時間~ 日の短期的なもの と,月 ~年の長期的なものとの2つ に大別できる.長 期的なものの億とんどは,地 ダイラタンシモデルか ら予想 される水流量(ま たはラ ドン放射)変 化の 地震サイクル摸式図.Sch◎lzち(1973)に よる. 震波速度比の変化であ り,他 はおそらく短期的範疇に入るものと思われるが,こ の うち.地 下水に関 係あるものは,流 体圧変化 とラ ドン放射強度変化であ り,特 に流体圧変化は井水位蒙動 と深い関係が あるので注 目したい◎ ダイラタγシモデルの研究から,地 震サイクルにおける現象変化の過程は,爵 間的関数として次の ような各段階に区分できる◎ 第1段 階一 ゆ っくりした地殻構造上の弾性的伸びの畜積による入 トレス増大過程. 第 ∫∫段階一 過剰ス トレスによるダイラタソシ活動の急増過程◎ 第 亟段階一一 ダイラタンシで発生した岩石亀裂帯水層中への水の流入◎ (第IV段 階 一 ダイラタソシモデル実験からはわか らなかったが,大 地震の直前によく観測された 非常に迅速な岩層移動による別の短期的変動も場合により生 じる.) 第V段 階 一 地震発生 とその直後における急激なス トレス低下◎ 第VI段 階一 余震 とその衝撃間の再調整期間である. 図一2は,彼 らがダイラタンシモデルから予想した各種の物理的性質別の地震サイ クルの模式図の うち,流 体圧変化に関係するものだけを抜 き出して示 したものであ り,こ の図中の第 姐段階における 水流率は,点 線で示 したように変化する.な お,ラ ドン放射の場合は,水 流にだけ関係するのではな くて,亀 裂生成により新しく創成された空隙の表面積に関係す るとしている. 図一1の 水井戸の各水位変動の うち,地 震前の変動に注 目すると,図 一1aとcは,前 日からなだ らかな小さい低下傾向を示す.ま た,図 一1-bで は,地 震前の約1時 間20分 前に,約1.5cmの 急激 な低下 とその後の地震時までの急激な戻 りを示 しているが,こ れと同じ地震(新 潟地震)に おいて, 図一1-bの 茨城県鹿島地点井 よりも震源に近いところの図一1-aの 仙台市 内井ならびに,本 稿で は図示を省いたが,秋 田市内井などでも,地 震 とその後の変動は夫々認められたが前兆現象は認め ら れなかった. これ ら図一1-a~-cを 図一一2の ダイラタソシモデルか ら予想す る水流量変化の地震サイクル模 式図 と比べた場合,過 剰ス トレスか ら生 じるダイラタソシ活動の急増段階(第 顕段階)で 起 りうるで あろうところの水位上昇がいずれも見出されないが,図 一1-a~-cの 地震前の水位変動と,図 の ダイラタンシモデルの前兆現象の模式図が全 く異質な ものともいえないで,類 似性を残 している. しか し,図 一1--bは 別 として,実 際上,図 一1-aと 一cに おける地震前の水位のなだ らかで小 さな低下量,あ るいわそれ よりも数倍も大きな上下動がおもに気圧変動や揚水影響により常に存在 し ているし,気 圧変動は計算で取 り除 くことができるが,距 離的に異なる多 くの個所でお こなっている 揚水による短期的影響を計箕 して取 り除 くことは実際上不可能であるので,短 期的意味での誤差範囲 の域を出ていない◎ 以上,地 震前の水位変動が地震の前兆現象 と関係あ りやなしやの議論は,Scholzら が,そ の調査 結果から,前 兆変動の度合は震央からの距離の増大で次第に減少 し,約100km以 上離れると,観 測 できないようであるとい うことか らす ると,図 一 1の 例は,い ずれもこの距離以上に遠い地点にある ものなので,無 意味なものであるかもしれない◎ しかし,前 節で述べたように,貯 留性の小さかった裂か水の動 きを とらえた水位変動 と比べて,比 較的に貯留性の高い帯水層にだけ孔明するところの大多数の水井戸か らは,地 殻潮汐による変動を検 幽しに くいのと同様な意味で,た とえ震源から近い距離にある水井戸であるにせ よ,好 結果を生む可 能性は小さいものと思われる. 文 献 1) Eaton, J. and Takasaki, K. J., 1959, Seismological interpretation of earthquake-induced• water-level fluctuations in wells. Bull. Seismo. Soc. America. Vol. 49, No. 3, pp. 227-245. 2) Bredehoeft, j. D. , 1967, Response of well-aquifer systems to esrth tides. Jour, of Geophy. Res. , Vol. 72, PP. 3075-3085. 3) Robinson, E. S. , and Bell, R. T. , 1971, Tide in conbined well-aquifer systems. Jour, of Geophy. Res. , Vol. 76, No. 8. 4) Scholz, C. 1-1. , and others, 1973, Earthquake prediction : A physical basis. SCIENCE, Vol. 181, No. 4102. 5) Marine, I. W. , 1975, Water level fluctuations, due to earth tide in a well pumping from slightly fractured crystalline rock. 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摘要

另外,氡辐射不仅与水流有关,还与龟裂生成新形成的空隙的表面积有关。在图1所示的水井的各水位变动中,注意到地震前的变动,图1a和图c显示出较前一日小幅下降的趋势。另外,图1-b显示地震前约1小时20分钟。前面表示了急剧下降约1.5cm,并在之后发生地震时急剧返回,在同一次地震(新潟地震)中,图1-b的茨城县鹿岛地点井,图1-a的仙台市内井,以及本稿中省略了图表,秋田市内井等,都有地震和之后的变动,但也有前兆现象。图1-a~图1- c与图1- 2的地震监测模型预测的水流量变化的地震循环示意图相比,发现从过剩应力产生的地震监测活动的剧增阶段(第1阶段显阶段)中可能发生的水位上升都没有发现,图1-a~-c的震前水位变动和图中的平端模型的前兆现象示意图也不能说是完全不同性质的。保留了相似之处。但是,图1- b另论,实际上,图1-a和图1c中地震前水位的轻微下降量。比气压变动和抽水影响大好几倍的上下移动经常存在,气压变动可以通过计算消除,但要计算在距离和距离不同的多个地方发生的抽水带来的短期影响。因为实际上不可能消除,所以没有超出短周期意义上的误差范围。◎以上,关于地震前的水位变动与地震前兆现象有关系的论点,由Scholz等人进行调查从结果来看,随着离震中距离的增大,前兆变动的程度逐渐减小,大约在100km以上,就无法观测到前兆变动的程度。图1的例子是:偏差也在这个距离以上的地方,所以可能是没有意义的。●但是,如前一节所述,与捕捉到贮留性小的裂水的变动的水位变动相比,就像大多数只在贮留性较高的含水层上钻探的水井,很难探测地壳潮汐引起的变动一样,即使是离震源较近的水井,也能产生好结果。被认为能力很小。文献1)Eaton, J. and Takasaki, k.j., 1959,地球quake-induced water-level fluctuations in wells. Bull. Seismo。Soc. America. Vol. 49, No. 3, pp. 227-245. 2) Bredehoeft, j.d., 1967,well aquifer系统to esrth tides. Jour, of Geophy. Res, Vol. 72,PP. 3075-3085. 3)罗宾逊,e.s., and Bell, r.t., 1971,Tide in conbined well aquifer systems. Jour, of Geophy. Res, Vol. 76, No. 8. 4) Scholz, C. 1-1.,and others, 1973,地球quake prediction:物理基础科学,Vol. 181, No. 4102. 5) Marine, i.w., 1975, Water level fluctuations,due to earth tide in a well pumping from slightly fractured crystalline rock. Water ResourcesResearch, Vol. 11, No. 1。
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Theoretical Changes of Phreatic Level, and their Relation on Earthquake
From latest foreighn reports concerning water-level fluctuations we learnt about the relations of physical parameters to phreatic level changes, and about the seismic relation also in comparison with hydroghraph data recoroed by a conventional recorder. The resuls is suggested that the level in a water well open to an artesian apuifer won't responods either to the changes of earth tide or to precursory phenomena of earthquake, because many of the apuifers in Japan have, in general, larger specific strage. 1.は じめに 筆者はかって,臨 海平野部における井水位変動の全国的なデータについて,形 態的お よび地域的な 関係を検討 し把握 した ことがあるが,地 下水 と関係する物理的変数間の理論的関係について深 く立ち 入 らないきらいがあった◎ 今回,水 位研究に関する諸外国の優れた幾つかの文献をもとに,被 圧面水位変化の理論的に解 って いる事項を整理し,こ のうちの基本的な部分について触れる他,地 震の伝播およびサイクルの理論 と 既存データとの比較をしなが ら,地 震 と井水位変動 との関係について も検討する◎ 2.一 般的井水位変動について 被圧面水位は,自 由面水位 とは異な り,そ の変動は,も し抗井の施工状態が完全ならば降水一河川 水,湖 沼水,融 雪水,灌 溜用水等による直接的な浸透ならびに蒸発の量 とは無関係で,も し関係あ り とするな らば,間 接的な滴養源水 としてである◎ したが って被圧面水位のおもな変動は,気 圧,海 洋 潮汐,地 殻潮汐,揚 水,問 接的滴養の5つ の現象に影響される◎(注)し かしなが ら,完 全な被圧面 状態の井戸ばか りが実際上あるわけではないので,こ の点留意する必要がある◎ 被圧面水位は,被 圧面地下水の水頭圧力を表わす ことはい うまで もないが,被 圧面状態にあるとい うことは,理 論的にみて,同 時に弾性的にあるとい うことであ り,こ れには地層 と流体2の つが関係 す る.弾 性係数(β)は,透 水係数(の に正比例する他,地 層の弾性係数や透水係数 と関係の深い ところ の被圧面水位下の有効間隙率(n)と も正比例する.そ して,圧 力伝達係数(k)と 流体密度(γ)の 相乗ま *地 質調査所 ((昭 和51年7月10日 受理) たは地層密度などに反比例する.(β=k/kγ). 揚水 他方,水 位変動は,こ の透水係数と帯水層厚(M)の 相乗(透 水量係数)に 関係すること は よく知 られている◎すなわち,帯 水層中の水位降下(s)は,井 戸か らの揚水量(Ω)に 正比例し 透水量係数に反比例する(svΩ/kM). 気圧 気圧の増大で水位が低下することもよく知 られている現象である◎Tacob(1940)は,気 圧効率(B)と 貯留係数(S)の 間の関係式(B=γgn/EwS,但 し,Ewは 流体容量モジュール)を 示した 他に,B=dp/dp.(但 し,PBは1~0の 間で変化す る気圧,そ してdpは 帯水層中の流体圧力変化) の関係を示 した. 海洋潮汐 内陸の水位は,海 洋潮汐変動に起因す る重力変化を,先 に説明した圧力伝達のかたち で影響を うけて変動することもよく知 られた現象である. 地殼潮汐 水位変化に影響を与える潮汐には,先 の海洋潮汐の他に,地 殻潮汐がある.弾 性状態 にある帯水層は,先 に説明したTacobの 両式か らDewiestが 導出した気圧変化による膨脹式(4B =BdPB〔(1-n)/EM十n/Ew)但 し,EMは 帯水層マ トリックスの容量モジュPtル)を みてわかるよ うに,気 圧変化によって膨脹する他に,地 殻潮汐によっても膨脹する◎すなわち,Robinsonら(19 71)は,先 のTacobの 両式の関係か ら,水 位変化(-dh)と 地殻潮汐による帯水層の膨脹(a,)と の 間には,比 貯留量と共に,△t=一 一Ss.dhの 関係があることを示 した. 海岸から離れた内陸で,し か も地質構造的にみても,海 水 とは全 く遮断されていて無関係な帯水層 り り の の の の の の の の の の の の の の水位は,そ の変動の振巾がす こぶる小 さく,そ して位相差も異なるのだが,海 洋潮汐 と類似 した一 日2回 の上下動を反復する場合がある◎ わが国では,こ のような実例や,こ れに関係した報告例はまだないのであるが,外 国では,古 くは 1880年 にKlonneが チエ コスロバキヤのot鉱 山中の水位変動か らこれを指摘 してお り,以 来10数 編 に亘るこれに関係した報告が夫々の研究者によりなされている◎ 先の文章中,下 線を付 した部分,す なわち,水 位変動の振 巾がすこぶる小さい とい うのは,貯 留性 の小さかったか裂水中の水位でさえもである.地 下水 と最も関係の深い ところの臨海平野部中の貯留 性が比較的に大きい均質有孔性帯水層を貫入する掘抜井戸の水位変動では,こ れ と反対の性質をもつ 裂か水の水位変動に比べて,先 の式(4戸 一Ss.dh)か らみてもわ かるように,振 巾が小さくなるこ とが予想されるが,実 際上,数 分の一程度の縮小率になるといわれていて,検 出不能に近いものとな る◎ おな,Love(1911)は,潮 汐ポテソシャルに関係する地殻潮汐による膨脹式を導びき,こ れにTakeuchi(1950)中 の数値をあてはめることにより,よ く一致する計算が可能であると説いている◎ 3.地 震による井水位変動について ある種の地震波が井水位を変動させることはよく知 られている.地 震波は帯水層に対 して垂直的な 動きと膨脹作用 とを与え,こ のどち らかで水位を変動させるが,膨 脹応答の方が垂直的動きの応答よ りも大 きい といわれている.一 般に,地 震に より井水位が応答する度合は,井 戸次元(径.水 位高. ス クリーソ長など),透 水量係数,貯 留係数,帯 水層の間隙率に より決定される他,地 震波の振巾. 周期や形によって決定されるといわれている◎ 地震の主要波には,P波,S波,ラ ブ波,そ して レイ レイ波の4つ がある.EatonとTakasaki(1 959)は,普 通深度の地震によ り発生する水位変動は,レ イ レイ波により生 じるとしている.後 に. Cooperら(1965)も また,レ レイイ波が他の地震波よ りも井水位変動に大きな影響を与えることを 理論的に証明している他,他 の地震波は,地 層伝播の途中に断層などがあると,こ れ らによりレイ レ イ波に変ることもあ りうるとしている◎ 本来,地 震研究に用いる水位記録計 としては,時 間軸および水位高 とも,拡 大 目盛のものを用いる 必要があるが,普 通 目盛iの水位計を用いた場合,P波 やS波 の振動は,時 間軸方向への太い線中に圧 縮されてしまうので,水 位記録は井水位の最大変動だけを示 し,こ れだけが一致す ることになる. 図一1-a~bは,水 井戸用の普通 目盛の水位計で記録した ところの過去における地震記録データで ある◎ 図一1-aの 説明一 昭和39年6月16日13時2分 に発生した有名な新潟地震は,仙 台地方でも新潟地 方にお とらない震度5の 強震を記録したが,仙 台市内のこの水位グラフは,地 震時6.5cmの 急激な上 昇があ り,そ の後す ぐには平常に戻らないで,約2日 間を経て順次回復 している. 図一1-bの 説明一 一上記 と同じ新潟地震は,茨 城県鹿島地方でも震度2を 記録した◎ この地震によ る水位の最大変動は,振 巾約16Cmの 上下動であった◎その他に,地 震の前後にやや特異な変動犠認 め られる◎ 図一1-cの 説明一 昭和41年4月3日13時43分 に発生 した地震は,小 名浜市内で震度4を 記録 し た◎水位の変動性状は,第1--a図 を小規模にした感 じで相似 している◎ 図1.-dの 説明一 昭和41年12月27日10時22分 セこ発生した地震は,福 島県いわ き市内で震度3を 記 録 したが,地 震により急上昇した水位は,緩 慢な単振動的減衰曲線を呈するようである◎ 地震は,地 震内部に序 々に貯え られてい くス トレスの爆発を意味する.し たがって,地 震が発生す る前までのス トレス生成過程で,岩 石中の亀裂の存在 と空隙中への地下水流入,そ して これにより起 るダイラタンシ(一 種の膨脹的作用)は,関 係する種々の物理的性質を変化させ る.近 年,地 震予知 に関係する多くの研究者の努力は,実 にこの物理的性質の変化を前兆現象としてとらえようとす るに 他ならない. Scholzら(1973)は,こ れまで実際に世界各地で発生した地震の前兆現象 と,各 種のダイラタソ シモデルによる室内研究をもとにして,基 礎的な解明をしている◎以下は,こ れからの一部引用を主 体 とし,こ れに上掲の記録データ(図..-1a~d)を 比べなが ら議論す る. 地震発生深度が比較的深 くないところの地震の前兆現象には次のようなものが考えられていて,実 際にも観測されている.岩 層の傾斜や隆起,地 域的微小地震の発生頻度とその衝撃度比,地 震波速度 比(Vp/Vs)の 変化,電 気抵抗比,磁 気的変化,流 体圧変化,そ してラドソの放射強度変化. このように,物 理的性質を変化させるダイ ラタソシ機構は,時 間的および期間的にみて,数 時間~ 日の短期的なもの と,月 ~年の長期的なものとの2つ に大別できる.長 期的なものの億とんどは,地 ダイラタンシモデルか ら予想 される水流量(ま たはラ ドン放射)変 化の 地震サイクル摸式図.Sch◎lzち(1973)に よる. 震波速度比の変化であ り,他 はおそらく短期的範疇に入るものと思われるが,こ の うち.地 下水に関 係あるものは,流 体圧変化 とラ ドン放射強度変化であ り,特 に流体圧変化は井水位蒙動 と深い関係が あるので注 目したい◎ ダイラタγシモデルの研究から,地 震サイクルにおける現象変化の過程は,爵 間的関数として次の ような各段階に区分できる◎ 第1段 階一 ゆ っくりした地殻構造上の弾性的伸びの畜積による入 トレス増大過程. 第 ∫∫段階一 過剰ス トレスによるダイラタソシ活動の急増過程◎ 第 亟段階一一 ダイラタンシで発生した岩石亀裂帯水層中への水の流入◎ (第IV段 階 一 ダイラタソシモデル実験からはわか らなかったが,大 地震の直前によく観測された 非常に迅速な岩層移動による別の短期的変動も場合により生 じる.) 第V段 階 一 地震発生 とその直後における急激なス トレス低下◎ 第VI段 階一 余震 とその衝撃間の再調整期間である. 図一2は,彼 らがダイラタンシモデルから予想した各種の物理的性質別の地震サイ クルの模式図の うち,流 体圧変化に関係するものだけを抜 き出して示 したものであ り,こ の図中の第 姐段階における 水流率は,点 線で示 したように変化する.な お,ラ ドン放射の場合は,水 流にだけ関係するのではな くて,亀 裂生成により新しく創成された空隙の表面積に関係す るとしている. 図一1の 水井戸の各水位変動の うち,地 震前の変動に注 目すると,図 一1aとcは,前 日からなだ らかな小さい低下傾向を示す.ま た,図 一1-bで は,地 震前の約1時 間20分 前に,約1.5cmの 急激 な低下 とその後の地震時までの急激な戻 りを示 しているが,こ れと同じ地震(新 潟地震)に おいて, 図一1-bの 茨城県鹿島地点井 よりも震源に近いところの図一1-aの 仙台市 内井ならびに,本 稿で は図示を省いたが,秋 田市内井などでも,地 震 とその後の変動は夫々認められたが前兆現象は認め ら れなかった. これ ら図一1-a~-cを 図一一2の ダイラタソシモデルか ら予想す る水流量変化の地震サイクル模 式図 と比べた場合,過 剰ス トレスか ら生 じるダイラタソシ活動の急増段階(第 顕段階)で 起 りうるで あろうところの水位上昇がいずれも見出されないが,図 一1-a~-cの 地震前の水位変動と,図 の ダイラタンシモデルの前兆現象の模式図が全 く異質な ものともいえないで,類 似性を残 している. しか し,図 一1--bは 別 として,実 際上,図 一1-aと 一cに おける地震前の水位のなだ らかで小 さな低下量,あ るいわそれ よりも数倍も大きな上下動がおもに気圧変動や揚水影響により常に存在 し ているし,気 圧変動は計算で取 り除 くことができるが,距 離的に異なる多 くの個所でお こなっている 揚水による短期的影響を計箕 して取 り除 くことは実際上不可能であるので,短 期的意味での誤差範囲 の域を出ていない◎ 以上,地 震前の水位変動が地震の前兆現象 と関係あ りやなしやの議論は,Scholzら が,そ の調査 結果から,前 兆変動の度合は震央からの距離の増大で次第に減少 し,約100km以 上離れると,観 測 できないようであるとい うことか らす ると,図 一 1の 例は,い ずれもこの距離以上に遠い地点にある ものなので,無 意味なものであるかもしれない◎ しかし,前 節で述べたように,貯 留性の小さかった裂か水の動 きを とらえた水位変動 と比べて,比 較的に貯留性の高い帯水層にだけ孔明するところの大多数の水井戸か らは,地 殻潮汐による変動を検 幽しに くいのと同様な意味で,た とえ震源から近い距離にある水井戸であるにせ よ,好 結果を生む可 能性は小さいものと思われる. 文 献 1) Eaton, J. and Takasaki, K. J., 1959, Seismological interpretation of earthquake-induced• water-level fluctuations in wells. Bull. Seismo. Soc. America. Vol. 49, No. 3, pp. 227-245. 2) Bredehoeft, j. D. , 1967, Response of well-aquifer systems to esrth tides. Jour, of Geophy. Res. , Vol. 72, PP. 3075-3085. 3) Robinson, E. S. , and Bell, R. T. , 1971, Tide in conbined well-aquifer systems. Jour, of Geophy. Res. , Vol. 76, No. 8. 4) Scholz, C. 1-1. , and others, 1973, Earthquake prediction : A physical basis. SCIENCE, Vol. 181, No. 4102. 5) Marine, I. W. , 1975, Water level fluctuations, due to earth tide in a well pumping from slightly fractured crystalline rock. Water Resources Research, Vol. 11, No. 1.
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