S. Oguchi
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Reconsideration of an origin of the spring water which forms permanent river at the Higashi-yama Mountain, Hachijo Island
火山体が有力な貯水池であることはよく知られ ている事実である(山本,1970)。火山全体を水 文学的に独立した一つの単元と考えた場合,湧水 の分布およびその湧水量は火山体内部の地下水の 流動を解明する大きな手がかりになると考えられ る(丸井ほか,1993)。また,湧水の分布は地質 層序および地質構造に密接な関係がある(工藤・ 熊井,1986)。 火山体を水文学的構造に区分する場合,明瞭な 地形的境界条件として島嶼である火山島が把握し やすい。例えば,わが国の火山島で代表的な伊豆 諸島について,新藤(1980,1992,1998)は水 文地質学的研究などから水文環境についてまと め,伊豆大島地域の地下水については,高橋ほか (1987)の報告がある。貯留された地下水は山体 の各所で湧出し,特に湧出する箇所は山麓・火山 体裾野部である(山本,1983)。 カルデラを有する火山体の中には,高い位置に 湧水を持ち恒常河川を有するものがある。例えば 山本ほか(1987)は,阿蘇山の山腹涵養帯に湧水 が分布するのは,溶岩の下に泥流等(非透水層) が認められる場合のみであることを指摘した。 八丈島東山もカルデラがあり,複数の恒常河川 を有している。新藤(1980)は,八丈島東山の一 部の恒常河川を形成する湧水の成因について,埋 没したカルデラ内に形成された湖沼堆積物(以下 湖成層と呼ぶ)が急速に流下する地下水をトラッ プし,ポケット状の地下水溜まりを形成する事で 湧水を形成していると指摘した。 その後八丈島東山火山について,津久井ほか (1991)や菅(1993,1994),杉原(1998)による 詳細な噴火史の研究によると,一部の恒常河川を 形成する湧水域の地質が主に溶岩と火砕物から成 る火山体であることが明らかになった。また,尾 口・佐藤(2003)の現地調査の結果から,恒常河 川を形成する湧水の成因は,埋没カルデラ内に形 成された湖成層だけではないことを示唆した。 しかし尾口・佐藤(2003)は,詳細な噴火史の 研究を精査して湧水の湧出する成因を議論してい ないことや,石塚・下司(2018)の八丈島火山地 質図による新たな知見から,湧水が湧出する成因 を整理する必要がある。 本研究の目的は,八丈島東山の恒常河川を形成 する湧水の現地調査による湧水の湧出状況と新た