T. Higaki, M. Noda
{"title":"嗜酸性慢性鼻窦炎的围手术期及术后治疗","authors":"T. Higaki, M. Noda","doi":"10.5648/jjiao.37.253","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"好酸球性副鼻腔炎は,難治性・再発性の慢性副鼻腔炎と して知られている。以前から,成人発症の喘息と関連し, 篩骨洞優位な副鼻腔炎であり,マクロライド療法に抵抗性 かつ手術後も再発しやすい副鼻腔炎として知られていた。 JESREC studyにより診断基準が定められたことにより, これまで医師ごとにやや異なった基準で考えられていた好 酸球性副鼻腔炎について同一の基準で診断できるように なった。また,好酸球性副鼻腔炎が国の定める指定難病に 認定されてからは,マスコミ等で取り上げられる機会も増 え,患者の関心も高まっている。診断基準が作成され知名 度も高まった一方,治療については引き続き難渋する状況 が続いている。軽症例や一部の中等症・重症例では保存的 治療や手術で長期的に良好な状態を維持できる場合もあ る。一方で,保存的治療に手術を併用しても,満足のいく 状態にコントロールできないことも多い。好酸球性副鼻腔 炎では,鼻閉・鼻漏などの症状に加え特に嗅覚障害の頻度 が高くQOLを低下させる。また,症例によっては好酸球 性中耳炎を合併し治療に難渋する。 好酸球性副鼻腔炎に対して,内視鏡下鼻内副鼻腔手術 (ESS)が広く行われている。手術後,程度の差はあるが 高率に再燃するため,追加の薬物療法が考慮される。 術前術後の薬物治療には,ロイコトリエン受容体拮抗薬 や,鼻噴霧ステロイドなどが用いられるが,効果は十分と はいいがたい。また,マクロライド少量投与についても効 果が限られることが知られている。 ステロイドの全身投与は,好酸球性副鼻腔炎に対する最 も有効な薬物治療となる。症例によりステロイドへの反応 性に差はあるが,多くの症例で副鼻腔所見の改善および症 状の軽減が見られる。ステロイドは長期投与により種々の 副作用のリスクが高まるため,好酸球性副鼻腔炎では短期 の投与が選択される場合が多いと考えられる。 我々の施設では鼻茸の高度形成を伴う症例や副鼻腔陰影 が高度な症例の治療においては,手術を第一選択としてい る。術後の再燃を防ぐため,術後はステロイドの全身投与 を一定期間行っている。 好酸球性副鼻腔炎は各施設ごとに術後管理が異なってい るのが現状であると思われる。我々の施設での治療につい て報告する。","PeriodicalId":204414,"journal":{"name":"Journal of Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology","volume":"2 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"1900-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"Perioperative and postoperative treatment of eosinophilic chronic rhinosinusitis\",\"authors\":\"T. Higaki, M. Noda\",\"doi\":\"10.5648/jjiao.37.253\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"好酸球性副鼻腔炎は,難治性・再発性の慢性副鼻腔炎と して知られている。以前から,成人発症の喘息と関連し, 篩骨洞優位な副鼻腔炎であり,マクロライド療法に抵抗性 かつ手術後も再発しやすい副鼻腔炎として知られていた。 JESREC studyにより診断基準が定められたことにより, これまで医師ごとにやや異なった基準で考えられていた好 酸球性副鼻腔炎について同一の基準で診断できるように なった。また,好酸球性副鼻腔炎が国の定める指定難病に 認定されてからは,マスコミ等で取り上げられる機会も増 え,患者の関心も高まっている。診断基準が作成され知名 度も高まった一方,治療については引き続き難渋する状況 が続いている。軽症例や一部の中等症・重症例では保存的 治療や手術で長期的に良好な状態を維持できる場合もあ る。一方で,保存的治療に手術を併用しても,満足のいく 状態にコントロールできないことも多い。好酸球性副鼻腔 炎では,鼻閉・鼻漏などの症状に加え特に嗅覚障害の頻度 が高くQOLを低下させる。また,症例によっては好酸球 性中耳炎を合併し治療に難渋する。 好酸球性副鼻腔炎に対して,内視鏡下鼻内副鼻腔手術 (ESS)が広く行われている。手術後,程度の差はあるが 高率に再燃するため,追加の薬物療法が考慮される。 術前術後の薬物治療には,ロイコトリエン受容体拮抗薬 や,鼻噴霧ステロイドなどが用いられるが,効果は十分と はいいがたい。また,マクロライド少量投与についても効 果が限られることが知られている。 ステロイドの全身投与は,好酸球性副鼻腔炎に対する最 も有効な薬物治療となる。症例によりステロイドへの反応 性に差はあるが,多くの症例で副鼻腔所見の改善および症 状の軽減が見られる。ステロイドは長期投与により種々の 副作用のリスクが高まるため,好酸球性副鼻腔炎では短期 の投与が選択される場合が多いと考えられる。 我々の施設では鼻茸の高度形成を伴う症例や副鼻腔陰影 が高度な症例の治療においては,手術を第一選択としてい る。術後の再燃を防ぐため,術後はステロイドの全身投与 を一定期間行っている。 好酸球性副鼻腔炎は各施設ごとに術後管理が異なってい るのが現状であると思われる。我々の施設での治療につい て報告する。\",\"PeriodicalId\":204414,\"journal\":{\"name\":\"Journal of Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology\",\"volume\":\"2 1\",\"pages\":\"0\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"1900-01-01\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Journal of Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.5648/jjiao.37.253\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Journal of Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.5648/jjiao.37.253","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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Perioperative and postoperative treatment of eosinophilic chronic rhinosinusitis
好酸球性副鼻腔炎は,難治性・再発性の慢性副鼻腔炎と して知られている。以前から,成人発症の喘息と関連し, 篩骨洞優位な副鼻腔炎であり,マクロライド療法に抵抗性 かつ手術後も再発しやすい副鼻腔炎として知られていた。 JESREC studyにより診断基準が定められたことにより, これまで医師ごとにやや異なった基準で考えられていた好 酸球性副鼻腔炎について同一の基準で診断できるように なった。また,好酸球性副鼻腔炎が国の定める指定難病に 認定されてからは,マスコミ等で取り上げられる機会も増 え,患者の関心も高まっている。診断基準が作成され知名 度も高まった一方,治療については引き続き難渋する状況 が続いている。軽症例や一部の中等症・重症例では保存的 治療や手術で長期的に良好な状態を維持できる場合もあ る。一方で,保存的治療に手術を併用しても,満足のいく 状態にコントロールできないことも多い。好酸球性副鼻腔 炎では,鼻閉・鼻漏などの症状に加え特に嗅覚障害の頻度 が高くQOLを低下させる。また,症例によっては好酸球 性中耳炎を合併し治療に難渋する。 好酸球性副鼻腔炎に対して,内視鏡下鼻内副鼻腔手術 (ESS)が広く行われている。手術後,程度の差はあるが 高率に再燃するため,追加の薬物療法が考慮される。 術前術後の薬物治療には,ロイコトリエン受容体拮抗薬 や,鼻噴霧ステロイドなどが用いられるが,効果は十分と はいいがたい。また,マクロライド少量投与についても効 果が限られることが知られている。 ステロイドの全身投与は,好酸球性副鼻腔炎に対する最 も有効な薬物治療となる。症例によりステロイドへの反応 性に差はあるが,多くの症例で副鼻腔所見の改善および症 状の軽減が見られる。ステロイドは長期投与により種々の 副作用のリスクが高まるため,好酸球性副鼻腔炎では短期 の投与が選択される場合が多いと考えられる。 我々の施設では鼻茸の高度形成を伴う症例や副鼻腔陰影 が高度な症例の治療においては,手術を第一選択としてい る。術後の再燃を防ぐため,術後はステロイドの全身投与 を一定期間行っている。 好酸球性副鼻腔炎は各施設ごとに術後管理が異なってい るのが現状であると思われる。我々の施設での治療につい て報告する。