K. Oizumi
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Kansei with System Modelling
産業革命以降,人類のモノづくりは大きく変化をした. 技術の進化に伴い製品の高度化がなされてきた.自然界の 現象に対する理解が人類の間で共有され,あらゆる場で再 利用可能になったことで,より高度で複雑なものを生み出 していくことが可能になった.この自然現象に対する理解 の共有を可能にしているのはある種のモデルである.人が 外界を理解するときにも,外界の情報をすべてそのままに 記憶しておくことは難しいし,以前起きた現象と全く同じ ことが起きることはない.過去の経験を汎化し,似た現象 からこれから起きるであろう現象にあたりをつける.例え ばサッカー選手はサッカーのモデルが頭にあり,敵の動き や味方の動き,ボールの動きに大まかな予測がつく.それ によって味方のいるはずの場所,通るはずのパスコースが 頭の中に描け,敵や味方の位置を一瞥して確認する位でパス を出すことができる.このように個々人は自分を取り巻く 様々なことに対してモデルを有するが,それらのほとんど は十分な表現形式を持たないため他者に共有するのが難し い.実際に目の前に起きている現象を全くの情報の欠損な しにその場にいない他者に伝えることはできず,人はその エッセンスを言語によって伝えようとする.従って言語の 表現能力は即ち情報の伝達能力に直結する.今日の複雑な 製品の開発においては多くの人が開発に関わる.それを成 功に導くためには開発に関わる多くの人に理解可能な言語 で記述されたモデルが重要な役割を果たす.例えば図面は 設計結果を正確に伝えるために効率的なモデルであり, 製品のモデルとしてはプリミティブなものである.近年で はFEMやCFDなどのシミュレーションモデルが共有され ている. 人間中心の設計への需要などもあり,製品設計における 感性の考慮が重要視されてきている.感性工学ではこれま でに科学的なアプローチによって感性を理解する研究がな されてきた.このように蓄積されてきた感性に対する理解 を,今日の複雑な製品の開発に効果的に盛り込んでいくた めには,これまでの他の科学領域と同様に共通理解可能な モデルに落とし込んでいくことが重要である. 2. 感性を扱うシステムモデルの必要性