M. Kagabu, M. Ono
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Visit to valuable water springs (131) Valuable water springs in islands of Nagasaki Prefecture
国内で最も数多くの島嶼を有する長崎県には, 壱岐島,五島列島,対馬,平戸諸島といった観光 地として有名な島がある。それぞれの島で独自の 生態系や文化が息づいており,国内外から多くの 観光客が訪れている。島嶼地域は豊かな自然環境 に恵まれている一方で,そこに暮らす人々にとっ ては,経済の基盤となる電気やガスなどのエネル ギーや,生活を支えるための水は限りある資源で あり,これらの安定供給は大きな課題である。長 崎県の離島における水資源と水利用を調査した竹 内・田尻(1991)は,九州本土から遠く離れた県 内の離島のいずれの島にも共通する問題は,水の 供給であると述べている。生活していくうえで飲 料水や農業用水の供給は必要不可欠ではあるが, 島嶼地域への日常的な水の運搬は困難であり現実 的ではないため,島内での完全自給が要求され る。淡水資源の源である降水などの天水が豊富に あったとしても,年間を通して一定にもたらされ ることはなく,季節変化にも影響される。さらに 島嶼では地形的な制約によって,水資源が不足し がちである。 日本の島嶼における水文研究は各地で行われて いる。東田ほか(2003)は,琉球石灰岩島嶼であ る宮古島,池間島,伊良部島の湧水,井戸水,洞 穴の75地点で調査・研究を行った。海岸近くの井 戸水や洞穴水の水質組成は Na-Cl型を示し,全体 的に NO3-Nは高濃度であったことから,宮古諸 島の陸水は,海水・海塩粒子,琉球石灰岩,ケイ 酸塩鉱物,化学肥料や生活排水などの影響を受け て形成されていることを明らかにした。また,標 高10m前後で地形が平坦かつ面積の小さい島嶼 である多良間島においては,石田ほか(2011)や 吉本ほか(2016)により,帯水層中で海水と淡水 の比重差から形成される淡水レンズの層厚や水 質,同位体比特性について詳しく研究されてい る。