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Ayumodoki in the Hozu River: natural and artificial conditions that have sustained freshwater fish diversity
京都府亀岡市を流れる保津川流域には,アユモド キ Parabotia curtus を代表とする 30 種を超える在来 淡水魚が生息し,将来に残すべき貴重な湿地環境が 存在している.この湿地環境は決して手つかずの原 自然環境ではなく,水田耕作を中心に長らく人の手 の入った里山,里川の自然環境である.とくに全国 でわずか 3 地点だけとなったアユモドキの生息は, 亀岡の生物地理学的な歴史,地形・地勢に基づく生 態環境,そして農業的立地条件や近年の自然保護活 動の結果であり,過程である. 本稿では,東アジアモンスーン気候が育んだ生物 多様性の象徴の一つであるアユモドキに焦点を当て ながら,亀岡に残る湿地環境が,本来は「ありふれ た奇跡」であり,それが現在「わずかに残った奇跡」 となっていることを概観し,そしてその奇跡を将来 につなぎ渡すための課題をまとめたい.まずアユモ ドキについて紹介し,アユモドキがこの地に生き 残った理由を整理する.そして生息地における大型 専用球技場の建設計画とその変更の経緯を概説し, 最後にアユモドキをはじめとする生物多様性に富ん だ湿地環境の保全の課題について記したい. なお本稿は,渡辺(2016)を基礎に,その後の状 況を含めて取りまとめたものである.