{"title":"蜱虫叮咬后的人体免疫反应","authors":"H. Hashizume","doi":"10.7601/mez.70.141","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"静岡県は茶所である.お茶畑に囲まれる前赴任地の市立 島田市民病院では,2013年からマダニ刺咬症患者が急増し, その殆どは茶業農家であった.茶畑にマダニが生息してお り,新茶の刈り入れ時期である4‒5月は,マダニ繁殖期と重 なり,患者が集中する.さらに,他の報告と同様,最近居住 区域において出没するニホンシカやイノシシを介したマダ ニ刺咬症患者も増えている.本症は,SFTSを含む幾つかの 重要な疾病発症との関与が知られており,医療者への知識修 得と続発疾患の予防対策が課題である.最近マダニ刺咬症に 関連して,糖鎖のgalactose-a-1,3-galactose carbohydrate(alphagal)に対する IgE抗体を介する獣肉アレルギーの発症が注 目されている(Commins 2016; Fischer et al., 2016; Saleh et al., 2012).本症は,マダニ刺咬症後に発症する獣肉(牛,豚, 羊など)アレルギーと薬剤アレルギー(セツキシマブやゼラ チン含有コロイド)を特徴とし,alpha-gal syndromeという 名称で呼ばれている.我々の施設の調査では,マダニ刺咬症 患者から採取したマダニ38頭のうち86.8%がタカサゴキララ マダニであった(Hashizume et al., 2018).そのうち抗alphagal IgE抗体を有していたものは,すべてタカサゴキララマダ ニに刺されていたことが判明した(Hashizume et al., 2018). Chinuki et al., (2016)らは,フトケチマダニの唾液中にalphagalの存在を証明したが,本邦のalpha-gal syndrome発症には, タカサゴキララマダニも関与することが強く示唆された. alpha-galは,ヒトなどの霊長類を除くすべての哺乳類に存 在する糖鎖である.ヒトにおいては,消化管に存在する細菌 に対して抗alpha-gal IgG自然抗体が産生され,細菌感染防御 に重要な役割を演じると考えられている(Galili et al., 1987) が,時にマダニ刺咬症後では,IgE産生へのクラススイッチ が起こることがある.その詳細はこれまで明らかでない.マ ウス実験では,初回刺咬では局所に好塩基球の浸潤は殆どみ られないのに対し,2回目の刺咬では顕著な浸潤がみられる (Wada et al., 2010).活性化好塩基球から放出されるヒスタミ ンは,マダニに対する忌避物質として作用する(Tabakawa et al., 2018).一方,好塩基球は樹状細胞のMHC-ダニ抗原複合 体をもぎ取って(trogocytosis)ナイーブT細胞に対する抗原 提示機能を有し,Th2細胞分化を誘導する(Karasuyama et al., 2018).総合すると,好塩基球の局所浸潤によってマダニ特 異的 IgEが産生されると同時に,IgEのクロスリンクにより 活性化した好塩基球由来のヒスタミンがマダニ刺咬を阻害し することによって,免疫を獲得する.では,ヒトにおいても 同様な機構が働いているのだろうか.我々は,様々な刺咬歴 のマダニ刺咬症患者において,血清抗alpha-gal IgE抗体レベ ルとマダニ刺咬部の浸潤細胞を調べることによって,ヒトの マダニ刺咬症おける免疫応答を調べた.","PeriodicalId":104111,"journal":{"name":"Medical Entomology and Zoology","volume":"13 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2019-09-25","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"3","resultStr":"{\"title\":\"The human immune response in tick bites\",\"authors\":\"H. Hashizume\",\"doi\":\"10.7601/mez.70.141\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"静岡県は茶所である.お茶畑に囲まれる前赴任地の市立 島田市民病院では,2013年からマダニ刺咬症患者が急増し, その殆どは茶業農家であった.茶畑にマダニが生息してお り,新茶の刈り入れ時期である4‒5月は,マダニ繁殖期と重 なり,患者が集中する.さらに,他の報告と同様,最近居住 区域において出没するニホンシカやイノシシを介したマダ ニ刺咬症患者も増えている.本症は,SFTSを含む幾つかの 重要な疾病発症との関与が知られており,医療者への知識修 得と続発疾患の予防対策が課題である.最近マダニ刺咬症に 関連して,糖鎖のgalactose-a-1,3-galactose carbohydrate(alphagal)に対する IgE抗体を介する獣肉アレルギーの発症が注 目されている(Commins 2016; Fischer et al., 2016; Saleh et al., 2012).本症は,マダニ刺咬症後に発症する獣肉(牛,豚, 羊など)アレルギーと薬剤アレルギー(セツキシマブやゼラ チン含有コロイド)を特徴とし,alpha-gal syndromeという 名称で呼ばれている.我々の施設の調査では,マダニ刺咬症 患者から採取したマダニ38頭のうち86.8%がタカサゴキララ マダニであった(Hashizume et al., 2018).そのうち抗alphagal IgE抗体を有していたものは,すべてタカサゴキララマダ ニに刺されていたことが判明した(Hashizume et al., 2018). Chinuki et al., (2016)らは,フトケチマダニの唾液中にalphagalの存在を証明したが,本邦のalpha-gal syndrome発症には, タカサゴキララマダニも関与することが強く示唆された. alpha-galは,ヒトなどの霊長類を除くすべての哺乳類に存 在する糖鎖である.ヒトにおいては,消化管に存在する細菌 に対して抗alpha-gal IgG自然抗体が産生され,細菌感染防御 に重要な役割を演じると考えられている(Galili et al., 1987) が,時にマダニ刺咬症後では,IgE産生へのクラススイッチ が起こることがある.その詳細はこれまで明らかでない.マ ウス実験では,初回刺咬では局所に好塩基球の浸潤は殆どみ られないのに対し,2回目の刺咬では顕著な浸潤がみられる (Wada et al., 2010).活性化好塩基球から放出されるヒスタミ ンは,マダニに対する忌避物質として作用する(Tabakawa et al., 2018).一方,好塩基球は樹状細胞のMHC-ダニ抗原複合 体をもぎ取って(trogocytosis)ナイーブT細胞に対する抗原 提示機能を有し,Th2細胞分化を誘導する(Karasuyama et al., 2018).総合すると,好塩基球の局所浸潤によってマダニ特 異的 IgEが産生されると同時に,IgEのクロスリンクにより 活性化した好塩基球由来のヒスタミンがマダニ刺咬を阻害し することによって,免疫を獲得する.では,ヒトにおいても 同様な機構が働いているのだろうか.我々は,様々な刺咬歴 のマダニ刺咬症患者において,血清抗alpha-gal IgE抗体レベ ルとマダニ刺咬部の浸潤細胞を調べることによって,ヒトの マダニ刺咬症おける免疫応答を調べた.\",\"PeriodicalId\":104111,\"journal\":{\"name\":\"Medical Entomology and Zoology\",\"volume\":\"13 1\",\"pages\":\"0\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2019-09-25\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"3\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Medical Entomology and Zoology\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.7601/mez.70.141\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Medical Entomology and Zoology","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.7601/mez.70.141","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
引用次数: 3
摘要
静冈县是茶所,在被茶田包围的前赴任地市立岛田市民医院,从2013年开始咬伤患者剧增,其中大部分是茶农。茶田有蜱虫栖息,新茶的收割时期4 - 5月,与繁殖期重叠,患者集中。而且,与其他报告一样,最近在居住区域出没的日本鹿和野猪。咬伤患者也在增加。本症与包括SFTS在内的几个重要疾病发病有关,对医疗者的知识学习和继发疾病的预防对策是课题。最近与咬伤症有关,通过对糖链galactose-a-1,3-galactose carbohydrate(alphagal)的IgE抗体的兽肉过敏发病注被盯上了(Commins 2016;费希尔et al., 2016;Saleh et al., 2012).本症是指仍在咬伤后发病的兽肉(牛、猪、羊等)过敏反应和药物过敏反应(含节氧单抗和酪蛋白的胶体)为特征,被称为alpha-gal syndrome。在我们的调查中,从咬伤患者身上采集到的38只咬伤蜱中,有86.8%是高咬伤蜱虫(Hashizume et al.,2018).其中具有抗alphagal IgE抗体的都被发现是高尔基拉还被叮咬过(Hashizume et al.,2018). Chinuki et al.,(2016)等人虽然证明了粗斑蜱的唾液中存在alphagal,但是对于本邦的alphgal syndrome发病,alpha-gal是存在于除人类等灵长类以外的所有哺乳类动物中的糖链。人类消化管中存在的细菌。产生抗alpha-gal IgG自然抗体,在防御细菌感染中发挥重要作用。1987)有时在咬伤后,会发生IgE生成的类开关。具体情况目前还不清楚。在鼠实验中,初次咬伤局部几乎没有嗜碱性粒细胞浸润。与之相对,第二次的刺咬出现明显的浸润现象(Wada et al., 2010)。被激活的嗜碱基粒细胞释放出的组胺,作为对蜱虫的驱避物质(Tabakawa et al., 2018)。另一方面,嗜碱性粒细胞具有提取树突状细胞的MHC-螨抗原复合物(trogocytosis),对内部T细胞提出抗原的功能,诱导Th2细胞分化(Karasuyama et al.,2018)。综上所述,在嗜碱性粒细胞局部浸润仍能产生特异性IgE的同时,由IgE的交叉链接激活的来自嗜碱性粒细胞的组胺仍能阻碍咬咬那么,在人身上也有同样的机制在起作用吗?我们在有各种咬伤经历的咬伤患者中,通过检测血清抗alpha-gal IgE抗体水平和咬伤部位的浸润细胞,研究了人类咬伤的免疫应答。