T. Yamasaki, N. Ishikawa
{"title":"圆拱弹塑性分析","authors":"T. Yamasaki, N. Ishikawa","doi":"10.2208/JSCEJ1949.1968.158_1","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"骨組鋼構造物の弾塑性状態にお ける応力お よび変形性 状 を解明せ んがため,近 年,各 方面 で活発 に数多 くの実 験または理論解析 が行 なわれ ているが,そ の多 くは直線 材 を対象 とす る ものであ り,曲 線材 に関 してはほ とん ど 究明 されていないのが現状 である。 本研究はアーチ鋼構造物 に対する弾塑性 解析法の確立 を試みた もので,そ の第1段 階 として最 も代 表的な円弧 アーチの弾塑性挙動 を φ-法によ り解明 した ものであ る。 φ-法は弾 性解析において共役ば り法 として慣 用 されて い るもの で あ る が,弾 塑性 解析において も直線 ば りお よび長方形 ラー メンを対 象としてC.H.Yang1)お よび K.H.Gerstle2)な どがその応用 について 研究 してい る。 φ-法では曲率 φ を荷重 と見な した とき のせ ん断力がた わみ角 を,曲 げモー メン トがたわみを表 わす もので,一 般 に不静定構造物 を解 く場 合にたわみ とたわみ角の連続 条件お よび力 と曲げモー メン トのつ りあい条 件 とを用 う るいわ ゆる応力法の一種 として,変 形 法におけ るたわみ 角法 と対比 され るものである。 さて,一 般に アーチに対す る弾塑性 挙動 を考察す る場 合 には,軸 力 と軸力に よって誘起 され る軸線 の伸縮に よ る影響 を考慮する必要があ り,そ の取 り扱 いは きわめて 繁雑 である。 このため,従 来の弾塑性 解析例 はわずかに 円弧片持ば り3)に関す るものがあるにす ぎないが,類 似 の研究例 として以下の塑性 解析法による ものが見受 け ら れ る。 すなわち,曲 げモーメ ン トと軸 力による断 面の降伏条 件式 を導 き,通 常のせ り高 を もつ2ヒ ンジ アーチの実 用解 を示 したE. T. Onat & W. Prager4) の著名 な論文や,せ り高 の変化に ともな うアー チの崩壊 時の挙動 を明 らかに した 横 尾 ・山肩氏5)の 研究があ り,ま た最近 では福本 ・吉田氏6)の 変動 くり返 し荷重 に対す るアーチの変形硬 化荷重 を求めた もの,そ の他横座 屈の影響7)を 考慮 した アーチの崩壊に関す る研 究な ど数多 くあ げる ことがで きる。 しか しなが ら,元 来塑性解析法 は構造物 の崩 壊荷重の 算定 のみ を目的 としてお り,ア ーチの弾塑性変 形過程 を 解 明す ることは不可能 である。 したが って,も しこれが 明 らかになれば アー チの塑性設計 に際 しての有用 な資料 をうる とともに,最 大許容変形 を基準 とした経 済的設計 に対す る一指針 を与 えるこ とに もな りうる。 かか る見地 よ り,本 論文 は前記 φ-法をアー チ の弾塑 性 解析 に応用拡張せ ん と企 図 した もので,ま ず軸線の伸 縮 を考慮 した 円弧 アーチに対す る変形 の微分方程式 を用 いて弾塑性領城 を包含 した φ-法公式 を導 き,つ いで H 型,箱 型お よび長方形断面 を もつ静定 アー チの弾塑性挙 動に関す る基本的考察 を行 ない,軸 力および軸線の伸縮 に よる影響 を比較検討 し,さ らに不静定 アー チの弾塑性 時にお ける断面力お よび変形量 の算定 手法 を確立せ んと す るもので ある。","PeriodicalId":381391,"journal":{"name":"Transactions of the Japan Society of Civil Engineers","volume":"164 1","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"1968-10-20","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"3","resultStr":"{\"title\":\"ELASTO-PLASTIC ANALYSIS OF CIRCULAR ARCHES\",\"authors\":\"T. Yamasaki, N. Ishikawa\",\"doi\":\"10.2208/JSCEJ1949.1968.158_1\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"骨組鋼構造物の弾塑性状態にお ける応力お よび変形性 状 を解明せ んがため,近 年,各 方面 で活発 に数多 くの実 験または理論解析 が行 なわれ ているが,そ の多 くは直線 材 を対象 とす る ものであ り,曲 線材 に関 してはほ とん ど 究明 されていないのが現状 である。 本研究はアーチ鋼構造物 に対する弾塑性 解析法の確立 を試みた もので,そ の第1段 階 として最 も代 表的な円弧 アーチの弾塑性挙動 を φ-法によ り解明 した ものであ る。 φ-法は弾 性解析において共役ば り法 として慣 用 されて い るもの で あ る が,弾 塑性 解析において も直線 ば りお よび長方形 ラー メンを対 象としてC.H.Yang1)お よび K.H.Gerstle2)な どがその応用 について 研究 してい る。 φ-法では曲率 φ を荷重 と見な した とき のせ ん断力がた わみ角 を,曲 げモー メン トがたわみを表 わす もので,一 般 に不静定構造物 を解 く場 合にたわみ とたわみ角の連続 条件お よび力 と曲げモー メン トのつ りあい条 件 とを用 う るいわ ゆる応力法の一種 として,変 形 法におけ るたわみ 角法 と対比 され るものである。 さて,一 般に アーチに対す る弾塑性 挙動 を考察す る場 合 には,軸 力 と軸力に よって誘起 され る軸線 の伸縮に よ る影響 を考慮する必要があ り,そ の取 り扱 いは きわめて 繁雑 である。 このため,従 来の弾塑性 解析例 はわずかに 円弧片持ば り3)に関す るものがあるにす ぎないが,類 似 の研究例 として以下の塑性 解析法による ものが見受 け ら れ る。 すなわち,曲 げモーメ ン トと軸 力による断 面の降伏条 件式 を導 き,通 常のせ り高 を もつ2ヒ ンジ アーチの実 用解 を示 したE. T. Onat & W. Prager4) の著名 な論文や,せ り高 の変化に ともな うアー チの崩壊 時の挙動 を明 らかに した 横 尾 ・山肩氏5)の 研究があ り,ま た最近 では福本 ・吉田氏6)の 変動 くり返 し荷重 に対す るアーチの変形硬 化荷重 を求めた もの,そ の他横座 屈の影響7)を 考慮 した アーチの崩壊に関す る研 究な ど数多 くあ げる ことがで きる。 しか しなが ら,元 来塑性解析法 は構造物 の崩 壊荷重の 算定 のみ を目的 としてお り,ア ーチの弾塑性変 形過程 を 解 明す ることは不可能 である。 したが って,も しこれが 明 らかになれば アー チの塑性設計 に際 しての有用 な資料 をうる とともに,最 大許容変形 を基準 とした経 済的設計 に対す る一指針 を与 えるこ とに もな りうる。 かか る見地 よ り,本 論文 は前記 φ-法をアー チ の弾塑 性 解析 に応用拡張せ ん と企 図 した もので,ま ず軸線の伸 縮 を考慮 した 円弧 アーチに対す る変形 の微分方程式 を用 いて弾塑性領城 を包含 した φ-法公式 を導 き,つ いで H 型,箱 型お よび長方形断面 を もつ静定 アー チの弾塑性挙 動に関す る基本的考察 を行 ない,軸 力および軸線の伸縮 に よる影響 を比較検討 し,さ らに不静定 アー チの弾塑性 時にお ける断面力お よび変形量 の算定 手法 を確立せ んと す るもので ある。\",\"PeriodicalId\":381391,\"journal\":{\"name\":\"Transactions of the Japan Society of Civil Engineers\",\"volume\":\"164 1\",\"pages\":\"0\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"1968-10-20\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"3\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Transactions of the Japan Society of Civil Engineers\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.2208/JSCEJ1949.1968.158_1\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Transactions of the Japan Society of Civil Engineers","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.2208/JSCEJ1949.1968.158_1","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
引用次数: 3
ELASTO-PLASTIC ANALYSIS OF CIRCULAR ARCHES
骨組鋼構造物の弾塑性状態にお ける応力お よび変形性 状 を解明せ んがため,近 年,各 方面 で活発 に数多 くの実 験または理論解析 が行 なわれ ているが,そ の多 くは直線 材 を対象 とす る ものであ り,曲 線材 に関 してはほ とん ど 究明 されていないのが現状 である。 本研究はアーチ鋼構造物 に対する弾塑性 解析法の確立 を試みた もので,そ の第1段 階 として最 も代 表的な円弧 アーチの弾塑性挙動 を φ-法によ り解明 した ものであ る。 φ-法は弾 性解析において共役ば り法 として慣 用 されて い るもの で あ る が,弾 塑性 解析において も直線 ば りお よび長方形 ラー メンを対 象としてC.H.Yang1)お よび K.H.Gerstle2)な どがその応用 について 研究 してい る。 φ-法では曲率 φ を荷重 と見な した とき のせ ん断力がた わみ角 を,曲 げモー メン トがたわみを表 わす もので,一 般 に不静定構造物 を解 く場 合にたわみ とたわみ角の連続 条件お よび力 と曲げモー メン トのつ りあい条 件 とを用 う るいわ ゆる応力法の一種 として,変 形 法におけ るたわみ 角法 と対比 され るものである。 さて,一 般に アーチに対す る弾塑性 挙動 を考察す る場 合 には,軸 力 と軸力に よって誘起 され る軸線 の伸縮に よ る影響 を考慮する必要があ り,そ の取 り扱 いは きわめて 繁雑 である。 このため,従 来の弾塑性 解析例 はわずかに 円弧片持ば り3)に関す るものがあるにす ぎないが,類 似 の研究例 として以下の塑性 解析法による ものが見受 け ら れ る。 すなわち,曲 げモーメ ン トと軸 力による断 面の降伏条 件式 を導 き,通 常のせ り高 を もつ2ヒ ンジ アーチの実 用解 を示 したE. T. Onat & W. Prager4) の著名 な論文や,せ り高 の変化に ともな うアー チの崩壊 時の挙動 を明 らかに した 横 尾 ・山肩氏5)の 研究があ り,ま た最近 では福本 ・吉田氏6)の 変動 くり返 し荷重 に対す るアーチの変形硬 化荷重 を求めた もの,そ の他横座 屈の影響7)を 考慮 した アーチの崩壊に関す る研 究な ど数多 くあ げる ことがで きる。 しか しなが ら,元 来塑性解析法 は構造物 の崩 壊荷重の 算定 のみ を目的 としてお り,ア ーチの弾塑性変 形過程 を 解 明す ることは不可能 である。 したが って,も しこれが 明 らかになれば アー チの塑性設計 に際 しての有用 な資料 をうる とともに,最 大許容変形 を基準 とした経 済的設計 に対す る一指針 を与 えるこ とに もな りうる。 かか る見地 よ り,本 論文 は前記 φ-法をアー チ の弾塑 性 解析 に応用拡張せ ん と企 図 した もので,ま ず軸線の伸 縮 を考慮 した 円弧 アーチに対す る変形 の微分方程式 を用 いて弾塑性領城 を包含 した φ-法公式 を導 き,つ いで H 型,箱 型お よび長方形断面 を もつ静定 アー チの弾塑性挙 動に関す る基本的考察 を行 ない,軸 力および軸線の伸縮 に よる影響 を比較検討 し,さ らに不静定 アー チの弾塑性 時にお ける断面力お よび変形量 の算定 手法 を確立せ んと す るもので ある。