Y. Shimano, S. Yabusaki
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Visit to valuable water springs (128) Valuable water springs in upper and middle drainage basins of Tama River
環境庁(当時)が1985年に選定した「昭和の名 水百選」に関して,当学会誌の「名水を訪ねて」 では90数カ所を取り上げて掲載してきたが,東日 本で唯一残っていたのが多摩川の御岳渓谷付近の 「御岳渓流」である。そこで,今回はこれを含め て多摩川の上・中流域に分布する湧水を中心とし て井戸水や沢水・河川水などを取り上げることに した。 多摩川は利根川・荒川などとともに首都圏を代 表する河川である。関東山地の中程に位置する笠 取山(1953m)南面の“水干”と呼ばれる場所を 水源として,上流から順に一之瀬川・丹波川・多 摩川・六郷川と名称を変えて東京湾に流れ出てい る流域面積1240km,流路延長138kmの河川であ り,流域面積では国内第49位であるが,流路延長 では第23位である。この多摩川は一都二県が関係 し,上流域は山梨県に属しているが,中流域は東 京都の西部地域を流れ,そして下流域では神奈川 県と東京都との境を流れ下り,東京湾へと注いで いる。 ところで,多摩川の中流域に関しては,多摩川 とその支流の河川沿いに段丘地形がよく発達して いて,それらの段丘崖には数多くの湧水が見ら れ,合計すると150カ所以上存在している(東京 都環境局,2001)。これに関連して,当学会の市 民コミュニケーション委員会ではこの地域で「湧 水めぐり」を実施している(日本地下水学会, 2018・2019)。 今回,本稿で取り上げるのは,立川市より上流 側の多摩川の本流域と支流の平井川・秋川と浅川 の流域に分布する湧水・井戸水・沢水などと,本 流域の丹波川・小菅川・日原川と御岳付近の多 摩川の河川水である(図 1)。なお,東京都では 2003年に「東京の名湧水」として57カ所を選定し ているが(東京都環境局,2003),それらの中で 西部地域に位置している17カ所中の11カ所(境の 清泉・釜の水・岩清水(沢の井)・二宮神社・清 岩院・諏訪神社・吐谷榎池・子安神社・小宮公園・