{"title":"按蚊吸血行为与疟原虫感染的研究","authors":"D. Yamamoto","doi":"10.7601/mez.70.145","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"ハマダラカはマラリアを媒介する衛生害虫であり,病原体 であるマラリア原虫の媒介に不可欠な蚊の吸血行動やその後 の血液消化,マラリア原虫感染などのメカニズムの解析は, ベクター対策及びマラリア対策にとって重要である.蚊は吸 血する際に,まず皮下の抹消血管を探り当てるプロービング 行動を行い,血管を感知した後,血管に口針を挿入し吸血を 行う.蚊の唾液には血小板凝集阻害因子,血液凝固阻害因子 のような抗止血作用を持つ物質や,血管拡張作用物質,抗炎 症作用物質などが含まれており,吸血時に唾液を分泌するこ とで効率を高めている.また,蚊を含む吸血昆虫の唾液に は,宿主免疫などに影響を及ぼすことで病原体の感染に関与 することを示唆する例も報告されている.ハマダラカにおい ても唾液腺及び唾液の研究が進められているが,蚊と宿主の 両方での実際の唾液の機能についてはまだ不明瞭な点が多 い.また,蚊における吸血は,卵巣発育のために雌のみが行 う現象であり,吸血や血液消化,病原体感染に関わる唾液腺 や中腸などの組織では,遺伝子の発現が性とリンクしている ものもあると考えられる.このため,蚊において,性決定カ スケードの下流で,吸血や病原体感染などに関わる分子がど のような制御を受けているかは興味深い問題である.我々は ハマダラカにおいて,分子生物学的手法に加えて遺伝子組換 えやゲノム編集などの遺伝子操作技術も利用して吸血,生 殖,病原体媒介などのメカニズムの解明を進めている. 我々はハマダラカにおいて,吸血や病原体媒介時における 唾液の機能を個体レベルで解析することを目的に,雌の唾 液腺の破壊を行なった(Yamamoto et al., 2016).破壊する方 法として,唾液腺特異的に細胞死を誘導する手法を用いた. 細胞死を誘導するエフェクターとして用いたのはマウスの Bax(B-cell leukaemia/lymphoma 2-associated X gene)遺伝子で ある.Baxタンパク質は哺乳類においてBcl-2ファミリーに属 する.Baxタンパク質はミトコンドリア外膜上で重合し,ポ ア(孔)を形成することでアポトーシスを誘導する機能が あることが知られている.昆虫において,カイコガBombyx moriやキイロショウジョウバエDrosophila melanogasterでマウ スのBax遺伝子(mBax)を人為的に発現させると,発現し た細胞で細胞死を誘導できることが知られている(Sumitani et al., 2015).我々はmBaxをハマダラカの雌唾液腺特異的に 機能するプロモーターと組み合わせて,ステフェンスハマ ダラカ(Anopheles stephensi)のゲノムに組み込んだ遺伝子組 換え系統(AAPP-mBax系統)を作出した(図1).この系統 の雌は羽化後1日からすでに唾液腺の lobe(葉)が潰れてお","PeriodicalId":104111,"journal":{"name":"Medical Entomology and Zoology","volume":" 6","pages":"0"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2019-09-25","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":"{\"title\":\"A study of blood feeding behavior and malaria parasite infection in anopheline mosquitoes\",\"authors\":\"D. Yamamoto\",\"doi\":\"10.7601/mez.70.145\",\"DOIUrl\":null,\"url\":null,\"abstract\":\"ハマダラカはマラリアを媒介する衛生害虫であり,病原体 であるマラリア原虫の媒介に不可欠な蚊の吸血行動やその後 の血液消化,マラリア原虫感染などのメカニズムの解析は, ベクター対策及びマラリア対策にとって重要である.蚊は吸 血する際に,まず皮下の抹消血管を探り当てるプロービング 行動を行い,血管を感知した後,血管に口針を挿入し吸血を 行う.蚊の唾液には血小板凝集阻害因子,血液凝固阻害因子 のような抗止血作用を持つ物質や,血管拡張作用物質,抗炎 症作用物質などが含まれており,吸血時に唾液を分泌するこ とで効率を高めている.また,蚊を含む吸血昆虫の唾液に は,宿主免疫などに影響を及ぼすことで病原体の感染に関与 することを示唆する例も報告されている.ハマダラカにおい ても唾液腺及び唾液の研究が進められているが,蚊と宿主の 両方での実際の唾液の機能についてはまだ不明瞭な点が多 い.また,蚊における吸血は,卵巣発育のために雌のみが行 う現象であり,吸血や血液消化,病原体感染に関わる唾液腺 や中腸などの組織では,遺伝子の発現が性とリンクしている ものもあると考えられる.このため,蚊において,性決定カ スケードの下流で,吸血や病原体感染などに関わる分子がど のような制御を受けているかは興味深い問題である.我々は ハマダラカにおいて,分子生物学的手法に加えて遺伝子組換 えやゲノム編集などの遺伝子操作技術も利用して吸血,生 殖,病原体媒介などのメカニズムの解明を進めている. 我々はハマダラカにおいて,吸血や病原体媒介時における 唾液の機能を個体レベルで解析することを目的に,雌の唾 液腺の破壊を行なった(Yamamoto et al., 2016).破壊する方 法として,唾液腺特異的に細胞死を誘導する手法を用いた. 細胞死を誘導するエフェクターとして用いたのはマウスの Bax(B-cell leukaemia/lymphoma 2-associated X gene)遺伝子で ある.Baxタンパク質は哺乳類においてBcl-2ファミリーに属 する.Baxタンパク質はミトコンドリア外膜上で重合し,ポ ア(孔)を形成することでアポトーシスを誘導する機能が あることが知られている.昆虫において,カイコガBombyx moriやキイロショウジョウバエDrosophila melanogasterでマウ スのBax遺伝子(mBax)を人為的に発現させると,発現し た細胞で細胞死を誘導できることが知られている(Sumitani et al., 2015).我々はmBaxをハマダラカの雌唾液腺特異的に 機能するプロモーターと組み合わせて,ステフェンスハマ ダラカ(Anopheles stephensi)のゲノムに組み込んだ遺伝子組 換え系統(AAPP-mBax系統)を作出した(図1).この系統 の雌は羽化後1日からすでに唾液腺の lobe(葉)が潰れてお\",\"PeriodicalId\":104111,\"journal\":{\"name\":\"Medical Entomology and Zoology\",\"volume\":\" 6\",\"pages\":\"0\"},\"PeriodicalIF\":0.0000,\"publicationDate\":\"2019-09-25\",\"publicationTypes\":\"Journal Article\",\"fieldsOfStudy\":null,\"isOpenAccess\":false,\"openAccessPdf\":\"\",\"citationCount\":\"0\",\"resultStr\":null,\"platform\":\"Semanticscholar\",\"paperid\":null,\"PeriodicalName\":\"Medical Entomology and Zoology\",\"FirstCategoryId\":\"1085\",\"ListUrlMain\":\"https://doi.org/10.7601/mez.70.145\",\"RegionNum\":0,\"RegionCategory\":null,\"ArticlePicture\":[],\"TitleCN\":null,\"AbstractTextCN\":null,\"PMCID\":null,\"EPubDate\":\"\",\"PubModel\":\"\",\"JCR\":\"\",\"JCRName\":\"\",\"Score\":null,\"Total\":0}","platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"Medical Entomology and Zoology","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.7601/mez.70.145","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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摘要
疟蚊是传播疟疾的卫生害虫,对传播病原体疟原虫不可缺少的蚊子的吸血行为、随后的血液消化、疟原虫感染等机制的分析对防治疟疾和vector很重要。蚊子在吸血时,首先进行探摸行动,探摸到皮下的抹血管,然后将口针插入血管进行吸血。蚊子的唾液中含有血小板凝聚抑制因子、血液凝固抑制因子等具有抗止血作用的物质、血管扩张作用物质、抗炎作用物质等,吸血时会分泌唾液。另外,包括蚊子在内的吸血昆虫的唾液中,也有通过对宿主免疫等产生影响而暗示与病原体感染有关的例子报告。虽然唾液腺和唾液的研究正在进行中,但是对于蚊子和宿主两者的实际唾液的功能还是有很多不明确的地方。另外,由于卵巢的发育,蚊子的吸血只能由雌性进行。这是一种生现象,在与吸血、血液消化、病原体感染有关的唾液腺和中肠等组织中,基因的表现可能与性有联系。因此,在蚊子中,性别决定化在sade的下游,与吸血和病原体感染等有关的分子受到怎样的控制是有趣的问题。我们在疟蚊的研究中,除了分子生物学的方法外,还利用基因重组和基因组编辑等基因操作技术,进一步阐明吸血、生殖、病原体媒介等机制。我们为了从个体层面分析吸血和传播病原体时,疟蚊的唾液功能,对雌性的唾液腺进行了破坏(Yamamoto et al., 2016)。作为破坏方法,使用了唾液腺特异性诱导细胞死亡的手法。我们用Bax(B-cell leukaemia/lymphoma 2-associated X gene)基因来诱导细胞死亡。Bax蛋白质在哺乳动物中属于Bcl-2家族。Bax蛋白质在线粒体外膜上聚合,形成poa(孔),具有诱导细胞凋亡的功能。在昆虫中,如果蚕用Bombyx mori或黄色果蝇Drosophila melanogaster人为地表达小鼠的Bax基因(mBax),就会发现已知多细胞可诱导细胞死亡(Sumitani et al., 2015)。我们将mBax与斑蚊的雌性唾液腺具有特异性功能的启动子相结合,整合到斑蚊(Anopheles stephensi)基因组中的基因组培育出了换齿系统(AAPP-mBax系统)(图1).这个系统的雌性在羽化后的第一天唾液腺的lobe(叶)就已经崩溃了。