Motion of the Seawater Interface in Confined Aquifer: The relation between the motion of the seawater interface and the spatial distribution of pumping intensity@@@揚水分布変動と塩水化域との関係
This paper describes a theoretical consideration about the effect of pumping of fresh water on the motion of seawater interface already formed in a confined aquifer. At first, the differential equation of interface is derived from the fundamental equation of confined water in the case where the aquifer is impervious at its lower surface and has the pumping well distributed continuously at its upper one, and is solved under the conditions that the constant supply of fresh water is given at a fixed point of the upper course and the pressure of water is taken as a hydrostatic distribution. From this solution, it is found that the toe of the interface is moved backward or forward by the inerease of fresh water inflow or of the amount of pumping, respectively and is also, moved more back according to the more concentration of pumping intensity on the lower course of aquiter. Finally, an example is shown for the method through which, in the coastal region where the residual flow of fresh water into the sea exists, this residue is fully pumped up within the limit that the present toe of interface remains immoved. ま え が き. 臨海地域における地下水の塩水化が,そ の地域の工業用水や灌がい用水に重要な支障をきた してい ることはずい分前か ら提起 され,各 方面から検討 されてい ることは衆知の ことである.そ の主要な原 因が過剰な揚水にもとつ くことは明らかで,塩 水化の進行を防 ぐために揚水を制限した り,表 流水の 高度な利用計画が進め られているが,こ の塩水化の現象を揚水分布 と関連 させて,理 論的に統一 した 考察を進める とい う試みは充分なされていない ように思 う. 最近では,地 方の町村にもこの塩水化問題が起 り,飲 料水生活用水な ど上水道 としての利用に も支 障を きた しつつある.そ のため,簡 易上水道 としての淡水源を上流地域に設けた井戸か ら揚水 した り, さらに深 く井戸を掘って新 しい被圧地下水を揚水 した りして,現 状を しのいでいる例を多 くみる.地 下水の塩水化域が どのよ うに進行す るかを理解 してお くことは,こ の ような計画をたてる上で是非必 要 なことである1). *京 都大学防災研究所 被圧地下 水 の場合 には,過 剰 な揚水 のために地下水圧が低下 し,滞 水層 の末端 をおお う被 ふ く層が 破れ て,海 水が浸入 しだす ことに よって,塩 水化が始 まるにちが いない.こ の論文 では,海 水 が浸入 して塩水化域 が生 じてい る所 で,揚 水分布 の変動が塩水化域 を どの よ うに前進後退 させ るかを主な対 象 として考察 した. 臨海地 域 では,潮 汐に もとつ く塩水化 の進 行 も考 え られ る.潮 汐振動 に よって,淡 塩水界面 は振動 しなが ら前 後進 し,界 面 の混 合が促進 されて,拡 散 に よる塩水化域 の拡 大が生 じるであろ う◎ この拡 大 の規模 は,滞 水層 中におけ る淡 水 と塩水 の混合 の難 易に起 因す る ことは明 らかで2),こ の問題 の解 明に努 力 したい と思 ってい るが,こ こでは,そ の準備 として,定 常状態 を取 り上げ.地 下水流 量や揚 水量 の変動に よって,こ の状態 が変化す る様i子を論 じた◎ 1.塩 水化域 の基本式 の導 出 被圧地下 水 の基礎方程式 は,地 下水 の圧 力水頭 くpiezometrichead)を ψ とす る と.次 式 の よ うに 表わ され る3). ここに,tは 時間,8は 重力加速度,toes地 下水密度 であ り,ん お よびG+2μ)は それぞれ被圧滞水 層 の透水 係数 お よび体積弾 性率 であ る. 鉛 直上方に2軸 を とる と,水 頭 ψは水圧Pを 用 いて, 滞水 層の形 は軸方 向には一様で地下水流 は二次 元流 として取扱 え る と仮定す る.滞 水層 の下面 は完全に不透 であ り,上 面 では まえが きで 述べ た よ うに塩水化 をひ きお こす揚水が存在す る場合を考察す る. 下面9=ζi(x)で の境界条件 は,図1で 見 られ る よ うに,.y軸 方 向 に単位厚,κ 軸 方 向に微小長 を もち,こ の下面が斜面 にな ってい る微 小 プ リズム1を 考 え,こ の プ リズム中に地下水が溜 らない ことを表現 すれ ば得 られ る. 上面2瓢 ζ2(x)に おける境界条件は,下 面 と同 じよ うに,こ の上面 を斜面 に もつ微小 プ リズム]1を 考 え,さ らに κ軸 の単 位長 当 りq(t,x)の 揚水 が存在す る ことを考 慮 して,こ の プ リズム中の水 収支を表現す れば よい. (1)をzに 関 して ζiか ら ζ2ま で積 分 し,3.(4)を 入 れ る と が得 られ る.κ ≡ρ9/(λ+2μ)は,滞 水 層が単位長水頭 に相当す る圧 力を周囲か ら受 けた ときに収縮 す る体積 歪に相 当す る量 で,そ の次元 は.[κ]=11Lで あ る. 一般 ,滞 水層 は水平に近 く,し たが って地下 水流 もほ とん ど水平 方 向で鉛直流 はない と近似 で き る.こ の場 合には,図2の よ うに,滞 水層下面 を ζ1-O,上 面 をk-D(Dは 滞水 層厚)に と る と都 合が よい.揚 水q(t.x)の ために地下水 圧 ρは低下 し.滞 水層 の海水 と接 してい る境界 面 が透水状態 にな ってい るときには,海 水圧 に 押 され て,海 水が滞水層 中に浸入す る.こ の浸 入 した海水 は地下水 と混合 し,一 般 には有 限厚 の淡塩水界面 層がで きるが,こ こでは,混 合 が 起 らない と仮定 し,淡 塩水界面 をz=ζ(t.x)と 表 現 しよ う,こ の2一 ζ(t.x)が どの よ うな 関数 にな るかが考察 の対 象であ る.界 面2澱 ζ(t.X) が決定 されれ ぽ,こ れが滞水層下面2==Oと 交 わ る点x=1も 求 まる.1は 塩水化 の範囲 を示す量 で一般 には時間的 に変化す る.滞 水層 の上流 では, この滞水層に水 を供給す る作用が存在す る筈 で,た とえば,ダ ムの水 位一定 とい う操作 が あるな らば, ダムの存在 す る地点x=xLで 水頭9謂 一定 とい う境界条件 を置 くことが で きる.ま た ダムの放 流量 が測定 され てい るな らば,x-Lで 滞水層流量Qが 与 え られ る とい うのが境界 条件 とな る.こ こで は,後 者の境界条件 を用 いて考 察 を進め よ う. 地下水流が水平 に近 く鉛直流速が ない と近似 で きる ときには,水 圧 は静水圧 として扱 い得 る.淡 水 層静水圧P1の 水頭を,x-Dの 面 よ り計 った高 さ η で表わす と, 圧力水頭 η,淡 塩 水界面 ζ あるい は塩 水化域長1を 時間的に 変化 させ る原因 は,揚 水 量q(t.X), 上 流か らの流 入量R(の お よび海面 高H(の で あ る.こ れ らの量 は,問 題にす る期間た とえば一.月間 とか一年 間を とれ ば,そ の期 間中の平均値 とその まわ りの変 動量 との和 で表 わせ る. R(の==」建「トγ(t),H(の=識H+h(t),ζ 『(t'x)-q(x)十q'(t"X)(11,12,13) 年 平均 で考 えれ ば,r(の は豊水 期や渇水期 の変動流入量 に相当 し,q'(t.x)は 灌瀧 用水量 や工場 用水 量 の変動に対応 す るであ ろ う.日 平均 では,潮 位変 化h(t)が 卓越 し,r(t)やq'(t.X)は 無視 で き るか も知れな い.い つれに して も,こ れ らの平均 値や変 動量 に対 応 して,η,ζ お よび1も 2.定 常塩 水化域 R,H,q(x)に よって定 め られ る状 態す なわち定 常塩水化域 の基本式 は.(9).10 に18.(代) ◎15 を入 れ て,時 間変動 の項 を除 けば得 られ る◎ 入れ る と. 以後定常状態のみを考察するので,平 均操作の記号一を省略す る◎時間変動に関する考察は別の機会 にゆづ りたいo x=1で ζ一.0す なわ ち(η1一H*)=γ1)に 留意 して,境 界条件鱒 を用 い ると積分常数 は決定 されて この積分常数は次の ようにして近似的に求められる. 上流 よ りの平均流 入量Rが 平均全揚水量Qよ り大 きい時 には,x=Oに おけ る淡 水層断 面で(R -Q)の 流量が海へ流 出 してい るはず ,し たが って,そ の通過断面(1)一 ζ)は 零 では あ り得 ない. ところで,水 圧 を静水圧 と仮定す るか ぎ り,こ の淡水 出 口の通過 断面(1)一 一ζ)の 全 面 で,海 水 側 の 水圧 と地下水側 の水圧 とを一致 させ るこ とはで きない.現 実 には ここでは,淡 塩水 界面2ntζ の傾 き は大 き くな り,鉛 直流 を無 視で きな くな る5).し たが って,正 確 に は地下水圧 が 静水 圧分布 で あ る と い う仮定 を捨 て,x-=Oの 断面 でPi=ρ29(H+1)一 一2),す なわち η1(O.2)x-H*+γ(D-2)と い う 境界条件 で解 か なけれ ばな らない.こ の解法 は ηエをx,2の 関数 と して取 り扱 うこ とを要 求す るが, 界面 の形2一 ζ(x)も 決定 しなけれぽ な らない ので,非 常 に困難 とな る.こ の困難 を さけ るため に, って流速を無限大にする)と い うよく用い られ る便法を採用 しよう.こ の近似法に したがって採用 し た境界条件が(株)である.(株)を用い ると これが塩水化域の長さ1を 決定す る式 である.η1が 決定 されたので,(有) をxで 積分 し,濯 雷1に おけ る境界条件20を用いると これが1≦ 罪≦L間 の被圧水頭を考える式である. ii)流 入量R<全 揚水量Qの 場合 水圧分 布 の近 似 としては不適当で,x==x.に おけ る境界 条件 としては(D一 ζ)xOの 方 が適切 と考 え られ る. 他 方,O≦xS:x.間 の揚水 はすべ て海水 を吸み上げ るこ とにな るので.そ の まま揚水 を続け るので あれば,XntX.に おけ る被圧 水 の水頭 はH*よ り小 さ くな るが,こ の ような海水 の揚水 は現 実に は 停 止 され るか ら,x=.x.に おけ る水頭がH*に な る.結 局,こ の場合 の境 界条件 は 3.流 入量Rや 揚水量分布q(x)の 変動が塩水化域長1に およぼす影響 流入量Rが 増大すれば塩水化域長1は 短か くな り,揚 水量Qが 増大すれば塩水化域長1は 長 くな るだろ うと予想 され る.こ の予想が正 しいか どうかを以下に調ぺ よう.