Molecular Mechanisms of Membrane Proteins Studied by Infrared Spectroscopy

Abstract

【序】 細胞膜にはイオンチャネル、イオンポンプ、受容体などの様々な膜タンパク質が存在し、 細胞内外における物質や情報のやり取りに活躍している。これらの膜タンパク質が動作する分子 機構を明らかにするためには、X 線結晶構造解析などで得られる原子レベルでの3次元構造情報 だけでなく、それらが動作する過程での構造変化を明らかにする必要がある。赤外分光法は分子 の振動に基づく赤外吸収スペクトルにより、分子の構造や周辺環境に関する情報が得られる手法 である。タンパク質の赤外吸収スペクトルからαヘリックスやβシートなど二次構造に関する情 報が得られる。さらに、光や電位などの物理的刺激やタンパク質に結合する化合物などの化学的 刺激を与え、刺激前後の差スペクトルを計算することで、タンパク質の主鎖や側鎖の構造変化を 明らかにすることが可能である。本講演では、赤外分光法を用いて様々な膜タンパク質の動作機 構の解明にどのように取り組んできたのかを紹介する。