Y. Matsuoka
{"title":"Integrated Assessment Modeling for the Global Climate Policy","authors":"Y. Matsuoka","doi":"10.5652/KOKUSAIKEIZAI.2005.5","DOIUrl":null,"url":null,"abstract":"1992年の地球サミットで調印された気候変動枠組条約は, その後1997年の京都議定書の策定や, 2001年のマラケシュで開催された気候変動枠組条約第7回締約国会議 (COP7) における議定書の実施に係るルールの決定などを経て, ようやく実体的な姿を表わしてきた。米国の参加は実現しそうにもないが, 世界の大勢は温暖化対策に向かって着実な一歩を踏み出そうとしている。今後一世紀にわたる本格的な温暖化対策は, 環境保全と経済発展の両立に向けた人類の100年の挑戦でもある。個々人の意識改革への挑戦, 技術革新への挑戦, 消費改革への挑戦, 新しい環境産業創出への挑戦, 新国際協力体制への挑戦等々, これらの挑戦が今まさに開始されようとしている。本報告では, まず, 気候変動問題に関する統合評価モデルを用いた温暖化の将来見通しをその策定手法と共に紹介する。特に, 気候変動に関する政府間パネル (IPCC) が中心となって策定したSRESシナリオについて, その策定方法及び不確定性に関する議論を説明し, さらに, これを用いて推計した今後百年程度の間の人類活動と気候変動の関わりを鳥瞰する。次いで, SRESシナリオが描く将来世界を気候安定化に持ち込むために必要となる社会経済システム, エネルギー技術のあり方およびその費用を示し, その実現に向けて今後十年の間および今後百年の間に必要となる諸問題について世界全体及びわが国としての観点から説明する。欧米諸国を中心として行われている温室効果ガス排出量の大幅削減に関する議論は, 京都議定書以降の削減政策に大きな影響を及ぼす可能性が高い。こうした強い地球環境制約をどのように乗り切るか, 極めて重要な政策課題である。そして, 最後に温暖化問題の構造の特徴についてこれまでの研究成果が示唆するいくつかの含意を述べ, 本報告を締め括る。","PeriodicalId":22492,"journal":{"name":"The International economy","volume":"28 1","pages":"5-29"},"PeriodicalIF":0.0000,"publicationDate":"2005-01-01","publicationTypes":"Journal Article","fieldsOfStudy":null,"isOpenAccess":false,"openAccessPdf":"","citationCount":"0","resultStr":null,"platform":"Semanticscholar","paperid":null,"PeriodicalName":"The International economy","FirstCategoryId":"1085","ListUrlMain":"https://doi.org/10.5652/KOKUSAIKEIZAI.2005.5","RegionNum":0,"RegionCategory":null,"ArticlePicture":[],"TitleCN":null,"AbstractTextCN":null,"PMCID":null,"EPubDate":"","PubModel":"","JCR":"","JCRName":"","Score":null,"Total":0}
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