Rhodococcus equi Infections in Domestic Animals, Companion Animals, and Wildlife

Abstract

ロドコッカス・エクイ感染症は,おもに 3カ月齢まで の子馬に膿瘍形成を特徴とする化膿性肺炎と腸炎を引き 起こす難治性疾患で,わが国では毎年春から夏にかけて 発生する[1].本稿執筆時点からちょうど 100年前の 1921年,ハンガリーの Schmiedhof ferが初めて本症を 記載して以来,毎年,世界中の馬生産地において発生し, 生産者を脅かす幼駒感染症の一つである[2-5].1993 年と 1997年に本菌の病原性因子に関する知見とわが国 の子馬における本症の発生状況を本誌で紹介した[57].爾来 20年以上が経過し,この間に,馬以外の動物 における症例が数多く報告され,2015年には牛病変部 分離株から新規病原性プラスミドが発見され[8],本菌 の病原性と自然宿主域の関係性が明らかになりつつあ る.そこで,本総説では,馬以外の家畜,伴侶動物及び 野生動物におけるロドコッカス・エクイ感染症の,近年 の発生概要を紹介し,人と動物の共通感染症の一面も考 察した.