Commentaries on Struggle of the First Year Postdoctoral

A. Shiro
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Abstract

(独)日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門 量子ビーム材料評価・構造制御技術研究ユニット弾塑性 材料評価研究グループ博士研究員.これが今の私の肩書で す.専門は放射光X線回折法を利用した材料の応力・ひ ずみ評価で,現在の研究テーマはアルミニウム単結晶に おける応力・ひずみと再結晶挙動に関する研究.これまで に塑性変形を与えた単結晶内の応力・ひずみ分布や,再 結晶挙動には転位が関連していることなどを放射光X線 の観点から明らかにしてきました. 学生時代を含め,大型放射光施設 SPring-8 に常駐して 3年近くが経過しました.当初は1ユーザーでしかなかっ た私も,今では機構の専用ビームラインの光学調整をこ なし,独自研究と並行してユーザーの実験サポートにまわ る立場になりました.多少の変動はあるものの,専用・ 共用ビームラインを合わせて年間 100 日近い実験に携わっ ており,施設の稼働期間は月の半分にビームタイムが連 結していることもままあります.最近は 2つのビームラ インで別々のユーザーが同時に実験し,どちらかを任せ た! と派遣されることもしばしば.こんな風に書くと “できる人”のように聞こえますが,決してそんなことは なく,経験値に基づくところが大きいです.極めて新規 性や難易度の高い実験については,自分の無知や無力さ をその度に痛感させられています.今回は,そんな大型 実験施設の内側からのぞいた材料評価という世界と,私 自身が日々感じていることについてご紹介したいと思い ます. SPring-8 は,ご存じのとおり世界最大級の大型放射光 施設です.周長 1.4kmの蓄積リング内に,60 本近いビー ムラインがあり,施設の稼働期間は各々のビームライン の特徴を活かした研究が昼夜実施されています.その中 で,応力やひずみ評価に利用された実績をもつビームラ インは 9本.回折計やそれに準ずる装置,アクセサリー があれば,一番単純な応力・ひずみ評価は可能であるた め,多くのビームラインで研究が実施できます.しかし, SPring-8 の放射光を利用して,ただ単純に応力やひずみ の評価を行うだけでは何の特異性もありません.そこは やはり,放射光の特徴を活かした,“ここでしかできない 研究”に注目が集まってきます. 近年の放射光を使用した応力測定でキーワードとして 挙げられるのが,微小部,その場(実環境),時分割の3 つです.特に最近は放射光に 2次元検出器が盛んに取り 入れられており,高温炉と組み合わせた焼鈍や再結晶,溶 接中その場測定など,早い時間スケールで起こる現象を1 秒以下の時間分解能で観察する技術が確立されつつあり ます.このように,装置や技術は高度化が進み,効率は 上がっていく一方で,時間的・精神的余裕はなくなって いるように思います.もちろん,限られた施設の稼働時 間の中で,最大限のビームタイムを確保するのは重要で あり,高効率化は極めて望ましいことです.しかしなが ら,昨今のすぐに業績が求められる風潮は,時間に急か されて試行錯誤の時間すら奪ってしまうように感じるこ とも多く,歯がゆく思っている側面もあります. 一方で,研究者にとって一番重要なのは業績であるこ ともまた事実です.研究の独創性,発想力,その研究結 果がもたらす恩恵と,世の中で求められている課題をタ イムリーに見通す力.それらを統合して,いかに面白い 研究を行い,いかに早く成果を公表して,業績につなげ ていくか.研究者の評価対象は業績が全てです.何より も業績が求められているポスドクのポジションにいる今, 博士後期課程の時に言われた,「研究者に努力賞はない」 という言葉の重みを痛感しています. ポスドク1年目,一流の研究者の方々の実験に参加さ せていただき,刺激を与えていただくと同時に,自分の 力量不足を感じる日々です.研究者は豊富な知識や経験 に加えて,体力やタフな精神力も必要であることを知り ました.まだまだ未熟者ではありますが,たゆみない興 味と好奇心を武器に,駆け出しの研究者は今日も第一線 で戦っています.今度は私が材料の新しい知見をお届け できるよう,“倍返し”ならぬ“恩返し”の心意気で, 日々努力していきます.
《博士后第一年奋斗述评
(德国)日本原子能研究开发机构量子光束应用研究部门量子光束材料评价、结构控制技术研究单位弹性材料评价研究小组博士研究员。这是我现在的头衔。专业是利用放射光X射线衍射法的材料的应力、应变评估,目前的研究主题是铝单结晶的应力、应变和再结晶行为的研究。从放射光X射线的观点阐明了施加了塑性变形的单结晶内的应力、应变分布,以及重结晶行为与位错有关等。包括学生时代在内,常驻大型放射光设施SPring-8已近3年。当初只有一个用户的我,现在已经完成了机构专用波束线的光学调整,在进行独立研究的同时,也要支持用户的实验。虽然有一些变动,但专用和公用波束线每年都要进行近100天的实验,在设施的运行期间,波束时间每月有一半是连在一起的。最近在两个波束线上分别由不同的用户同时进行实验,让其中一个来做!这样写的话听起来好像是“能干的人”,但绝对不是这样的,更多的是基于经验值。对于极具新颖性和难度的实验,每次都痛感自己的无知和无力。这次,我想介绍一下从大型实验设施的内部观察到的材料评价世界,以及我自己每天的感受。众所周知,SPring-8是世界上最大的大型放射光。是设施。在周长1.4km的积累环内,有近60条波束线,在设施运行期间,利用各波束线的特点昼夜进行研究。其中,已成功应用于应力及应变评估的束线共有9条。如果有衍射计和相应的装置、附件,就可以进行最简单的应力、应变评估,可以在很多束线上进行研究。利用SPring-8的放射光,单纯地进行应力和形变的评价是没有任何特异性的。因此,利用放射光的特点,“只有在这里才能进行的研究”备受关注。近年来,在使用放射光的应力测量中,作为关键词被列举的有微小部、当场(实际环境)、时分3个。特别是最近,2维检测器被广泛应用于放射光中,可以将与高温炉组合的烧钝、再结晶、熔接中当场测定等在较早的时间尺度上发生的现象进行1以秒以下的时间分辨率进行观察的技术正在逐步确立。装置和技术不断发展,效率不断提高,但时间和精神上的余裕却越来越少。当然,在有限的设施运行时间内,确保最大限度的波束时间是非常重要的,高效率是非常理想的。但是,长近来追求业绩的风潮,很多时候让人觉得时间紧迫,连试错的时间都被剥夺了,也有让人着急的一面。另一方面,对研究人员来说最重要的是业绩,这也是事实。研究的独创性,想象力,该研究成果带来的恩惠,以及对社会上所需要的课题的灵活预测能力,将这些综合起来,如何进行有趣的研究,如何尽快公布成果,与业绩联系在一起。业绩是研究人员的全部评价对象。在最需要业绩的博士后职位上,在读博士后期课程的时候,我深深体会到了“研究人员没有努力奖”这句话的分量。在博士后的第一年,我参加了一流研究人员的实验,在得到刺激的同时,也感受到了自己每天都感到力量不足。我了解到,研究人员除了要有丰富的知识和经验之外,还需要有充沛的体力和顽强的精神。虽然还不成熟,但凭借不可动摇的兴趣和好奇心,这些初出茅庐的研究人员今天也战斗在第一线。为了这次能给您提供材料方面的新见解,我将以“报恩”而不是“加倍奉还”的态度,每天努力。
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