Nationalism and Political Society on Mediterranean Insular Region: In Case of Corsica (France)

Abstract

フランス領地中海コルシカ島では,民族主義 (nationalisme)と呼ばれる政治勢力が,全島 統括の地域審議機関であるコルシカ議会 (Assemblee de Corse) の2015年12月選挙で 第1勢力となるだけでなく,フランス国政にお いても2017年5月,国民議会選挙で,島内4 小選挙区のうち3つから民族主義勢力に所属す る議員が初当選し,さらに同年12月のコルシカ 議会選挙では絶対過半数を制し勝利を飾って いる。 本稿は,コルシカ島における民族主義の動き や形態について,先行研究事例と政治社会の変 動を交えながら,その特徴と将来展望について 考察する。 単にコルシカという欧州・地中海の一島嶼社 会の特殊な例というのではなく,島嶼地域社会 に見られる現代民族主義とはどのようなもので あり,また,どういう方向性を目指しているの かについて明らかにしていきたいと考えており, 筆者がフィールドとしてきたコルシカ島での考 察および分析を行うことにより,この問題関心 に対する回答への足掛かりとしていきたい。