STATIC AXIAL RECIPROCAL LOAD TESTS FOR SOIL-CEMENT MIXING WALL USED AS PERMANET PILES

Abstract

減衰が負となる領域が発生するが,系全体の減衰を構造減衰と空力 減衰の和として表すことで,空力減衰が負となる領域についても動 的応答を求めた。ただし,構造減衰と空力減衰の和が負となる場合 はそれらの和を 0とおいて計算した。なお,今回は屋根の振動に伴 う内部容積の変化がなく,既往の研究で多く検討されている逆対称 一次モードを対象としたが,他の振動モードが動的応答に及ぼす影 響などについては今後の課題とする。一連の動的応答解析を通して 得られた結論を以下にまとめる。  気流による応答性状を比較すると,一様流の方が無次元風速の やや低い時に空力負減衰となる。しかし,空力正減衰の範囲で の動的応答を見ると接近流の乱れの影響のため,動的応答は境 界層乱流の方が大きくなる。  屋根の構造減衰が小さい場合,空力減衰が系全体の減衰に及ぼ す影響が相対的に大きくなるため,無次元風速が大きい範囲で の動的応答が大きくなるが,屋根の構造減衰が大きい場合,空 力減衰が系全体の応答に及ぼす影響が相対的に小さくなるため, 応答の急激な増加は生じにくい。  非定常空気力は屋根の動的応答に影響を及ぼすが,屋根の質量 や固有振動数,空力剛性の影響によって周波数応答関数の形状 が変化するため,無次元風速の増加に伴って必ずしも屋根の動 的応答が増加し続けるとは限らない。  無次元風速が 1 以下の範囲では,非定常空気力を考慮すると非 定常空気力を考慮しない場合と比べて動的応答が 5%程度小さ くなった。つまり,設計時に無次元風速が小さいと予想される 大スパン陸屋根については,非定常空気力を考慮せずに設計す れば応答を安全側で評価することができる。  屋根の構造減衰と空力減衰の和が 0 より小さくなる範囲につい ては,空力不安定振動が発生すると考えられるため,屋根の応 答については別途検討が必要となる。  今回対象とした大スパン屋根では,建築基準法で規定される風 速範囲では常に空力的に安定となるため,空力不安定振動をも たらすような振動が発生する可能性は低いと考えられる。しか し,想定する設計風速や建築物の立地,屋根の固有振動数やス パンによっては無次元風速が大きくなることも考えられるため, 建築物の実況に応じた検討が必要である。 謝辞 本研究は,JSPS科研費(課題番号:16J01789)および平成 28年度公益財団法 人能村膜構造技術振興財団の助成を受けたものである。ここに記して謝意を 表する。