The role of laparoscopic surgery in the evaluation of chronic pelvic pain of unknown origin: pitfalls with a negative laparoscopic findings

Abstract

慢性骨盤痛は婦人科診療においてしばしば遭遇 する愁訴の1つ である。慢性骨盤痛は、1)月 経 周期に関係なく6ヶ 月以上続 き、2)日 常生活に 支障をきたして薬物または外科的治療を必要とす る疼痛、 と定義される1)。慢性骨盤痛を主訴 とし て婦人科を受診する患者は、全婦人科外来患者の 10%を 占め1)、その罹患率は15歳 か ら73歳 までの 全女性の3.8%で 、喘息患者の3.7%よ りも多い2)。 慢性骨盤痛の原因は、生殖器由来のみならず、泌 尿器系、消化器系、筋骨格系、心理的要因と多岐 にわたるため、原因を突 き止めるために詳細な問 診 と診察、及び他科 との連携が必要不可欠である。 ときに全身疾患の2次 的結果として生じることも ある3)。実際の婦人科臨床では、子宮筋腫、卵巣 腫瘍、子宮内膜症などが慢性骨盤痛の原因として 特定されることが多いが、なかには詳細な原因検 索にもかかわらず、器質的な説明がつかず、対応 に苦慮するケースが見 られることもまれではな い。今回我々は、内診、超音波、MRIな どの画像 診断にて骨盤内臓に形態学的な異常を認めず、消 化器科、整形外科などの他科による診察でも原因 が判明せず、対症療法の非ステロイ ド性鎮痛剤や 低用量 ピルに全 くあるいはほとんど反応を示さな い、原因不明の慢性骨盤痛患者に対 し、原因検索 と治療を目的とした腹腔鏡下手術を施行し、その 有用性について、文献的考察を交えて、特に異常 所見が見 られなかった場合への対応を中心に検討 したので報告する。