Current Strategies and Issues of Biliary Tract Cancer Prevention

Abstract

なぜ、胆道がんは進展した状況でみつかりやすい のか、早期の診断が難しいのか、その答えは、解剖 学的な特性を理解するとわかる。胆管も、胆のうも 4 層構造で粘膜下層がなく、胆管と動脈、門脈は共 通の漿膜下層に共有して存在する。また、周囲には 豊富なリンパ管や自律神経が走行しており、周囲に 進展しやすい状況にある。進展様式も、上皮内や壁 内を進展していく水平方向進展や、直接浸潤、脈管 浸潤、神経周囲浸潤、リンパ節転移といった垂直方 向進展、そして遠隔転移も起こすといった“浸潤 型”を呈することが多い。手術の侵襲性も大事な判 断の一つになる。肝内胆管がんで 3 ~ 4 時間、肝門 部にかかると 8 ~10時間、胆嚢がんは深達度に応じ て、 2 ~10時間の手術時間を要する為、耐術能を考 慮して判断する必要がある。何より、手術切除例と 非切除例では、5 年生存率が42%と 2 %1)といった、 大きな乖離があり、より慎重でかつ賢明な選択が望 まれる。 がん種による診断時の進行度をみると、胆道がん の場合、転移なしの状況では17.6%、リンパ節転移 やリンパ節転移が37.2%、遠隔転移が22.8%2)で決 して早期で見つけやすいとは言えない。膵癌になる とさらに早期診断が困難になる(図 1)。 抄 録