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Abstract
【 目 的 】 長寿高齢社会において、老いることは必ずしもネガティブな意 味を持たない。老いが避けられないものである以上、老いを超え てよりよく生きること、つまりサクセスフルエイジング(e.g., Vaillant, G., 2002 ; Shweder, R. A., 1998 ; Rowe, J. W., & Kahn, R. L., 1998) や、生きる意味、生きる質(Quality Of Life)について考えることは 現代社会において必要不可欠である。 生きる意味の一つである幸福感、主観的幸福感の研究では、 GNP、収入、就労形態、学歴、健康状態といった物理的要因とそ れに対する認知的評価、自己内の肯定的感情と否定的感情の バランスなどから主観的幸福感が予測されることが見いだされて きた。健康で、高い教育を受け、収入が高く、外向的性格を持ち、 自尊心が高いことが幸福感を高め(Myers & Diener, 1995)、コント ロール感が高く人生の目的意識が高いこともまた幸福感を高め ることが示されている。 しかし、この知見が日本人においても妥当であるかどうかは疑 問が残る。世界一平均寿命の長い日本人の主観的幸福感は、 世界40カ国の比較において、最も低くなっている(Diener, et al, 1999)。長寿という健康指標や、高いGNPが必ずしも日本におけ る主観的幸福感を高めていないことになる。近年、心のプロセス の文化的多様性について、「人の心の働きは社会・文化に参加 することを通じて形作られる」という文化心理学の理論的枠組み に準拠した心的プロセスの潜在的文化多様性の検証が行われ ている。また近年では文化間の差異だけでなく、ジェンダーや学 歴といった文化内差も検討されてきている(e.g.,石井・北山・今 田,2004)。本研究では欧米で行われた good life 研究をもとに、日 本の good life スクリプトについて、特に男女差の視点から探索す る。